「1518!(イチゴーイチハチ!)」全巻レビュー

生徒会の爽やかな青春を描く、相田裕(あいだ・ゆう)さんの漫画「1518!(イチゴーイチハチ!)」の全巻レビューです。

極力ネタバレは避けていますが、内容に触れる部分がありますのでご注意ください。また下記記事で、「1518!(イチゴーイチハチ!)」のレビューをしています。未読の方はぜひこちらをどうぞ。

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「1518!(イチゴーイチハチ!)」全巻レビュー

1巻

1518! イチゴーイチハチ!(1) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

私立松栢(しょうはく)学院大学附属武蔵第一高校、通称「松武(しょうぶ)」に入学した主人公たち、新高校一年生・丸山幸と烏谷公志朗。

先輩が会長をしているという縁もあり、生徒会に入会した幸。一方、怪我により野球を断念、目標を失っていた公志朗。彼が中学野球で因縁のあった女性会長との勝負を経て、その一員となる前半。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」1巻より引用]

そして幸と公志朗の生徒会初仕事となる、「アイス大作戦」の様子が描かれる後半。目安箱の投書から、かつて校内にあったアイスの自販機を復活させようとする生徒会。

ただ単に先生にお願いしにいく、のが生徒会の役割ではない。生徒たちが自主性を見せることで信頼を勝ち取り、自販機設置の許可を取ろうとする、という姿勢。この子供から大人へと移行する「高校生」という時期に、意識を高く持って行動する彼らの様子が、実に興味深い。

そんな1518!(イチゴーイチハチ!)の始まり。ケガで野球を諦めた公志朗と、目標を見出せずにいた幸。二人がこれから生徒会で歩んでいく道のりが、ゆるやかに示されるスタート巻です。

2巻

1518! イチゴーイチハチ!(2) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

新入生歓迎マラソン、通称「歓マラ」をメインに描かれる第2巻。

公志朗は新入生代表として、旗手(旗を持ってマラソンを走る)を務めるが、それが会長の嫌がらせだと誤解を?彼の思いを知った幸は、会長にあるお願いをするため、彼女にマラソンで勝負を挑む―。

体育会系進学校らしい松武ならではのイベント・歓マラ。それぞれ思いを抱いて走る、その先に見えるものは?みんなマラソンやる気マンマンなのがすごい(笑)。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」2巻より引用]

旗手を務める公志朗の頑張り、そして会長と幸の勝負は見応えがあり。歓マラをサポートする生徒会の二年生コンビ・東と三春もいい味出してます。

2巻でポイントとなるのが、初登場となる公志朗の兄・公一。駅伝選手である彼、幸にマラソンシューズのアドバイスをしたり、なかなかのナイスガイ。そしてケガをして夢を断念した公志朗を、公一はじめ、烏谷家がやさしく彼を見守っている様。温かさを感じます。

3巻

1518! イチゴーイチハチ!(3) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

生徒総会の準備におおわらわの執行部メンバーたち。総会で生徒会アピールのために作った執行部紹介ムービーだが、トラブルが発生?

多くの方が学校生活で経験したであろう「生徒総会」。その裏側で尽力する生徒たちの様子がよくわかる良エピソード。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」3巻より引用]

学生の時はダルいだけでしたが(笑)、3巻を読んだあとはそんな気持ちは吹っ飛びました。大事な行事なんですね。生徒会の2年生メンバー、東と三春が生徒会に入るまでのエピソード、そして彼らが生徒会に抱く気持ちも、興味深いもの。

そして3巻ラスト、生徒総会が終わったあとの公志朗の姿が描かれるエピソード。これはマジでホロリと来ました。いい話やなぁ…。個人的に1518!で一番好きな巻です。

4巻

1518! イチゴーイチハチ!(4) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

夏に突入し、生徒会は高校野球の応援部会をバックアップ。中学野球でエースだったが、ケガで野球を諦めた公志朗。その心中や如何に?

一方、かつて公志朗と同じく、野球の道を諦めた会長。しかし進路を前にして、新たな思いが芽生える―。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」4巻より引用]

15歳と18歳。形は違えど、共に野球の道から外れた二人。その内に秘めた思いが発露する時、そこには限りない輝きが。

高校野球という表舞台の裏で、応援に携わる生徒会・応援部会の活動。普段はスポットの当たらない、裏方としての活動が、実に興味深い。

そして応援のあとには、公志朗と生徒会長の「野球を通じた会話」が再び。そこには震えるような感動が待っています。公志朗がとにかくかっこよすぎ!

その傍らで、公志朗の旧友に嫉妬してしまったり、公志朗の迫力にドキッとしてしまう幸がカワイイ(笑)。

5巻

1518! イチゴーイチハチ!(5) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

野球部県予選のラストからスタートの5巻。これまで生徒会の活動をメインに描いてきた「1518! イチゴーイチハチ!」ですが、本巻ではついに幸と公志朗、二人の関係にスポットがあたります。

新たな登場人物として、公志朗のクラスメートで吹奏楽部の女子・仲里なつみ、通称「ナカナツ」が登場。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」5巻より引用]

元気でカラッとした性格、それでいて自分をしっかりもっているナカナツ。彼女が公志朗と幸の仲を大きく進展させるキューピッドに。

男女4人でのプール、からの、2人だけの花火大会。4巻あたりから、明確に公志朗を意識するようになった幸。その気持ちに、なんとなく気づいている公志朗。二人の仲はどうなる…?

生徒会活動とそこに関わる生徒たちを、丹念に描いてきた「1518!」。しかし5巻は趣きを大きく変え、完全に幸と公志朗、二人の恋愛をクローズアップ。甘酸っぱい(笑)。

しかしそこは「1518!」らしさが随所に。野球を断念した公志朗のこれまでなどを踏まえた、丁寧な人間描写が魅力。

先輩・三春が、幸に対して語る冷静なセリフ「ナカナツは危険だよ。あれは」がクールw。

6巻

1518! イチゴーイチハチ!(6) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

暑く、熱い夏が終わり、一年生たちにとって初めての秋に突入した第6巻。今まで一冊を通して一つの物語が描かれてきましたが、今巻は大きく3つに分かれる構成。


吹奏楽部を辞める、というナカナツ。もったいない、と引き止める公志朗たち。そんなやり取りの中で、ナカナツは本当の気持ちに気づいて…。


松武の文化祭を訪れた、生徒会OBの男女。その目的は、生徒会室の「あるもの」。それにはザキさんも関係していて?


生徒会の2年生コンビ、東と三春。「戦友」のような、微妙な二人の関係。そして東は、三春を誘ってある場所へ―。


という、各ブロック。5巻に続き、全体的に甘酸っぱさを増してきた「1518!」。しかしベタベタな恋愛に偏らずに、きっちりと青春を描いているのは気持ち良い。

相田裕「1518!(イチゴーイチハチ!)」
[相田裕 著 小学館「1518!(イチゴーイチハチ!)」6巻より引用]

その中でも注目は、東と三春。冒険をしてみようと生徒会に入った三春。それに付き合う形で同じく生徒会に参加した東。

3巻で描かれた伏線を回収する形で描かれる、その後の三春と東、それぞれの冒険。少しずつ成長し、その関係にも少し変化が…?

自他共に美人と認める三春。それに対して、「石ころのよう」だと自覚する、東の意外な意識がおもしろい。そこまで卑屈にならんでも(笑)。

7巻(最終巻)

1518! イチゴーイチハチ!(7) (ビッグコミックス)相田裕:小学館

幸・公志朗が松武に入学、生徒会に入ってから約1年となる冬、そして春の物語が描かれる第7巻。残念ながら、「1518!(イチゴーイチハチ!)」の物語もこれでひとまずおしまい。

最終巻では、生徒会に関連した「とある戦い」が描かれます。が、その内容は読んでのお楽しみ。予備知識無しで読まれることをオススメします。読み終わったあと、幸、そして公志朗の表情が一年でどのように変わったのか。1巻と見比べてみてください。

まとめ

以上、相田裕さんの漫画「1518!(イチゴーイチハチ!)」の全巻レビューでした。

残念ながら本作は、商業的にはあまり成功しなかった作品のようです。第7巻のあとがきや相田裕さんのツイートを見るに、志半ばでの完結であることが窺えます。

では漫画のクオリティが低いかというと、そんなことは全くなく、むしろ近年稀に見る、読み応えのある青春物語。各巻それぞれ、そして全7巻全体を通して、大きな感動と満足の読後感を味わえます。

ツイッターの感想を見ても評価の高い「1518!(イチゴーイチハチ!)」。作者・相田裕さんもまだまだ描きたいことがあるようで、売れ行き次第では第二幕が期待できるかもしれません。気になった方はぜひ、松武生徒会の世界に触れてみてください。

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