「綾辻黄泉路地図工房」1巻―失せもの探しの地図が導く不思議な世界

手にした者を求める場所へと導く「この世ならざる地図」。地図に導かれた人々は、そこで何を見、そして望むのか。

逢坂八代(おうさか・やしろ)さんの漫画「綾辻黄泉路地図工房(あやつじよみじちずこうぼう)」1巻を読みました。

連載は幻冬舎・月刊バーズ。作者の逢坂八代さんは「瑠璃宮夢幻古物店」も手がけられている漫画家さんです。

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「綾辻黄泉路地図工房」レビュー

少年と先生と不思議な地図

主人公は、地図作成を生業とする祖父と二人暮らしをしている小学生、綾辻至伸(あやつじ・しのぶ)

ある朝、祖父に地図配達のおつかいを頼まれる至伸ですが、配達先が不在のために地図を持ったまま登校。それを見咎めた担任の女性教師・倉橋に、地図を一時預けます。


[逢坂八代 著 幻冬舎コミックス「綾辻黄泉路地図工房」1巻より引用]

職員室で地図を見ながら、そこに描かれている内容に不審を抱く倉橋。地図に従い校舎を巡ると、見知らぬ世界を歩いていることに気付きます。

どこからともなく現れ彼女を取り囲む、幼い頃の同級生たち。気付くと倉橋自身も子どもの姿に。「帰れない」と脅され、恐怖に怯える倉橋を救ったのは、青年の姿となった至伸で―

…という出だしの「綾辻黄泉路地図工房」。以上が第一話の主なあらすじです。

異世界への静かな冒険

「綾辻黄泉路地図工房」の主な登場人物は、至伸・祖父(じーちゃん)・倉橋先生の三人。

祖父は地図作成が仕事ですが、ただの地図にはあらず。それは「失せもの探しの地図」で、この世ならざる所にある、求める人が必要とする場所へ至ることができる、という不思議なもの。

そして至伸は「この世」と「この世ならざる所」を、地図無しで行き来できる、という能力を持っています(その理由は今のところ謎)。

地図を持ちこの世ならざる所へ行く人たちを、その力を使って陰ながらサポートしようとする至伸。教え子である至伸が気にかかり、至伸の「人助け」に協力を申し出る倉橋先生

そんな二人が異世界への静かな冒険に繰り出す、というのが「綾辻黄泉路地図工房」の基本線。ジャンルとしてはオカルト・ホラーですが、今のところそんなに怖くはありません。

「この世ならざる所」の絶妙な存在感

全体的な印象としては「落ち着いた雰囲気のホラー」といった感じでしょうか。

おどろおどろしさも控えめ。時おり怖いシーンもありますが、普段ホラーを読まない人でも問題の無いレベル。

「暗い」というよりは、独特の静かな雰囲気。現実のようでいて、しかしどこか妖しさの漂う「この世ならざる所」。その世界観が絶妙です。


[逢坂八代 著 幻冬舎コミックス「綾辻黄泉路地図工房」1巻より引用]

逢坂八代さんは比較的あっさりとした線を描かれる作家さんですが、その線が紡ぎ出す不思議な空間。読んでいると次第にクセになってきます。

異世界で立場の替わる生徒と先生

そこで冒険、というか「人助け」をする至伸と倉橋先生。「この世ならざる所」では至伸は青年、倉橋先生は少女の姿になります。


[逢坂八代 著 幻冬舎コミックス「綾辻黄泉路地図工房」1巻より引用]

世界を移動すると人物の姿が変わる、という趣向がおもしろい。現実では先生と生徒である二人。しかし向こうではそれが逆転。特に子どもの姿になった倉橋先生が、大人の時の落ち着いた雰囲気とは一転、活発に動くのが小気味いいですね。至伸を食う活躍です(笑)。

そんな「綾辻黄泉路地図工房」、地図や「この世ならざる所」にはまだまだ知られざることがあるようで。地図製作者である祖父の言動が気になるところ。

また、至伸の出自とその能力にも、いろいろと秘密が…?

地図が創り出す独特の世界

以上、逢坂八代さんの漫画「綾辻黄泉路地図工房」第1巻のレビューでした。物語はまだまだ始まったばかりですが、作中で構築された独得な雰囲気・世界観。妙な依存性があります。

物語で活躍するのが先生と生徒、という構造もおもしろい。倉橋先生はいい意味で色気がないので(笑)、安心して見ていられます。

今後、二人がどのような冒険をしていくのか。そして地図の秘密がどのように明かされていくのか。続きが楽しみな漫画です。

漫画データ
綾辻黄泉路地図工房 (1) (バーズコミックス)著者:逢坂八代出版社:幻冬舎コミックス発行日:2017-11-24

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