「バトルグラウンドワーカーズ」1巻―未知の生命体と戦う労働者たち描くロボットSF

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失業中の冴えない青年は、遠隔操縦ロボットのパイロットとなり、未知の生命体と戦うことに。思いがけず「世界を救う仕事」に就いた彼が見るものは、果たして―?

「辺獄のシュヴェスタ」の作者・竹良実さんが描く「バトルグラウンドワーカーズ」。ロボットのパイロットが社会の底辺層にいる人間、という設定が斬新な、SFアクション漫画です。

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「バトルグラウンドワーカーズ」1巻レビュー

あらすじ

孤独な身の上にして失業中の30歳・平仁一郎(たいら・じんいちろう)のもとに、「外務省人類連合協力課」から「ある仕事」の採用通知が届く。

それは、25年前に突如世界各地に現れた未知の生命体「亞害体(あがいたい)」と戦う、遠隔操縦ロボットの操縦訓練生への道だった。

「RIZE(ライズ)」と呼ばれる対・亞害体人型兵器を操作し、南シナ海にいる亞害体たちを倒す業務。多くの訓練生の中でも落ちこぼれ的なポジションにいる仁一郎だが、生来の生真面目さから徐々に地道な成果を発揮しだして―?

バトルグラウンドワーカーズ(1) (ビッグコミックス)竹良実:小学館

落ちこぼれ社会人の再生SF

SFメカのパイロットがごくごく普通、むしろそれ以下の底辺社会人である、というのが特徴的な社会派(?)SF「バトルグラウンドワーカーズ」。特殊な能力は一切持たないが、とにかくマジメで優しい主人公・仁一郎。

多数いる訓練生の中でも、特に能力の低い彼。しかし「何も持たない自分でも手に入れられて、幸せの代わりになるもの」「それがあれば胸を張って生きていけるというもの」を手に入れることを目指して、知恵と工夫で生き延びようとする。

そんな仁一郎の姿が印象的、というか不思議と応援したくなってくる、竹良実さんの描き方がウマイ。彼がこの先どのような人生を歩むんでいくのか、ドキドキするような、見守りたくなるような、そんなドラマ感を感じます。

人型兵器・RIZE

そして彼ら訓練生が操縦するのが、対・亞害体人型兵器「RIZE」。ライズ、人類のために立ち上がる者、として名付けられた全高4mのロボット。南シナ海の島に配備されたそれと3000キロ離れた日本にいるパイロットは、神経接続で結ばれ、思考操作が可能。

このライズのデザイン・SF感がとても素晴らしい。やや細身のシルエットに、防犯カメラのような簡素な頭部。過度な装飾は無く、非常に工業的なデザインは、「いかにも動きそう」。劇中で実際に稼働する姿は戦闘兵器、というよりもまさに「ワーカーズ」。

そんなライズ、遠隔操縦ならば死の危険が無いのでは?と思われるかも。そこに緊張感を生み出すのが、神経接続という設定。ライズがダメージを受けるとパイロットもある程度の痛みを感じ、時には死に至ることも。

それを防ぐために首のプラグを外して「強制終了」することもできるのですが、人間がそれに耐えられるのは5回まで。緊急回避に制限がある、というのが独特の緊張感を生んでいます。

謎の敵「亞害体」

そのライズが立ち向かうのは「亞害体」。25年前に突如世界各地に現れた、全高約5mの謎の生命体。人間を捕食する姿も確認されている、人類の敵。

見た目、エヴァンゲリオンのサ◯エルを彷彿とさせるシルエット。漆黒の体表にハニカム状の紋様を持ち、手には何らかの物質を撃ち出す射撃孔も。その生態には多くの謎が隠されているようで。

正体不明の不気味な敵に、果たして人類は打ち勝つことができるのか。そしてその過程の中で主人公・仁一郎は、生きる目的を見出せるのか、というのが見どころ。「未知の敵 VS SFメカ」という枠組みに、現代社会にも通ずる労働問題、人生観を練り込んでいるのが、「バトルグラウンドワーカーズ」の特異な魅力と言えるでしょう。

やや気になる点も

しかし本作、画力の高さやドラマの描き方で、漫画としてはクオリティの高い方であると思うのですが、個人的にはいくつか気になる点も見受けられました。

例えば

  • なぜ人型兵器でなければならないのか
  • なぜライズが遠隔操縦でなければならないのか
  • なぜ東シナ海の島で戦っているのか
  • なぜ軍隊等の専門職が前線にいないのか

などの戦いに説得力を持たせる説明が一切ない、というのがSFとしては弱い。特にロボットSFものでは、主役メカが「主役メカ足りうる理由」があるものですが、今のところ「ライズ」の必然性は提示されていません。

また敵である亞害体。こちらは物語における役割上、多少「謎」があっても良いのですが、それでも

  • 世界各地での分布・戦闘状況が不明
  • その行動原理・目的が不明
  • 弱点や性質がわからない(読者に提示されていない)

といった状況。このため亞害体に接敵した時でも、「敵も味方も、どうしたいのか、どう動くのか」わからない、何を持ってミッション達成かが不明なので、もうひとつ緊迫感がないんですね。

また劇中、仁一郎たちが倒れている亞害体を見て、「腐っていないから死んでいるかどうかわからない」というシーンがあるのですが、戦場に向かうのに相手の弱点や性質についてレクチャーを受けないことがあるのだろうか?という疑問も。

亞害体の存在そのものにはいろいろと謎が隠されていそうなので、おいおい描かれる部分もあるのでしょう。ですが1巻では、やや説得力の無い状態になっているようです。

まとめ

以上、竹良実さんの「バトルグラウンドワーカーズ」1巻レビューでした。あくまでも個人的な感想ですが、やや大雑把なSF設定を、マンガ表現の巧みさでカバーしている、といった印象。

「バトルグラウンドワーカーズ」、つまり「戦場の労働者」である仁一郎らの在り方が、物語の何よりの魅力。しかしそれをより浮かび上がらせるために、説得力のあるSF世界を構築してほしいところ。2巻以降での巻き返しに期待。

しかし実は、仁一郎たちが戦っているのはヴァーチャル空間で、底辺労働者の救済策として政府が慈善事業を行っている、とかだったりして…。

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