漫画「ぼくの夜に星の出る」―声と言葉の連作短編集

「ぼくの夜に星の出る」という、何だかとらえどころのない、それでいて妙に耳に残るタイトル。磯谷友紀(いそや・ゆき)さん描く連作短編集+αです。

本書あとがきによると、磯谷氏はタイトルがなかなか決まらなくて苦労されたそうです。

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概要

漫画「ぼくの夜に星の出る」は、ゆるやかにつながる連作シリーズ。

  • No.1 始まりの朝に
  • No.2 うたうひと
  • No.3 なおすひと
  • No.4 はなすひと
  • No.5 最後の夜に

の5編からなります。「法事」や「声優オタク」など、身近なもので恋愛を描く、がそのテーマ(あとがきより)。上記5編のうち、「始まりの朝に」と「最後の夜に」、「うたうひと」と「なおすひと」が大きなつながりを持っています。

またシリーズ「ぼくの夜に星の出る」以外に「アイラーヴァタの象つかい」前後編を収録しています。

「ぼくの夜に星の出る」感想

磯谷友紀さんの作品は連作短編「屋根裏の魔女」を読んで以来、ひさびさです。

1作目「始まりの朝に」。担任の女性教師の、自分への態度が気になる男子高校生。どうやら教師は「声オタ」で、自分の声を気に入っているらしい。秘密を知った彼は、「年上の偉い人」をいいように扱うことに喜びを感じるが、やがて互いに恋愛感情が―。

…という展開なのですが、ラストは意外にあっさり。続きは数年後を描いた「最後の夜に」で。先生は声オタ、というか「いい声好き」なんですかね。声が結んだ恋の結末。振り向いた先生の顔とセリフが素晴らしい。

「うたうひと」では高校生と女性僧侶、「なおすひと」では女性僧侶と彼女の想い人の触れ合い。「はなすひと」では口下手な美術教師と購買部で働く女性、それぞれの触れ合いが描がかれます。

どの作品もキャラクターの表情がいい!ですね。泣いたり、笑ったり、はにかんだり。豊かな表情って、読んでいる人間の顔もつられて同じような顔になってしまうんですよね。印象的だったのは「はなすひと」で女性僧侶の心情を描いたシーン。心を揺り動かされるイメージを「パァン」と広がる髪で表現。ああ、恋におちたのね(笑)。

作品共通のキーワードは声・言葉。心に響く声、想いを届ける言葉。どの短編にも優しさがこもっていて、読み返したくなる魅力があります。登場人物の気持ちを、表情を、何度でも楽しみたい。

「アイラーヴァタの象つかい」は象を研究する小柄な日本人女性と、動物園で働くドイツ人象使いの交流が描かれる前後編。恋愛漫画、というか象トリビア満載ですね(笑)。おもしろかったです。

以上、連作短編集「ぼくの夜に星の出る」の感想でした。あっさりテイストながら、味のある漫画を読ませていただきました。次の磯谷友紀作品は「あかねのハネ」に挑戦予定。

【追記】
「あかねのハネ」、読みました!

「ぼくの夜に星の出る」感想に引き続き、磯谷友紀作品を。バドミントンに挑戦する女子高生を描いた漫画、「あかねのハネ」です。 あと...

漫画データ
タイトル:ぼくの夜に星の出る (マーガレットコミックスDIGITAL)著者:磯谷友紀出版社:集英社発行日:2016-04-25
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