当たり前にあった足もとが、謎の天変地異で突然無くなってしまったら―?そんな不思議な、いや恐ろしい現象を描いた漫画が「隣町のカタストロフ」です。
作者は「走馬灯株式会社」などを描かれている菅原敬太さん。

こちらから試し読みもできます。
「隣町のカタストロフ」1巻レビュー
概要
5月28日、午前10時12分。勇矢町・上勇矢町・南勇矢町の3つの町にだけ突然起きた「地変天異」。重力が逆転し、人々の頭上には大地、そして足元には青空が。
ひとたび「落ち」れば確実な死が待っている―、という過酷な状況で、様々なシチュエーションの人間ドラマが展開される、という物語。
1巻では特に決まった主人公はいません。各話の主体は引きこもりの青年だったり、社会人の女性だったり、高校生の集団だったり様々。一歩道を踏み外せば命を失う、極限状況での人間模様が描かれます。
ちなみに「カタストロフ」とは突然の大変動・大きな破滅といった意を持ちます。
想像以上の恐怖感
ここ数年、限定状況に突然放り込まれた人々がサバイバルを繰り広げる、といった内容の漫画が多いですよね。ソリッド・シチュエーションというジャンル、本作も広義にはその部類に入るんでしょうか。
しかし「天地が逆さまになる」「足元の地面が無くなる」というだけで、こんなにも恐怖を感じるなんて…!
もう容赦なく人が空に落ちていく。現象が起こった時刻に屋内に居た人々は難を逃れるのですが、その安全も絶対的なものではない。
そもそも建築物なんて「天地がひっくり返る」ことを想定していないわけで。家屋ごと空に落ちていく、といった悲劇も当然起こります。怖すぎる…!
剥き出しになる人々の本性
漫画「隣町のカタストロフ」のおもしろさはそんな「足元のおぼつかなさ」が一つ。そしてもう一つはその状況で繰り広げられる人間模様。
かつての敵を助けなければいけないとしたら?助ける人間を選ぶ必要に迫られたら?大切な人と離れ離れになってしまったら?
そんな時、自分だったらどのように行動するか、ページをめくりながらつい考えてしまう状況ばかり。
助けをじっと待つか、生き残るために積極的に動くか、はたまた憎いアイツを…。いや、返り討ちにあいそう(笑)。
という感じで、限定的な環境で天と地がひっくり変えるという「あり得ない」状況でも、「もし自分だったら?」ということを否が応でも想像してしまいます。まさに文字通り足元が揺らぐ、そんな怖さを味あわせてくれます。
まとめ
以上、漫画「隣町のカタストロフ」1巻のレビューでした。
さて、こういう限定状況もの漫画。作品によって現象の理由はあったりなかったり。慣れている読者もその空気感を自然に楽しめれば、原因は気にならないもの。
しかし1巻ラストではちょっと気になる終わり方。ひょっとすると「地変天異」の秘密が―?引っ張り方がウマイですね(笑)。2巻が楽しみです。
続刊レビュー
以下、「隣町のカタストロフ」続刊のレビューです。
多少内容に触れる部分もありますのであらかじめご了承を。
隣町のカタストロフ 2巻
地変天異に巻き込まれたアイドルグループ「春風ラムネ隊」のまほりん。
彼女のピンチから2巻スタート。しかしまほりん編は意外な結末を迎えー?
その他、各所で起こる地変天異による悲劇。そして1巻から引き続き登場の高校生グループとまほりんが出会う、という展開。
不穏な人間関係が、「底の無い空」と共に全編を通して重くのしかかる。
読んでると足もとがおぼつかなくなる感じ。良い緊張感・恐怖感が持続する第2巻です。
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