アクション・格闘技漫画漫画感想・レビュー

漫画『どるから』感想―K-1創始者が女子高生に転生!本格格闘&ビジネス

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なんでワシ 女子高生になってもうたんや~~~ッ!!?

格闘技K-1創始者・石井和義氏の魂がなぜか女子高生の体に入り、経営不振の空手道場再建に奔走―?

原作・石井和義さん、作画・ハナムラさんの漫画『どるから』。2023年12月現在、コミックス1~10巻が刊行中。

格闘技界の大御所みずからが原作を務める本作。失礼ながらイロモノか?と思いきや、これが想定外の面白さ

本格格闘技から格闘技ビジネスまで、「格闘技の奥深さ」を多方面で味あわせてくれる漫画です。

『どるから』感想・レビュー

どんな話?主なあらすじ

K-1を創始した空手家にして正道会館館長の石井和義氏。すったもんだの末に刑務所を出所(詳しくはWikipediaを参照してね!)。

…するや否や、トラックに轢かれて臨終の間際に

そこで「助けてあげようか」と語りかける謎の白猫の力で、入院中の女子高生・一ノ瀬ケイの体に転生。病院のベッドで叫ぶ!

なんでワシ 女子高生になってもうたんや~~~ッ!!?」

その後、ケイが「一ノ瀬道場」を営む空手家の父親を亡くしたこと、借金を抱えながら一人で道場を再建しようとするも断念したこと、そして自殺を図ったことを知る館長。

彼女の無念さを感じ取り、K-1で培った持ち前のビジネス魂を発揮!

おたくの金銭消費賃貸契約書と、道場の貸借対照表と出納帳を見せてくれまっか?

と、融資担当の信金職員に相談。館長の周りに漂うケイの魂とともに、本格的に道場再建計画を開始する―!

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説得力ある「格闘技ビジネス」が面白い!

見た目はJK、中身はゴリゴリのおっさんであるケイ=館長。

彼女(彼?)が、転生前の人生で培った知識で、空手道場を立て直そうとする格闘技ビジネス・ストーリーが、『どるから』ならではの面白み。

「空手道場はサービス業のひとつ」と言い切り、キッズ対策に力を入れるべきと主張したり。月謝を手渡しから引き落としに変えるだけで退会者が3割減る、というテクニックを披露したり。

石井館長が正道会館の運営で積み上げてきた道場経営術が、実に興味深い!

その館長が3ヶ月という短期間での経営再建で目指すスタイルは、「スタバ空手」。

詳しくは本書でご覧いただきたいのですが、「スターバックスが売っているものを空手道場にも取り入れる」と聞けば、ピンと来るかも。

いい立地でいい師範がいれば繁盛する!なんていう甘っちょろい考えではなく、経験と理論で固められた再建計画。

体を貸すケイも希望を持ちますが、同時に「父の守ってきたものと違う」と反発も。その行方は果たして…?

本格格闘技パートも迫力あり!

独特の「格闘技ビジネス」要素がユニークな『どるから』。しかし忘れてならないのは、これが「格闘技マンガ」で(も)あるということ。

迫力ある本格的な格闘技アクションも、大きな見どころ

女子高生ながら空手師範であったケイ。そして「その中」のゴリゴリの空手家・石井館長。二人は体格差のある男性や格闘技の天才など、様々な格闘家と相対することに

その戦い方のひとつひとつにビジネスと同様、説得力ある理論的な戦法を展開する館長。

ケンカ殺法とでも言うべき戦い方で、バカ正直なスタイルで挑んでくる若者たちを手球に取っていく、その姿が痛快!

時に相手のウィークポイントを突き、時にスポーツの枠から外れた「ケンカ」としての技を駆使し、テンポ良く展開される戦い。グイグイと引き込まれていきます。

ちなみに館長の教え「ケンカをする時は常に脱出を考えながら!」は、叩きのめした相手が仲間を連れて戻って来た時の経験がもとになっているそうな(笑)。

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知恵と工夫で世の中を渡れ!

そんな『どるから』、ビジネスとアクション、2つの顔で格闘技を楽しませてくれるのですが、そのいずれもに共通するのは「知恵と工夫」。

そこに石井館長の人生を反映させたかのような説得力が詰め込まれ、実に読ませます。

ケイの友人たちの困り事を解決したり、敵対していた格闘家を引き入れたり、道場再建のために徐々に仲間を増やしていく館長。

そして彼らに向かって

館長と呼ばんか~~いッ!!

とコテコテの関西弁で叫びまくるその姿は、見た目はJKながらもう石井館長そのもの。

その強烈なキャラクターから目が離せません

ストーリーも格闘技ビジネスの話をはさみながら、巻が進むに従って格闘技マンガのお約束とも言えるトーナメント戦も開催され、熱い展開に。

一方で、勝利のためには手段を選ばぬ館長の姿勢に疑問を抱き、また自身の不遇から昏い感情を募らせていくケイ。そこにつけ込んでくる謎の黒猫が…!

館長の周りをうろつく白猫と正反対に見えるその存在は、ケイを暗黒面に引きずり込んで、館長と敵対―?さて道場の再建や如何に!

格闘技漫画『どるから』まとめ

以上、原作・石井和義さん、作画・ハナムラさんの漫画『どるから』感想・レビューでした。

実は本作は、いわゆる一つの「転生もの」だったりします。

石井館長は「トラックに引かれて死ぬ」というお約束を通ってるし、見た目JKなのに中身は格闘技もビジネスも百戦錬磨である、というのもチートっぽい。

ですがただ無双するのではなく、時に血を流し、盛大なピンチを乗り越えて前に進んでいくという姿に、その枠におさまらない熱き心を感じます。

それを形作るクオリティの高いハナムラさんの作画も、安定・安心で素晴らしい。

そして何より館長の強烈なキャラクターは、見ていて飽きないおもしろさ。

「本格格闘技アクション」「格闘技ビジネス」両面から楽しめる、異色の格闘技漫画です。

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