FEEL YOUNG(フィール・ヤング)誌発のおすすめ漫画まとめ

この記事は約8分で読めます。

祥伝社のコミック誌「FEEL YOUNG(フィール・ヤング、略称フィーヤン)」。

ご存知無い方もいらっしゃるかもしれませんが、過去「あなたのことはそれほど(いくえみ綾)」「うさぎドロップ(宇仁田ゆみ)」「きみが心に棲みついたS(天堂きりん)」などドラマ・アニメ化された作品を多数排出。

現在も「違国日記(ヤマシタトモコ)」「いいね!光源氏くん(えすとえむ)」などの話題作を掲載している、隠れた(?)名コミック雑誌です。

そんなフィーヤンに掲載される漫画、

  • 絵柄が洗練されている
  • 長期連載以外に、少数巻完結・短編集が充実
  • 意外とドロドロした話が少なく読みやすい

という傾向があり(※主観です)、男性が読んでもおもしろい!と思える作品が揃っています。というわけで以下、フィール・ヤング誌発のおすすめコミック紹介など。

フィーヤンのおすすめ漫画

違国日記

ヤマシタトモコさんの「違国日記」。既刊5巻で以下続刊。事故で両親を失った高校生と、姪である彼女を引き取った女性小説家。血縁関係がありながらもまったく異なる性質を持つ二人の女性の交流を、じっくりと描く人間ドラマ。

独特の感性を持つ女性小説家と、思春期まっさかりの姪。そして彼女との生活を通して浮かび上がってくる、確執のあった実姉への思い…。繊細な人間関係を基本シリアスに、時にユーモアを混じえて描き出す、ヤマシタトモコさんの表現力が読ませます。

グッド・バイ・プロミネンス

ひの宙子さんの「グッド・バイ・プロミネンス」全1巻。様々な人間関係のワンシーンを、オムニバスで描く連作短編集。物語が進むにつれ明らかになってくる、登場人物たちの関係性と、終盤で描かれる「ハッ」とする瞬間が、魅力的。

胸を締め付けられるような焦燥を感じる話から、思わず笑っちゃう話まで、NL・BL・GL取り混ぜて満足の読後感。短編としても、一冊通しての物語としても、おもしろい。なお本作は作者のデビュー単行本とのことですが、そうは思えない完成度の高さです。

雑草たちよ 大志を抱け

池辺葵さんの「雑草たちよ 大志を抱け」全1巻。地方都市のとある高校に通う、どちらかと言えば地味なタイプの女子高生5人の物語を連作で描く短編集。

池辺葵さんの漫画らしい、ゆったりとした時間の流れと独特の間。その中からにじみ出てくる、各主人公たちの優しさが、じわじわと胸に染み入ってくる感じが好き。エピローグであす主人公のお母さんが語る言葉が、とても素晴らしい。全1巻完結なので、池辺葵さんの漫画の入門書としてもオススメ。

うどんの女

えすとえむさんの「うどんの女(ひと)」全1巻。大学の食堂のうどんコーナーを担当する女性(バツイチ35歳)と、美術系大学生(21歳)。二人がうどんを通して恋愛を育んでいく?ちょっとコミカルな恋愛漫画。

男子がうどんコーナーに安さから通い詰めたばっかりに、妙に意識しだしてたどたどしいコミュニケーションが。しかし女性は実は教授の元妻だったりして、複雑な雰囲気に。アダルティックな雰囲気なんだけど、物語の根っこにあるのが「うどん」ということで、不思議と笑ってしまう物語。

えすとえむさんのフィーヤン・コミックは、ほかに短編集「新装版 このたびは」もオススメ。

名づけそむ

志村志保子さんの「名づけそむ」全1巻。人名に絡めた出来事を描くショート・ストーリー10編を収録。これは第一話、男のために夫と幼い娘を捨てた女性が、18年ぶりに娘と再会する、という話が個人的に好きすぎて。

出奔後、男と別れひとり暮らしをする女性は偶然、娘と再会し「結婚式に出て欲しい」と請われる。が、それを知った元夫から出席を拒絶。再び娘に会った女性が取った行動は…?

決してハッピーエンドじゃないんだけど、現在の女性の姿から過去、そしてこれからの人生までを、不思議と想像せざるを得ない大人の物語。何度読んでも味わい深い。

WHITE NOTE PAD

ヤマシタトモコさんの「WHITE NOTE PAD」全2巻。男性と女性の精神が逆転する「入れ替わりもの」。といっても全然さわやかじゃないやつ。

17歳の女子高生と38歳の中年男性の心が入れ替わり。「17歳」は読モとして新しい人生を謳歌。一方の「38歳」は生きる術を持たずに職も失い、その日暮らしの毎日。そんな二人が偶然「再会」。女は男に「助け合おう」と提案するが…?

年の差のある男女間で起こった入れ替わりの恐ろしさ・残酷さが、ドス黒い雰囲気を醸し出す。このまま陰鬱な展開が…と思いきや、「『わたし』とは?」と思わず考えてしまう、意外な方向へ向かう物語です。

ヤマシタトモコさんのフィーヤン・コミックとしては、他に「HER」「ミラーボール・フラッシング・マジック」「Love,Hate,Love.」もオススメ。

リクエストをよろしく

河内遙さんの「リクエストをよろしく」全5巻。売れないピン芸人、元相方、ラジオ局の美人ディレクターを中心に、ラジオ業界の裏側と番組が作り上げられていく様が描かれます。

女性誌フィール・ヤング+河内遙という組み合わせながら、驚くほど恋愛要素の少ない漫画。しかし反面、「ラジオ業界漫画」としてとても誠実なつくり。主人公の芸人・颯太の成長と、仲間たちの尽力が、やがて大きく花開いていく様子。不思議な充実感を感じさせてくれます。

作者はラジオ好きとのことですが、それだけに漫画という枠組みの中で「ラジオ感」がビンビン伝わってきます。読み終わったあとは、思わずラジオが聞きたくなってくるはず。

ヘルタースケルター

岡崎京子さんの「ヘルタースケルター」全1巻。沢尻エリカさんの主演で映画化もされました。大人気トップモデルの「りりこ」は、実は全身整形によって生み出された存在。しかし彼女の容貌は次第に綻び、それとともに精神が崩壊していき…。

「ヘルタースケルター=螺旋状の滑り台」というタイトルが示すように、奈落の底へと転落していく様子に、恐怖を覚えます。と同時に、彼女がどこへ行き着くのかを見届けずにはいられない。読み出すととまらない、不思議な魅力のあるサイコ・サスペンス。

ララバイ・フォー・ガール

松崎夏未さんの「ララバイ・フォー・ガール」全1巻。人生を楽しんでいるギャルとの交流を通して、自身の価値観を徐々に変化させていく優等生女子を描く表題作ほか、4編を収録した短編集。

クオリティの高い洗練された美麗なビジュアルが、フィーヤンらしくて大変良い。中身もほどよくドロドロ、しかしクドすぎない、いい塩梅の読み応え。夢破れ帰郷したサッカー選手が、かつて心を動かされた同級生に再会、束の間の交流を重ねる「お寺の道子ちゃん」が、個人的に特に好き。不思議なエロティシズムを感じさせる道子ちゃんの話、もっと読んでみたいなぁ。

夏雪ランデブー

再び登場、河内遙さんの「夏雪ランデブー」。全4巻+番外編1巻。花屋のアルバイト・葉月くんの想い人は、店主である未亡人・六花。しかしある日、六花の亡き夫・島尾の幽霊が視えるようになった葉月くん。以降、島尾は葉月くんと六花の仲を邪魔するように…という、男女+幽霊の三角関係を描く恋愛漫画。

描かれるしっとりした男と女の恋愛模様は、多くの恋愛作品を手掛けている河内遙漫画ならでは。しかし中盤以降、島尾に自分の体を貸した葉月くん=島尾と、六花がいい感じになって話がややこしい方向へ。愛と狂気のいりまじった展開が、せつなくもほのかに恐ろしい。

真夏のデルタ

綿貫芳子さんの「真夏のデルタ」全1巻。歯並びの悪さを気にしている女子、その歯を触りたい美術系男子、女子の彼氏でイケメン・スポーツ万能だがある悩みを抱える男子。彼・彼女らの胸の内が、全5話で描かれます。

若々しく、瑞々しい青春を生きる若者たち。しかし高校生という多感な時期に、その内面にはほの昏さも。それらが噴出した時に発露する、若々しい「生」がまぶしい!作者・綿貫芳子さんの絵のウマさにも注目。人物・背景・その他数多くの表現に見どころがいっぱいあります。

ハウアーユー?

山本美希さんの「ハウアーユー?」。優しい夫と美しい外国人妻、そしてその娘。絵に描いたような理想の家族が、夫の失踪をきっかけに壊れていく様を、隣家の少女の視点でつづっていく、全編描き下ろしの上下巻。

なぜ夫が失踪したか?を探るタイプの話ではなく、またサイコ・サスペンスでもありません。描かれるのは、ただ「普通の人間」。しかしそれだけに、誰の身にも降りかかるかもしれない、という底知れない怖さが伝わってくる。また全体を通して決してハッピーな話ではないのだけれど、でもその中にいくらかの優しさも感じる、不思議な作品。

Silent Blue

「水」をテーマにした漫画を多数手掛ける、安堂維子里さんの「Silent Blue」。隕石の落下で湖となった「街」に眠る、自身の失われた記憶を求める女性ダイバー描くライトなSF全1巻。

主人公・あおこが湖へとダイブする時の、ファンタジックな表現がとても印象的。深く・暗い水の底へ、底へと潜る彼女。その深度に思わず息を止めてしまい、しかしそこに広がる光景に知らず知らず見入ってしまう。全編に漂う瑞々しさと、あおこの真っ直ぐな瞳がいつまでも心に残る作品です。

安堂維子里さんのフィーヤン・コミックは、他に「雪女幻想 みちゆき篇」とその続編である「雪女幻想 うたかた篇」があります。

ワルツ

押見修造さんが女性誌で初めて描いた、という読み切り41P「ワルツ」。幸せであると表面的に感じてはいるが、どこか満たされない少女。いじめれっ子である隣の男子の女装を見てしまった時に、ある欲望が…。

押見修造作品らしく、少し歪な性根を持つ登場人物たち。しかしそれ故か、みな独特の美しさ・輝きを放っているのも、氏の作品らしい。微妙なモヤり加減を残すラストも味わい深い。

まとめ

以上、祥伝社フィール・ヤング発のおすすめ漫画でした。自分もまだまだ読めてない作品が多数。またおもしろい漫画を読んだら追記します。

フィーヤンの漫画は女性向けでありながら、男性が読んでもおもしろいんじゃないかと思います(実際に自分はおもしろいと思っている)。一度読んでみると、新たな漫画の地平が開けるのでは。

コメント

タイトルとURLをコピーしました