「ここは今から倫理です。」2巻―より深みを増した、高柳先生の倫理の時間

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一見クールに見えるが、熱きものをその胸のうちに秘める倫理学教師・高柳。その高柳と彼の受け持つ生徒たちの交流を、倫理学の名言を交えてつづる異色の学園ドラマ「ここは今から倫理です。」。第2巻のレビューです。

倫理学の教科書を片手に微笑んでいる(?)高柳。1巻発売と同時に話題になった「ここは今から倫理です。」ですが、2巻も1巻以上のドラマが待っていました。

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「ここは今から倫理です。」2巻レビュー

「ここは今から倫理です。」2巻は、以下の6話を収録。

  • #6 見たい顔
  • #7 教師の資質
  • #8 普通の人間
  • #9 本当の私
  • #10 優しくていい人
雨瀬シオリ「ここは今から倫理です。」2巻
[雨瀬シオリ 著 集英社「ここは今から倫理です。」2巻より引用]

同僚教師にも容赦のなく与えられる高柳節。どの話も満足の読み応えだったのですが、特に印象的だった回を2つほどご紹介。

1つ目は「#7 教師の資質」。家庭事情により、人との距離感をつかみにくい男子生徒。不安からか、気を許している先生の体に触りたがる。

女性養護教諭とともに、彼に慕われている高柳。

「煩わしいかもしれないけど大目に見て」

養護教諭の言葉に、しかし高柳は

「…ダメです…」

雨瀬シオリ「ここは今から倫理です。」2巻
[雨瀬シオリ 著 集英社「ここは今から倫理です。」2巻より引用]

高柳が思い出すのは、若き頃の恩師の言葉。助けを求められたときに、我々が行うべき「最高の善」とは何だ?

生徒を公平に扱わねばならない、教師という仕事。不公平性の許されない職業倫理の中で、心の救いを求める生徒に高柳はどのように向き合うのか。

高柳の選択と、心の葛藤。そして彼の教師としての倫理観を作り上げたであろう、若き日のディスカッション。高柳のルーツが垣間見える、興味深いエピソードです。

もう一編の注目話は、「#9 本当の私」。

SNSのフォロワー数が約1,900人の女子生徒。容姿に自信の無い彼女は、体の一部分を写した際どい画像を日々アップし、その反応で自尊心を満たす。

しかし授業中にスマホをいじっていたところを高柳に見つかり、指導を受けることに。

そこで高柳が彼女に話したのは、「人格(ペルソナ)」。

ペルソナとは、わかりやすく言うと仮面のようなもの。人は誰しも、その立場に合わせた仮面を被っている。

SNS上の仮面を愛しすぎている女生徒に、ストア派の哲学者・エピクテトスの言葉を借りてその概念を伝える高柳。

雨瀬シオリ「ここは今から倫理です。」2巻
[雨瀬シオリ 著 集英社「ここは今から倫理です。」2巻より引用]

この高柳のペルソナに関する説明が実にわかりやすい。その心は彼女に、そして読者に、どのように届くのか。

そんな「ここは今から倫理です。」2巻の各エピソード。1巻では探りさぐり、高柳という人物をつかもうとした読者。しかし僕らはもう高柳先生を、その心の奥底にある熱いものを知っている。

巻を重ね、より深みを増したその世界。たっぷりと楽しむことができました。おもしろかったです。

そして2巻の最後では新たな問題、これまでとは異なる展開が用意されて、続きが気になる終わり方。次の「倫理の時間」が待ち遠しい。

それにしても高柳先生、生徒たちに「たかやな」とかニックネームで呼ばれて、なかなか人気出てきたなぁ。ほほえましいw。

ここは今から倫理です。 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)著者:雨瀬シオリ出版社:集英社発行日:2018-06-19

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