「ゴールデンゴールド」―離島を侵食する異形は神か悪魔か

「このマンガがすごい!2017」「マンガ大賞2017」ほか、数多くの人気マンガ賞のノミネート・ランクインしている漫画がこちら。堀尾省太氏えがく「ゴールデンゴールド」です。本記事作成時、既刊2巻が発売中。

耳たぶが垂れた、福々しさと禍々しさが同居したような何とも言えない容貌の「フクノカミ」。SFホラーを描いた「刻々」で一躍人気になった作者の堀尾氏。高橋のぼる氏と能條純一氏に師事したそうですが、なるほど確かに能條氏の雰囲気を継いでいる画風です。

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あらすじ

戦国の世。海辺を歩く一人の侍の足元には、一様に不気味な表情を浮かべた亡骸の群れが横たわる。刀を納めながらつぶやく侍。「奴だけがおらん…」

時は流れて現代。親と離れて離島で商店兼民宿を営む祖母と暮らす早坂琉花(はやさかるか)は、想いをよせる男子のためにアニメショップを島に建てたいと願う中学生。ある日彼女は海岸で奇妙な置物を拾う。「福の神」らしきそれを磨き、願を掛けようと祠に祀ると異様な姿の「フクノカミ」が出現。

なぜか祖母宅に居座ったフクノカミ。琉花や宿泊客である作家・黒蓮らには異形に見えるが、島の人間には「ちっちゃいおっさん」にしか見えないそれ。やがて祖母の商店に幸運をもたらすようになる。

外見も華やかになり、事業を拡大しようと精力的に動き出す琉花の祖母。活気づき、しかし突き動かされるように動く彼女の背後には、怪しげなフクノカミの力が…。

「ゴールデンゴールド」感想

1巻ではじわじわと島を侵食していくかのような「フクノカミ」の影響が、比較的ゆるやか・まったりと描かれます。島外出身者の目には奇妙な姿にうつっても、島内の人間には自然に受け入れられている、というのが不思議なところ。この現象に物語の核心がありそう。ネタバレは避けますが、ラストの祖母の様子は必見。鳥肌が立つ怖さ。

2巻ではさらにコンビニ、スーパーと事業を急激に拡大しようとする祖母。しかしそこは狭い島でのこと。当然反発する人間も出現。危機感をいだいたスーパー経営者があからさまな嫌がらせを仕掛けてきますが、彼女は歯牙にもかけずむしろ「ライバルにもならん」と一蹴。そして島の人間を巻き込んで島の力を強化する会を主催。フクノカミの力により恩恵を受ける支持者。そして変化を嫌う旧勢力は強硬手段を…。

カルト的な力を発揮する新興勢力VS既得権益者という対立軸はいつの世も変わることがありませんが、こういうリアルでいや~な部分の描き方は「刻々」からさらに磨きがかかって、いい意味でげんなり(笑)。もちろんこの「ゴールデンゴールド」はビジネス漫画ではないので、ホラー・オカルト好きの展開もいよいよ2巻で本格的に…という感じ。ワクワクします。

堀尾省太さんは雰囲気というか、物語の世界観づくりが実に巧み。ちょっとした点からはじまったものが、その正体はわからないのだけれど、じわじわと「何か」を広げていく。フクノカミの目的は何か?島民はどうなってしまうのか?そもそもフクノカミってなんだ?そんな「得体の知れない恐怖」の行き着く先が気になってしょうがありません。今のところ傍観者である琉花と協力者になりそうな黒蓮の活躍も楽しみ。「ゴールデンゴールド」、これから盛り上がり必至の漫画なので、はまるなら今だ!おすすめです。

漫画データ
タイトル:ゴールデンゴールド(1) (モーニングコミックス)著者:堀尾省太出版社:講談社発行日:2016-06-23