「インハンド」1巻―新シリーズ開幕!義手の天才科学者描くサイエンス・ミステリー

「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」の続編である「インハンド」、待望の1巻を読みました。2019年4月からはTVドラマシリーズも始まる、人気のサイエンス・サスペンスです。

作者の朱戸アオさんは「インハンド」シリーズはじめ、ペストによるパンデミックを描いた「リウーを待ちながら」全3巻など医療・科学サスペンスに定評のある漫画家さん。新シリーズの「インハンド」も、期待に違わぬおもしろさでした。

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「インハンド」1巻レビュー

概要

サブタイトルの取れた「インハンド」。主人公である義手の寄生虫科学者・紐倉は、もともとは全1巻完結漫画「ネメシスの杖」の副主人公。その後「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」でメインになり、相棒の高家とともに、医療・科学にまつわる難事件に関わっていきます。

本記事で紹介する「インハンド」は、その正統な続編である新シリーズ。紐倉・高家コンビと、彼らに協力依頼をする内閣情報調査室・牧野らレギュラーメンバーが、新たな事件・謎に挑みます。

インハンド(1) (イブニングコミックス)朱戸アオ:講談社

なお現在は「ネメシスの杖」は「インハンド プロローグ1 ネメシスの杖」に、「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」は「インハンド プロローグ2 ガニュメデスの杯、他」と改題。新シリーズ「インハンド」のプロローグ的な位置づけとなっています。

本作は続編なので、できれば最低限、紐倉と高家がコンビとなるプロローグ2を読んでおいた方が良いでしょう。なお「リウーを待ちながら」も読んでおくと、よりハッピーな読後感になります。

「インハンド プロローグ」含め、朱戸アオさんの漫画については下記記事もどうぞ。

「ペルセポネの痘」あらすじ

「インハンド」1巻では、「ペルセポネの痘(あばた)」1~5話と、「キマイラの血」1~2話を収録。「キマイラの血」は2巻に続くので、本記事では「ペルセポネの痘」の紹介・感想を。

もとは植物園である紐倉の研究所に訪れる、内調の牧野。紐倉と助手の高家は、彼女から「天然痘(てんねんとう)」に感染したと思しき患者の写真を見せられる。1977年に地球上から根絶されたウィルスである天然痘。感染してから3日以内はワクチンが有効だが、致死率の高いタイプでは20~50%が死亡する。

10数名が感染・隔離されている状態で、バイオテロを疑う紐倉と高家。感染経路をたどると、ビジネスホテルの防犯カメラで、シーツに謎の液体を噴霧する男の姿を確認。事態が人為的に引き起こされたことを確信する。

そこに牧野から、ウィルスが正確には天然痘ではなく、天然痘と同じポックスウイルス科の「オルフウイルス」であるとの連絡が。それは紐倉に依頼されたバイオセキュリティレビューに記載のウィルスと、同一名称だった。

急ぎその研究者と連絡を取ろうとする紐倉。しかし研究者は謎の失踪を遂げていた。果たして犯人はその研究者なのか?そしてその目的は?

…以上が「ペルセポネの痘」の導入部あらすじ。以降、バイオテロ事件の真相を追う、紐倉と高家の活躍が描かれます。

専門知識を盛り込んだサスペンス

前作収録の「ディオニソスの冠」「ガニュメデスの杯」「モイラの島」に続き、ギリシャ神話の女神「ペルセポネ」の名を冠した物語。読み終わった感想としては…。

うん、おもしろい。そして、これは朱戸アオさんにしか描けない漫画だ!ということを再認識。豊富な科学知識をふんだんに練り込んだストーリーと、サスペンスフルな展開に、グッと引き込まれます。

話の主体に天然痘(※正確にはオルフウイルス)を持ってきたのがユニーク。すでに地上から姿を消したウィルスですが、紐倉によると世界で2箇所、保管場所があるとか。しかも理論上は人工合成も可能とのこと。怖いけど、そういうおもしろい知識を知れるのも「インハンド」の魅力。

さらにそれをミステリー展開に組み込み、また社会問題(今回はとある野生動物の話)とも絡めて描くのが、朱戸アオ漫画の真骨頂。ただエンタメを読んだ、というだけではない。読み終わったあとに、自分が生きている世界をちょっと俯瞰してみたくなるような、不思議なスケールを感じます。

義手の謎。そして新たな登場人物が

そんな新「インハンド」。前シリーズと読み比べて気づくのは、紐倉と高家のコンビ感が、より高まっていること。ナチュラルに憎まれ口を叩き合いながらも、根っこで信頼関係を築いている様子が窺えます。

また気になる紐倉の筋電義手の謎。なぜ紐倉が右手を失ったか、についてはこれまで明らかになっていませんでしたが、第一話冒頭で紐倉がビルの屋上で右腕を引きちぎられるシーンが。

これはあくまでも紐倉の回想イメージなのですが、紐倉の右手を握ったその人物の口からは、「君の幸運の右腕を(もらっていくよ)」という気になるセリフが。その他にも紐倉の経歴に関わる描写が練り込まれ、彼の過去が明らかになっていきそう。

さらに「ペルセポネの痘」の最終話では、朱戸アオさんの過去作からあの人物が登場!ネタバレになるので深くは触れませんが、これがまた意外な形・意外な役割。おそらくレギュラーとなるのでしょう。その活躍が楽しみです。

まとめ

以上、「インハンド プロローグ」から続く新シリーズ、「インハンド」1巻のレビューでした。個人的に前シリーズの「インハンド」が大好きなのですが、さらにパワーアップした読み応え。満足。

4月からドラマもスタートし、まさに今が旬の漫画。2巻に続く「キマイラの血」の続きも気になる内容。ぜひ多くの人に手にとって欲しい漫画です。

なお上でも触れましたが、本作をより楽しむためには、「インハンド プロローグ」シリーズを読んでおくのがオススメ。紐倉と高家がコンビとなる「プロローグ2」は必須です。また「リウーを待ちながら」全3巻も読んでおくと、より幸せな読後感が得られるでしょう。

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