「インベスターZ」全21巻―経済を動かす少年投資家たちの闘い

全21巻をもって完結となった三田紀房さんの漫画「インベスターZ」。完結を記念して、電子書籍全巻がほぼ単行本1冊の値段で買えてしまうという、ありえないセールが開催されました。

というわけで電子版の「インベスターZ」全21巻をようやく読了。

超進学校に入学した新中学一年生が、学校の財政を一手に担う「投資部」で投資の世界に足を踏み入れていく、という投資・経済を描く漫画です。

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あらすじ

北海道・札幌市に位置する道塾学園は、約1,000名の学生を擁する私立の中高一貫校。

豪商・藤田金七が人材育成を目的として創設し、創立130年の歴史を誇る道塾は学費も無料。道内外から優秀な生徒が集まる。

その中等部にトップの成績で入学した財前孝史(ざいぜん・たかし)。入学直後に怪しい先輩に図書館の秘密の部屋へと連れて行かれる。

そこで財前を出迎えたのは麻雀に興じる先輩達だった。彼らは生徒たちには秘密にされている「投資部」の部員たち。

各学年から一人ずつ、中学入学時にトップの成績を取った生徒のみで構成される投資部。これまでに築き上げた総資産約3,000億円を運用、道塾の経費を稼ぎ出していた。

そして投資をこの世で一番エキサイティングなゲーム、と言い切る高校3年生の部長・神代は、財前に言う。

「君は今日から 道塾学園投資部6人目のメンバーだ」

「インベスターZ」全21巻レビュー

テーマは「投資」

「ドラゴン桜」や「マネーの拳」など数々のビジネス漫画をヒットさせている三田紀房さん、本作のテーマは「投資」です。

学費無料の私立学校の経費が、実は在学中のエリートたちによる投資で賄われている、という設定。

主人公の財前孝史は少し前まで小学生だったので12歳。

そんな彼が右も左もわからない投資の世界に足を踏み入れ、ン千万、ン億の大金を動かしていく。

ちなみにインベスターは投資家、Zは財前のZです。

実在の人物も登場

物語で基本的に描かれるのは、投資部の活動を通した財前の投資活動。株やベンチャー投資など、道塾の資産を増やすためにいろいろな投資を経験します。

またそれらの描写を通して、同時に投資やお金のなんたるかや、日本人のお金や投資に対する考え方が描かれます。

その中で、道塾の経営者であり藤田家現当主である藤田繁富とのやり取り・駆け引き、またその孫娘・美雪との掛け合いなど、道塾・藤田家との関わりが描かれます。

ホリエモンや前澤友作氏(ZOZOTOWN創業者)など実在の人物も登場、また財前の曽祖父であり投資部の創設者・龍五郎の謎にも迫ります。

そして後半のメインは美雪の兄であるスーパー高校生・慎司との勝負。

道塾投資部の存続を賭けて、投資に関連する三番勝負が展開されます。

作品全体の感想

さてそんな漫画「インベスターZ」。全21巻となかなかのボリューム。

全巻を通した感想を簡潔に言えば「おもしろくて、ためになる」といったところでしょうか。

中学一年生にして天才児、そして投資部創設者・龍五郎の血を引く財前君。

その頭脳と度胸もさることながら、既存の風習を破壊するイノベーターとしての魅力があり、その行動に驚かされます。

と同時に描かれる、投資・お金の本質、お金や投資に対する日本人の姿勢が実に興味深い。

お金の歴史や投資の基本的な事柄、そして投資が根付いていない日本人の国民性など、なるほど、と思わせられる事柄ばかりです。

設定は漫画らしい奇抜なものですが、投資・お金・経済や問題提起などは、実にリアルに描かれます。

お金が苦手な人にこそオススメ

正直に書けばストーリー漫画としてはもう一つの出来

いろいろ散りばめられた伏線の回収が中途半端だったり、三番勝負の合間に違う出来事を長々と挟んだり、通して読むとアラが目立ちます。

その時々で作者の書きたいテーマを詰め込んでいった、という印象。

ですが本作にはそれを補ってあまりある魅力があります。

特に投資に興味がある初心者や、お金について考えることがちょっと苦手という方は一度読むべき。

世の中のカラクリや成功者の考え方など、学校では決して学べない知識・考え方が手に入ります。

また学生にもオススメ。実際に小学校高学年の息子に少し読ませてみましたが、漫画の読みやすさも手伝い、貪るように読んでいます。

三田紀房さんの視点で厳しくもおもしろく描かれるお金の世界。私の若い頃にもこんな漫画があればなぁ、とつくづく感じました。

まとめ

というわけで漫画「インベスターZ」全21巻。

ストーリー漫画としては微妙なところもありますが、それ以上に内容の詰まった作品。一度手に取ればそのパワーに圧倒されること請け合いです。

もちろん、お金や投資についての考え方は人それぞれです。

が、本作を読めば自身の持っているもの、これまで当たり前と考えていたことがちょっと揺らぐ。そんな感じをきっと受けるのではないでしょうか。

それにしても、全21巻を単行本ほぼ1巻分の価格で売り出す。スゴイことですね(今回のセールは1~20巻まで1巻あたり5円なので全21巻で640円)。

本作は講談社モーニング誌連載でしたが、電子書籍の出版はコルク社。以前にも15巻までを1巻1円、2巻2円…という「右肩上がりセール」をして話題になりました。

漫画を「1巻=1円、2巻=2円」という破格で販売したところ、とんでもない広告効果がありました!
こんにちは。「メインは法務、その他諸々。」コルクの半井(@shionakarai)です。契約書を作ったり、経理 …

おいそれとマネのできるセールではありませんが、インベスターZや三田紀房作品を読んだことの無い人にも漫画を手に取らせる、その戦略が見事。

そして読み終わった人が話題にしたり、感想を書いたり、人に勧めたりして、さらに作品が広まっていく。

この漫画の売り方自体にビジネス・お金に関する戦略が詰まっている、とも言えます。

そんなことを考えながら「インベスターZ」を読むと、よりおもしろみが増してくるのではないでしょうか。

インベスターZ(1)著者:三田紀房出版社:コルク発行日:2013-09-20

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