漫画「違国日記」8巻ショート・レビュー

ヤマシタトモコさんの漫画「違国日記」8巻のショート・レビュー。

両親を亡くして「不幸」な朝と、同性を愛することに葛藤を抱える友人・えみり。二人の対話に始まり、物語は朝の「お父さん探し」へ。実在感の薄い父の姿を掴もうとする彼女、その心が向かう場所は…?

各登場人物の心情を、日常会話形式で顕にしていく描き方。昨今の漫画界ではなかなかやりにくい(いろんな意味で)と思われるが、大胆にその手法で物語を作り上げていけるのは、流石のヤマシタトモコといったところ。セリフから人物の背景を類推して、その思いをすくい上げていく作業。時間はかかるが他の漫画には無い読み応えがある。

一方「私はその時こう思った」のような、主体の心情をモノローグで明示するタイプの作品ではないので、読み手によっては少し難しい作品になってきたのかもしれない。決して難解ではないのだが、言わんとするところを噛み砕いて理解していくためには、普通の漫画よりも少し時間のかかる作品。

逆にじっくり読むと浮かび上がってくるものがあって、そこが何よりの面白みでもある。特に今巻は脇役も含めて「多様な人間」が描かれており、これまでの描写とも相まって人物の存在感を非常に強く感じる。朝の若さゆえの真っ直ぐさ、笠町くんの鬱屈と素直さ、好きだなぁ。

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