漫画「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」―文学感あふれる短編集

今、気になっている漫画があります。黒谷知也氏作の「書店員 波山個間子」。「波山個間子」は「はやまこまこ」と読みます。

こちらを読もうかな、と思ったら、短編集「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」の収録タイトルにも「書店員 波山個間子」の文字が。

何かのシリーズに手をつける時、一番はじめから読まないと気が済まないという難儀な性質がある私。気づいてしまった以上、道を外れるわけにはいきません。

というわけで黒谷知也さんの漫画に初挑戦です。

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概要

短編集「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」。

結婚式の前々日に婚約者に自ら命を絶たれ、一人のこされた男性の心情を描く表題作他、全12話を収録。

作者・黒谷知也はIKKI新人賞[イキマン]単行本描き下ろし部門を受賞。本作が初単行本とのことです。

感想

各話の長さは数ページ~20ページぐらいのものまで様々。特にテーマに一貫性は無く(と思われる)、いずれも現代の日常風景が描かれています。

数話読んで気づきます。「なんか普通の漫画と違う…?」

さらに読み進めて得心。どの作品も文学作品のような雰囲気があるんですね。普通の漫画よりもやや多めのネームと、淡々と描かれる物語。1編の文学短編を読んでいるかのようです。

文学作品というのは読後、読み手がその作品についていろいろ振り返るところに楽しみがあると思う(※個人的見解)のですが、この「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」収録各作品もそんな楽しみを読者に与えてくれます。

魅力ある小学校の同級生と再会した女性の心の動きを描いた「平日に、オープンテラスで」。

書道教室に通う男子高校生のお目当て―「自転車は晴れ」。

心の溝を感じながらも二人で生きる母娘の微妙な距離感を描いた「メモリーズ」。

などなど。読んだあとにちょっと戻って、登場人物の心情をおもんぱかる。うん、楽しい♪

気になっていた「書店員 波山個間子」は個間子のキャラクターが立っていていいですね。単行本の方では「青ひげブックス」のブックアドバイザーという設定のようですが、こちらでは店名表記は無し。アナザーストーリー的な関係でしょうか。

特にその世界観が印象に残ったのは「谷後先生(やごせんせい)」。読書感想文を通して中学生女子と初老の男性国語教師との交流を描いた作品。恋愛などとはまた別の、思春期の真っ直ぐさ・純朴な心情がとつとつと展開され、うん、これは文学だ。良い。

まとめ

以上、漫画「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」の感想でした。漫画も小説も読む、文学も好きだよ、という方にぜひおすすめしたい作品です。

「書店員 波山個間子」はまた単行本にチャレンジ予定。気になった方は掲載誌「COMIC it」のWEBサイトで試し読みができます。

お探しの本は、ありますか? 本との出会い、お手伝いします。 「青ひげブックス」で、ブックアドバイザーとして働く書店員・波山個間子。接客はすこし苦手だけど、読書量と本の知識ならこの店随一。お客様と本との出会いをとりもつために、本棚の間に広がる世界を彼女は今日も歩きまわる。

また作者・黒谷知也氏のWEBサイト「鳴汀堂.com」ではWEBマンガとしてペン入れした漫画以外にも、ネーム段階の作品他、多数の漫画を意欲的に公開されています。こちらもチェックどうぞ。

鳴汀堂.com

漫画データ
タイトル:幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい (IKKI COMIX)著者:黒谷知也出版社:小学館発行日:2014-10-30
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