「ロスト・ラッド・ロンドン」―スタイリッシュな筆致で描かれるクライム・サスペンス

深夜の地下鉄で起こったロンドン市長殺害事件。容疑者となった青年と彼の無実を信じる警官は、協力して独自に真犯人を探すことに―。

2021年1月に1・2巻が同時刊行となった、シマ・シンヤさんの「ロスト・ラッド・ロンドン」。月刊コミックビームにて連載中のミステリー・サスペンス漫画です。

この記事は読むのに3分もかかりません。

「ロスト・ラッド・ロンドン」感想

あらすじ

とある日の深夜、ロンドンの地下鉄にて市長が刺殺される。警察が捜査し数日が経つも、犯人は依然不明な状況。

そのロンドンに住むアルは、「他人には期待しない」がモットーの青年。やや複雑な家庭環境を持つが、至って普通の大学生である彼。事件後、自分の上着に血の付いたナイフが入っていることに気づく。

事件後にアルのもとを訪れたのは、ニュー・スコットランド・ヤードの刑事エリス。事件発生時に地下鉄を利用していたアルに話を聞くが、その過程で彼から血の付いたナイフを渡される。

実は過去に冤罪事件絡みで、被疑者の自殺に遭遇したことのあるエリス。会話からアルの無実を感じ取り、提案する。「真犯人をみつけるんだよ」

ロスト・ラッド・ロンドン 1 (ビームコミックス)シマ・シンヤ:KADOKAWA

独特の漫画手法がスゴイ

かくして手を組んだアルとエリス。真犯人を探すためにバディとなった二人が、ロンドン市長刺殺事件の真実へと迫っていく様が描かれていきます。

注目は、作者シマ・シンヤさんの漫画表現。独特の線とトーンによって紡がれていくコマの数々、スタイリッシュな感じでとてもイイ!日本ではない、海の向こうで起こっている事件、という異国感もあり、作中の世界観に引き込まれます。

また擬音語・擬態語を一切使わない、という手法も斬新。漫画では「ドーン!」「バリバリ」「シーン」など、セリフ以外の文字で状態や雰囲気を表すのが一般的ですが、それらが無くても漫画として成り立っている、というのはスゴイ。

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本格サスペンスとしては…

しかし「ロスト・ラッド・ロンドン」、本格ミステリー・サスペンスとしてみると、いろいろと疑問点も。特に気になったのは、

  • エリスがアルを無条件に信用しすぎ
  • ナイフをアルのポケットに入れた目的は?

という2点。

エリスは過去に冤罪事件に関わったという後悔があり、またエリス・アルとも社会の中で人種的にマイノリティである、という背景があるのですが、それを考慮してもロンドンという世界有数都市の首長が殺された事件の捜査で、血の付いたナイフという物証を出してきた相手に対して現職の刑事が心を寄せることが出来るのか?というのは疑問。

また真犯人(?)はアルのポケットに殺害の凶器であるナイフをこっそり忍ばせるのですが、苦労して実行したわりにはそれを有効利用していない。ナイフを仕込んだ理由は普通に考えるとアルを犯人に仕立て上げることだと思うのですが、貴重な物証をそのまま放置しているのは解せません。

まあミステリー・サスペンスが全てにおいてリアルであるべき、とは思いませんが、アルとエリスが信頼関係を築く過程は物語の肝なので、もう少しじっくり描いて欲しかったところ。

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まとめ

以上、「ロスト・ラッド・ロンドン」の感想でした。本格ミステリー・サスペンスを期待するとやや物足りなさを感じます。ですが独特の表現力は素晴らしく魅力的。本作ならではの貴重な漫画体験ができるのではないでしょうか。

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