全4巻という程よい巻数で読み切れる、完結済みの面白い漫画まとめです。
ご紹介する漫画は、コメディ・SF・ホラーなど、多彩なジャンルから選りすぐり。随時更新予定。
漫画リスト
ハルロック
電子工作大好きな女子大生・向阪晴(さきさか・はる)。アキバで知り合った天才小学生・うに先輩や、ハルをやんわりストーキングする幼馴染み・真下六祐(ましも・ろくすけ)とともに、日常のそこまで重要でない困りごとを、電子工作で解決する。
ちょっとズレた感覚の持ち主・ハルと仲間たちが作り出す、ユニークな電子工作が笑いを生み出す西餅さんの「ハルロック」。「電子工作」といっても、その内容は本格的なもの。「ラズベリーパイ」のような電子基板を組み込んだり、インターネットと連携したり。
ほんわか笑える漫画なのですが、「ハルロック」の魅力はそれだけにあらず。誰かの役に立つことに喜びを感じ、やがてものづくりで起業を目指すハルと仲間たち。全4巻を通して成長する姿に、「自分も頑張ろう!」という意外な気持ちをもらえる漫画。学生や若手社会人に激烈にオススメしたい。
七夕の国
物体に小さな穴を開ける、という役に立たない超能力を持つ大学生・南丸。進路に悩む彼だが、大学教授の失踪、謎の穴あけを繰り返す「えぐり魔」、そして殺人事件と、きな臭い事件に巻き込まれていく。謎の鍵はどうやら、南丸のルーツである「丸神の里」にあるようなのだが…。
「寄生獣」の岩明均さんが描く、伝奇ホラー「七夕の国」。オススメの全4巻完結漫画として外せない作品。雑誌連載時にリアルタイムで読んでましたが、超能力と全ての謎がつながった瞬間は感動したなぁ…。
超能力、事件、歴史、そして宇宙への想い。全4巻という巻数の短さを感じさせない、恐怖と不思議な感動を持つ漫画。
あたりのキッチン!
超絶コミュニケーション下手だが、料理への情熱はピカイチな女子大生・辺清美(あたりきよみ)。一人暮らしを機に、街の定食屋・阿吽でバイトを始める。そんな彼女が阿吽の主人たちや街の人々と交流を重ね、料理を通して成長していく様をコミカルに描くグルメコメディ「あたりのキッチン!」。
単にハフハフおいしい!と言うだけのグルメ漫画とは一線を画す本作。特筆すべきは料理が「人と人を結びつけるコミュニケーションツール」になっていること。食べる人の気持ちや状態を考え、それに適した材料や調理法で作られる料理の数々。食べた人と気持ちが通じ、清美が成長していく様。見ていてほっこり、心地よいものがあります。
登場する料理も庶民的で身近なものばかり。劇中で描かれるテクニックの数々は、すぐにでも食卓に反映できる内容なのがポイント。ドラマ・グルメ・コメディといった要素が、バランス良く練り込まれた「あたりのキッチン!」。グルメ・コメディ・ドラマと三拍子そろった漫画です。
惑星クローゼット
ある日、地球とは異なる不思議な世界で目覚めた中学生・あいみは、記憶をなくした少女・フレアに出会う。眠る時だけその世界に入るあいみは、フレアの力となることを決意。だがそれは過酷な冒険の始まりだった…!という”つばな”さんの「惑星クローゼット」。
つばなさんの描くほんわかカワイイ女の子と、それと真反対なクリーチャーたちの不気味さが、他に類を見ない独特の世界観を形成。女の子が魅力的であればあるほど、人体変形系のグロテスクさが際立ってくる感じがステキ。
ホラー要素の強い作品ですが、全体を通してみるとちゃんとSFしてるのも良し。次は何が起こるのか…というドキドキ・緊張感が全4巻を通じて途切れず、読み応えがあります。なお本作のキャッチコピーは「百合×SFサバイバル」ですが、百合成分はそんなに強くないのでそれを期待して読まない方がいいでしょう。
海月と私
亡き父の残した小さい旅館を、期間限定で継いだ元板前。廃業までの短い期間を働ける仲居さんを募集。そこへやってきたのは美人で人当たり良く、そして素性のしれない「海月(くらげ)」のような女性だった。
いぶかりながらも彼女のいいように転がされ、なんとか店を切り盛りする旦那さん。彼女が無くてはならない存在になっていく。しかし彼女は時折、あやしげな動きを見せ…?
麻生みことさんの「海月と私」。まじめ一本の中年主人公が、ほがらか美人の若き仲居に翻弄される、楽しいコメディ漫画。
…と思いきや、随所にはさまれるややミステリアスな彼女の謎。やがて訪れるのは、破綻か大団円か。怒涛の展開を見せる4巻は必見。人を食ったようなタイトルですが、隠れた名作マンガです。
ヴイナス戦記
金星(ヴイナス)に植民した人類は、「アフロディア」と「イシュタル」の二国に分かれて覇権争いをしていた。バイクゲームチームに所属するアフロディアの少年・ヒロは、軍のバイク部隊「HOUND」にスカウトされ、その戦いに身を投じていく。
作者・安彦良和氏自身によって映画化もされた、SF漫画「ヴイナス戦記」。上記あらすじは第一部(2巻まで)のもので、第二部はまた別の主人公が登場します。
バイクアクションを始めとした迫力あるSF描写。若者の気概など歯牙にもかけない無慈悲な戦争の姿。読んでみると「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」の、(マンガとしての)ベースがここにある、と感じます。
戦争という対局の中で翻弄されていく、若者たちの姿が印象的な作品。第一部・第二部はそれぞれ完結していますが、「ヴイナス戦記」全体としては残念ながら未完。しかし、今でも輝きを放つSF作品。いつか続きを読んでみたいものです。
【追記】
2019年7月18日、学研プラスより「ヴイナス戦記」4巻が電子書籍化されました!オリジナルの「ノーラコミックス」レーベルでの電書化で嬉しい限り。ぜひその世界観に触れてみてください。
70億の針
宇宙生命体・テンガイは、宿敵・メイルシュトロームを追う最中、女子高生・ヒカルの命を奪ってしまう。肉体に同居し、ヒカルを蘇生させたテンガイ。嫌がる彼女と共に、殺戮を繰り返すメイルシュトロームを追う。
このあらすじを読んで、ウルトラマンとハヤタ隊員のそれを思い出したあなた。そんな方にオススメなのが、この漫画「70億の針」。
ヘッドホンを付けて殻に閉じこもる少女が、不思議な生命体との共生を経て成長していくSF漫画。派手なアクションと、青春のさわやかな香りが心に残る全4巻です。
アマイタマシイ
スイーツの力でさびれた商店街の復興を目指す、少し天然な商工会職員・柴田羽衣(しばたうい)とイケメン東大生・川島賀句(かわしまがく)。二人は伝説のシェフかつ「無冠の帝王」である、熊谷周作(くまがやしゅうさく)に助力を請う。
性格に一癖も二癖以上のものを持つ熊谷は、「辞めたい時にいつでも辞める!」を条件にシェフ就任。そしてオープンしたパティスリー「プチ セヴェイユ」は、果たして商店街を再び盛り上げることができるのか?
「ファンタジウム」の杉本亜未氏によるスイーツ漫画「アマイタマシイ」。自他共に認める「天才」であり、偏屈な武闘派である熊谷。「命を狙われている」という妄想を抱く、そのめちゃくちゃなキャラクター面白い。
一方、適度なうんちくを織り交ぜながら描かれるスイーツたちも、手抜きなし。そして作中で心に刺さる名言をぶっこんでくるのは、さすがの杉本亜未作品。
のぼる小寺さん
小柄で金髪な高校生・小寺(こてら)さん。ボルダリングに情熱を傾ける彼女は、今日もただひたすら、上を目指す。
珈琲さんの漫画「のぼる小寺さん」。かわいい女子高生がスポーツに励む姿を愛でる漫画、と思ったら大間違い。寡黙にボルダリングに打ち込む小寺さんの姿。読者は彼女に惹きつけられる登場人物たちと同化し、次第に目が離せなくなります。
その小さい体からにじみ出る、圧倒的な情熱…!決して自分から何かを語るわけではない、しかし周囲の人間を自然と引きつける。そんな魅力を持つ主人公・小寺さん。常に何かにチャレンジしている人ならではの輝きを、感じます。
チンプイ
藤子・F・不二雄先生の「チンプイ」全4巻。マール星のお妃に選ばれた小学生・春日エリが、「科法」を使う不思議な生き物チンプイとドタバタを繰り広げるSFコメディ。
ドラえもんやオバQと同じくある日おかしな存在が現れる、というのはおなじみの藤子メソッド。しかし主人公が女の子で、異星の王子のお妃になるやならずや、というところにおかしみが生まれます。
お約束の「パンパカパーン!」で紙吹雪に埋もれるエリ様w。そして読んで気づくのは、F先生のキャリアの集大成とも言える洗練された笑い。大人が読んでもおもしろく、ついつい笑ってしまいます。
実は「チンプイ」は未完なのですが、そんなことが気にならないほど充実している内容。小学館から刊行のコミックスも、各巻お手頃価格で200ページを超えるボリューム。意外な読み応えを感じる作品です。
紅のメリーポピンズ
風変わりな装いをした、上品なメガネの女性・吏糸双葉(りいと・ふたば)。その正体は、世界でも10人しかいないと言われる「スーパーナニー」。しかし彼女はよんどころない事情で追われる身だった―。
高口里純さんの「紅のメリーポピンズ」。「ナニー」とは、母親に変わって子育てをする女性のこと。主にイギリスで活躍しています。
基本、双葉さんが訪れる各家庭でスーパーナニーの実力を発揮、子育ての悩みを水戸黄門ばりに解決する育児マンガ。
ですが逃亡中ということで、「育児漫画+水戸黄門+逃亡者」をミックスした特異なおもしろさ。子育ての知識も実践的で、特に幼いお子さんが身近にいる方に読んでいただきたい作品。
プラネテス
スペースデブリ(宇宙のゴミ)回収業のハチ(ハチマキ)、フィー、ユーリ。新たなクルー・田名部愛を迎えた彼らは、今日も宇宙のゴミ拾いに精を出す。やがてハチは、憧れの木星往還船にて新天地を目指す―。
「ヴィンランド・サガ」の幸村誠氏による、本格SFマンガ「プラネテス」。全4巻というコンパクトさながら、今も漫画好きの注目を浴び続ける名作。リアルな宇宙生活の描写がSFファンにはたまりません。
本格でありながら万人におすすめできるSFであり、全4巻完結漫画ではずせない作品。
まとめ
以上、「全4巻で完結するオススメの面白い漫画」でした。関連記事で別の漫画もまとめていますので、ぜひご覧ください。
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