アブトル・ダムラル・オムニス・ノムニス・ベル・エス・ホリマク
我と共に来たり 我と共に滅ぶべし!
あの伝説のフレーズを、再び漫画で読める日が来るなんて…。
手塚治虫さんのオカルト・ロマンが詰まった漫画「三つ目がとおる」。その続編となる「三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~」が遂に単行本化。秋田書店のチャンピオンREDコミックスより1巻が発売中です。
「三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~」レビュー
概要
本家「三つ目がとおる」は、巨匠・手塚治虫先生によるオカルト冒険漫画です。主役はかつて栄華を誇った三つ目族の末裔・写楽保介(しゃらく・ほうすけ)と、同級生の女の子・和登千代子(わと・ちよこ)の二人。
写楽は額にある第三の眼で超能力を発揮し、古代からの謎に起因する不思議な出来事(その多くは三つ目族の遺産が絡んでいる)に立ち向かう、というのが主なストーリー。といっても彼は「三つ目族」のプリンス。古代の超兵器を使って人間の支配を目論むなど、悪魔的な姿勢がまた魅力でもありました。
そして本作「三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~」では、成長して高校生になった写楽・和登サンのコンビが描かれる、続編と言うべき作品。メガネの女の子・鳩村すずなど新キャラクターも加え、写楽・和登サンの新たな冒険が描かれます。
なお本作の脚本は藤澤勇希さん、作画は柚木N’さん。余談ですが柚木N’さんは勝手に「ゆずきん」さんだと思っていたのですが、「柚木エヌダッシュ」と読むそうで…。しかも女性ということで二度ビックリ。
「三つ目がとおる」のオリジナル続編
「三つ目がとおる」の基本的な設定・要素は受け継ぎつつも、リメイクではなく続編的な位置づけということもあって、いい意味で「好きにやっている感」があります。作画も無理に手塚先生の絵柄に寄せていないところがかえって「成長した写楽と和登サン」らしくていいですね。新鮮。
ストーリーはオリジナルですが、過去作を彷彿とさせる内容があって、かつての三つ目ファンならニヤリとするところ。旧作を読み込んでいるならば、より楽しめること請け合いです。
写楽は誇り高き三つ目族のプリンスであり、人間の敵になることも。しかし実は愛情に飢えているという一面もある少年。そんな写楽の寂しさをあらわす描写もあって、ああ、これぞ!「三つ目がとおる」。ポイントが抑えられています。
写楽の新設定が面白い
面白いな、と思ったのが写楽の第三の眼の隠し方。旧作ではバッテンのバンソウコウで、それが写楽のトレードマークでもありました。
が、「三つ目黙示録」ではなんとカツラが登場!第三の目を出現させる時は、カツラに仕込んだ電子錠で解除する、という方式。髪の毛のある写楽が新鮮です(笑)。
第1巻では単発で完結する物語が多いのですが、いずれはかつての「イースター島航海編」や「怪植物ボルボック編」のような長編も描かれるのでしょうか。楽しみです。
まとめ
以上、「三つ目黙示録~悪魔王子シャラク~」第1巻の感想・レビューでした。それにしても最近は手塚治虫由来の作品が増えてきたような気がします。
「手塚治虫 マリン・エクスプレス」や「アトム ザ・ビギニング」「ヤング ブラック・ジャック」「Dr.キリコ~白い死神~」。変わり種では手塚治虫をライバル視する漫画家を描いた「チェイサー」など。
亡くなられてから大分時間が流れましたが、また手塚先生という漫画家、その流れを汲む作品、しかも新作!に触れることができるようになりました。かつてその作品を楽しみにしていた一ファンとして、感慨深いものがありますね。
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