電子書籍で読める諸星大二郎のおすすめ漫画。妖怪ハンター・シリーズ他

「妖怪ハンター」シリーズを読んで以来、諸星大二郎先生の漫画が大好き。オカルト・ホラー作品はじめ、唯一無二の世界観にどっぷり浸かって抜け出せません。

そんな諸星大二郎さんの漫画、あまり電子書籍化が進んでいませんでしたが、徐々に電子版も読めるようになってきました。以下本記事では、代表作「妖怪ハンター」シリーズ他、電子書籍で読めるおすすめの諸星大二郎作品をご紹介します。

妖怪ハンター・シリーズ

考古学者・稗田礼二郎を狂言回しとして、日本各地の伝奇・超自然的な現象を描くのが「妖怪ハンター」シリーズ。稗田は主人公ですが、積極的に事象を解決する役回りではないのが、本作の特徴。

ジャンルとしてはオカルト・ホラーでしょうか。稗田が遭遇する「怪異」が短編~中編ぐらいのボリュームで描かれます。基本的な主人公は稗田礼二郎ですが、かつてゲストキャラクターだった人物(潮・渚の学生コンビなど)が「稗田の生徒たち」として主役になる話もいくつかあります。

「妖怪ハンター」の初出は1974年の少年ジャンプで、足かけ40年以上続いているシリーズ。ジャンプ以後、ヤングジャンプ・ベアーズクラブ(ヤンジャン系雑誌)・ウルトラジャンプなど、集英社系の雑誌に掲載されてきました。

その後、講談社メフィストでの「稗田のモノ語り 魔障ヶ岳」を経て、再び集英社ウルトラジャンプに「夢見村にて」が掲載されています。以下、シリーズ単行本の紹介です。

妖怪ハンター  地の巻・天の巻・水の巻

もともとは集英社から出版されていた妖怪ハンターの単行本を、再分類して文庫化した「妖怪ハンター 地の巻・天の巻・水の巻」全3巻。

稗田礼二郎が初登場した「黒い探求者」はじめ、映画原作である「生命の木」、後にゲストとしても登場するようになる天木薫・末加兄妹の話「天孫降臨」シリーズなど、シリーズの原点であるエピソード群を収録しています。

「妖怪ハンター」はこの3冊を抑えておけば、その醍醐味・魅力を存分に味わえるでしょう。「地の巻」には、初期ジャンプコミックスのみに収録されていた短編「死人帰り」も収録。

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター

稗田のモノ語り 魔障ヶ岳 妖怪ハンター諸星大二郎:講談社

集英社での掲載が一段落したあと、8年ぶりに発表された「魔障ヶ岳 稗田のモノ語り」。メフィスト誌にて連載後、講談社より単行本が発売されています。

山奥で名前のない「モノ」に出会い、それぞれが思う名を付けた3人の男女と、その顛末を見届ける稗田礼二郎の物語。妖怪ハンターとしては珍しい(初?)長編ストーリー形式です。

「妖怪ハンター」らしい、静かでひんやりした空気の漂う和風ホラー。集英社時代より若干アダルトさを増した感じが新鮮。新キャラクターである新興宗教の教祖・岩田狂天がいい味出してます。

闇の鶯

闇の鶯諸星大二郎:講談社

5編の短編を収録した作品集「闇の鶯」。妖怪ハンターシリーズからは、潮と渚が主人公の「それは時には少女となりて」、京極夏彦氏のトリビュート集が初出の「描き損じのある妖怪絵巻」の2本を収録。

高校生になった潮と渚が、相も変わらず海辺の怪異にあう「それは時には少女となりて」。稗田礼二郎は手紙のみの登場ですが、テイストは妖怪ハンターそのもの。「描き損じのある妖怪絵巻」は曰くのある旧家が舞台。余韻を引く怖さがあります。

その他、表題作「闇の鶯」が秀逸。森林開発をする人間たちと、彼らを慈しみつつもそれに対抗する山姥(山母)を、ITを絡めて描く一編。日本古来の民俗的要素を散りばめたストーリー、諸星大二郎らしさが詰まっています。

妖怪ハンター 稗田の生徒たち 1 夢見村にて

妖怪ハンター 稗田の生徒たち 1 夢見村にて (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)諸星大二郎:集英社

「稗田の生徒たち1 夢見村にて」。過去作に登場した天木薫・末加の兄妹が主人公の表題作「夢見村にて」、海辺のカップル、潮と渚がメインの「悪魚の海」、以上の中編二つを収録。

「夢見村」には稗田も登場。民俗学のフィールドワークで「見た夢を売買する村」を訪れた薫が体験する恐怖と、それを助ける末加・稗田が描かれます。夢と現(うつつ)の境目がわからなくなる恐怖。兄妹の持つ不思議な力の設定も健在。

一方の「悪魚の海」。海女修行から逃げ出してきた同級生をかくまったことから、人魚にまつわる恐ろしい話に巻き込まれていく潮と渚が描かれます。こちらは稗田礼二郎の登場は無し。妖怪ハンターの影響か、人魚っていうと怖いイメージがあります。

【追記】

上記でご紹介している「妖怪ハンター 稗田の生徒たち 1 夢見村にて」ですが、残念ながら1巻で打ち止めのようです。

単行本未収録の「美加と境界の神」は、2021年7月に紙書籍で刊行された文庫版「妖怪ハンター 稗田の生徒たち 美加と境界の神 / 夢見村にて / 悪魚の海」に収録されています。

その他おすすめの諸星大二郎マンガ

電子書籍化されている諸星大二郎マンガから、「妖怪ハンター」シリーズ以外のオススメ作品です。

マッドメン

マッドメン諸星大二郎:河出書房新社

もともとは「オンゴロの仮面」「大いなる復活」として少年チャンピオン・コミックスから刊行されていた「マッドメン」。現在は電子書籍として全1巻にまとまっています。

人類学者の娘と、その異母兄弟である少数部族の少年が、パプアニューギニアの奥地で神話をなぞるかのような冒険をする、という伝奇オカルト漫画。

未開部族の精霊信仰、怪物のような守り神ン・バギ、日本の神話とリンクするストーリーなど、類似の漫画は無い、と言っていいほど独特の要素、そして魅力を持つ漫画。ちなみに「マッドメン」は「泥男」の意。

スノウホワイト

スノウホワイト グリムのような物語諸星 大二郎:東京創元社

「七匹の子やぎ」「ラプンツェル」「スノウホワイト」などのグリム童話を、諸星氏が独自の感覚でアレンジして漫画化した短編集。

SFあり、ホラーあり、コメディありとバラエティに富んだ漫画群。SF仕立ての「ラプンツェル」、まさに奇妙な恐ろしさを感じる「奇妙なおよばれ」など、童話の不条理感と無邪気な恐ろしさが、諸星大二郎さんの世界観とマッチ。

特に印象的な短編は、擬人化された動物たちが暴虐の限りを尽くす「コルベス様」。この独特な雰囲気は、唯一無二。

グリムのような物語 トゥルーデおばさん

グリムのような物語 トゥルーデおばさん諸星大二郎:朝日新聞出版

「スノウホワイト」と同じく、諸星大二郎さんがグリム童話をアレンジした短編集「グリムのような物語 トゥルーデおばさん」(初出はこちらの方が先だったかも)。

「スノウホワイト」に較べ、「赤ずきん」「いばら姫」「ブレーメンの楽隊」といった比較的、日本人にも馴染みの深い作品、そして雑誌「ネムキ」掲載ということでホラーテイスト多め。

表題作「トゥルーデおばさん」の得も言われぬ不気味さ、ホラーテイストにアレンジされた「赤ずきん」など、どの漫画もちゃんと「諸星漫画」していて絶妙なおもしろさ。

特に約50Pのボリュームを持つ「ラプンツェル」は秀逸。少女期の不安定な心情を恐怖に変えたかのような物語、ドキドキします。「スノウホワイト」にもラプンツェルを題材にした短編が収録されていますが、テイストがまったく異なるのが興味深い。

瓜子姫の夜・シンデレラの朝

瓜子姫の夜・シンデレラの朝 (Nemuki+コミックス)諸星大二郎:朝日新聞出版

「妖怪ハンター」でも題材にされた瓜子姫を描く「瓜子姫とアマンジャク」ほか、童話・昔話テイストの5編を収録した短編集。

現代と過去がリンクしたホラー風味の「見るなの座敷」、ファンタジックでユーモアにあふれた「シンデレラの沓(くつ)」、グリム童話の不思議なブラック感があふれる「悪魔の煤(すす)けた相棒」など、どの話も独特のおもしろさ。

まとうとカラスになる黒衣を得た男の冒険と顛末を描く、中華風物語「竹青(ちくせい)」が印象的な一編。

碁娘伝

碁娘伝 (希望コミックス)諸星大二郎:潮出版社/usio publishing

中華系の物語も多く描かれている諸星大二郎さん。そのうちの一つ「碁娘伝(ごじょうでん)」。廃屋に夜な夜な現れる、碁の腕が滅法強い美女。彼女に勝負を挑んで負けたものは耳を切り落とされて…。

という第一話から、以降、美女・玉英とそれを追う男たちが描かれる全4話。碁の定石にからめて描かれる戦いがユニーク。歴史要素はほとんどなく、シンプルに碁娘の活躍を楽しめるエンタメ作品です。

まとめ

以上、妖怪ハンターシリーズほか、電子書籍で読める諸星大二郎さんの漫画紹介でした。

和製の恐怖漂う妖怪ハンター、読み始めると止まらない、オススメの漫画です。私は単行本を手に入れるのに結構苦労したほうなので、いま電子書籍でサクッと読める人がうらやましいです(笑)。

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