「ぼくの素晴らしい人生」1巻―ディスレクシアを持つ青年の苦しみと成長

知的能力や一般的な理解能力などは問題がないのに、文字の読み書きや認識が困難である学習障害、「ディスレクシア」をご存知でしょうか。

難読症・識字障害などとも訳されるディスレクシア。

そんな障害を持ちながらそのことに気づかず、一人悩みを抱えていた青年を描いた漫画が、今回ご紹介する愛本みずほさんの「ぼくの素晴らしい人生」です。

講談社BE・LOVEコミックスより現在1巻が刊行中。

なおディスレクシアについては下記リンクも参考になります。

ディスレクシア – Wikipedia

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あらすじ

「この世界は舞台で 今ぼくは文字の読めない役を演じているだけなんだ」

幼い頃から教科書や黒板の文字が認識できず、また自分の名前を書くのも困難な青年・朝倉忍。そのため高校も卒業できず、アルバイトもままならない。

偶然立ち寄ったカフェで履歴書を書いていたところ、マスターに尋ねられる。「もしかしてきみ、ディスレクシア?」

その言葉の意味がわからない忍。字が認識できないことで新しいアルバイトも首になり途方に暮れるが、再びカフェを訪れディスレクシアの意味をたずねる。

ディスレクシアとは「読字(どくじ)障害」であり、実はマスター自身もディスレクシアだった。

苦労の原因がわかって良かったというマスターに、しかし辛かった現実を過ぎたことにできず反発する忍。そんな折、同居の祖母が倒れ、読み書きができないためにまた一苦労。

「変わりたい―!」

強く決意する忍は、三たびカフェの扉を開く―。

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「ぼくの素晴らしい人生」1巻感想

ディスレクシアに対する無理解

「ディスレクシア」という障害を扱った漫画としては杉本亜未さんの「ファンタジウム」が有名。

漫画データ
タイトル:ファンタジウム(1) (モーニングコミックス)著者:杉本亜未出版社:講談社発行日:2007-06-22

ディスレクシアをもちながら天才少年マジシャンとして活躍する長見良の活躍を描いた作品。私も大好きな漫画です。

「ぼくの素晴らしい人生」は同じくディスレクシアを扱っていますが、主人公は普通の青年。その悩み・苦しさがより身近に伝わります。

字が読めない・書けないというだけで「頭が悪い」というレッテルを貼られてきた忍。

辛いのはそれが「目に見えない障害」であり、自覚ができないということ。

本人も原因がわからないために医療や適切な指導が受けられず、周囲にも理解してもらえないという苦しみ。

忍も知能的な問題があるわけではありません。

ホテルのアルバイトでも、パソコンの画面をスマホで撮影・拡大することで表示内容の確認をしようしたり、むしろ知恵を働かせることができる人間です。

でもそれが「仕事中にスマホで遊んでいる」ように見え、結局周囲の誤解を招いてしまう。これはツライ…。

主人公に訪れる転機

周囲のみならず、自身の障害に対する無理解さから苦しい人生を送り、やや卑屈になっていた忍。

そんな彼がカフェのマスター・遥(はるか)の下で働くようになり、彼が参加する劇団に関わってその世界観を徐々に広げていく。

ゆっくりと、しかし着実に青年が成長する姿。そんな人生に光が差し込んでくるかのような様に温かみを感じます。

「人間 持って生まれたカードで勝負するしかないんだよ」

こちらは劇中より印象に残った遥の一言。これって全ての人間に当てはまる言葉ですよね。

あきらめろ、ということではなく、知恵と工夫で生き抜くんだ。そんなメッセージを感じます。

忍に負けないよう、読者も頑張ろう(と、自分に言い聞かす)。

なお本作は作者・愛本みずほさんの別作品「ひまわり!!」の番外編である「それからの菊花ちゃん」を併録しています。ご参考までに。

漫画データ
タイトル:ぼくの素晴らしい人生(1) (BE・LOVEコミックス)著者:愛本みずほ出版社:講談社発行日:2017-06-13