オカルト・ホラー系の面白い短編漫画集まとめ

オカルト・ホラー中心の短編漫画集から、読んで面白かった単行本のまとめです。

短編漫画集の性質上、各単行本にはオカルト・ホラー以外の短編漫画が含まれている場合があります。

漫画リスト

フロイトシュテインの双子

【声:音読さん

ホラー漫画「死人の声をきくがよい」の作者・ひよどり祥子さんの別名義である”うぐいす祥子”さんの「フロイトシュテインの双子」。悪魔的な美しい双子に翻弄される男子大学生を描いた表題作3話ほか、全7編を収録。

ホラーということでちょっとグロい話もあるけれど、実はコメディ?といった体の作品群。エイリアンの妄想に取り憑かれた父の狂気を描いた「星空パルス」など、よくよく読むと笑いが込み上げてくるのは、ホラー・コメディが得意な作者ならでは。ホラー好きはもちろん、ブラックな笑いが好きな方にもオススメ。

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伊藤潤二自選傑作集

【声:音読さん

伊藤潤二さんの「伊藤潤二自選傑作集」。伊藤潤二さん自らの解説が付いた9編と、伊藤潤二作品で有名なあのファッションモデルを描いた番外編を収録。

自分たちの顔が気球となって襲ってくる名作「首吊り気球」や、超有名シリーズ「富江」の1編など、収録の各話は作者自らが選んだだけあって洗練された怖さ・面白さがあります。

個人的に印象に残ったのは、一晩に長時間の夢を見る入院患者が、夜を重ねる内に次第に変貌していく様子を描いた「長い夢」。伊藤潤二さんの発想・表現力の凄さを実感できる傑作です。

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妖怪ハンター  地の巻

【声:音読さん

異端の学者・稗田礼二郎を狂言回しとして、日本各地の民俗にまつわる恐怖・怪異が描かれる諸星大二郎さんの「妖怪ハンター」。その初期のホラー短編をまとめた「地の巻」では、稗田礼二郎初登場の「黒い探求者」ほか、「生命の木」「蟻地獄」などシリーズの醍醐味を存分に味わえるエピソードを多数収録。

その中でも印象的な一編が「闇の客人(まろうど)」。地域活性化のために過去の祭を再現した町。しかし鳥居を鬼門に向けて建ててしまったために、恐ろしい出来事が起こり…というストーリー。民俗的な怪異にからめて、かつて地方にあった風習が失われていく物悲しさを表現した、他に類例を見ないホラー短編です。

妖怪ハンター  天の巻

【声:音読さん

同じく「妖怪ハンター」から「天の巻」。「花咲爺伝説」に絡んで不思議な力を身に着けた天木薫・美加兄妹が活躍する中編のほか、地方に伝わる「通りゃんせ」の唄を題材にした短編「天神さま」を収録。この「天神さま」が非常に怖面白い!

古い神社の境内でわらべうたを歌った高校生の前に、幼少時に神隠しにあった幼馴染の少女が突如出現。しかし当時と変わらぬ姿の彼女は、どこか様子がおかしく…という民俗ホラー。日本各地に根付いていたであろう「神」への信仰が感ぜられる、恐ろしくも不思議な一編です。

ひとりかごめ

【声:音読さん

麻衣の虫ぐらし」などで美少女描写に定評のある、雨がっぱ少女群さんのホラー短編集「ひとりかごめ」。自分の背後に謎の気配を感じる女子高生が、やがて起こす奇行の結末を描いた表題作「ひとりかごめ」、新人女性バイトが恐怖の体験をする様を百合風味を絡めて描く「工場勤務」など、数ページ~数十ページの短編漫画を12編収録。

不思議・不条理系のストーリーが展開される各話。暗めの画風ではないのに、何かが起こりそう、という雰囲気が絶えないホラー感が良し。グロも多めですが、雨がっぱ少女群さんの描く美しいキャラクターと奇妙に調和。他のホラー漫画とは一線を画す独特な味わいを持つホラー短編集です。

顔を見るな

【声:音読さん

「恐之本」の高港基資さんの「顔を見るな」。都市伝説風の恐怖話や、心霊・怪奇現象を主題とした正統派のホラー漫画、全9編を収録。

異常に安い中古車、その価格の理由は?―「安い車」、引っ越し先で少女が見た、天井からぶら下がる老女―「天井のおばあさん」、いわくつきのポストにいたずらしたその日から、謎の嫌がらせが始まる―「ポスト爺」など、ベーシックな題材ながらしっかりと怖さを感じさせてくれる、恐怖話の数々。つーか怖い。

悪い夢のそのさき…

【声:音読さん

うぐいす祥子さんの「悪い夢のそのさき…」。エキセントリックな彼女に穴掘りを頼まれる「彼女のスーツケース」、古い洋館に足を踏み入れた男女の顛末を描く「囚われ人」など、表題連作5編+5編=計10編のホラー短編を収録。

うぐいす祥子さんの漫画は怖さ・グロさの中にも、どことなくユーモラスな感じが含まれているのが特徴。ですが本作に収録の漫画は、読後にちょっと嫌気なモヤモヤ感が残るという、これまでのうぐいす祥子漫画よりホラー寄りに踏み込んでいるイメージ。

ビクビクと怖さを感じながら読み進め、そして最後にクルッと世界の回る感じを味わえる、まさに「悪い夢のそのさき」を感じるホラー漫画です。

ザ・クレーター

【声:音読さん

手塚治虫さんの「ザ・クレーター」。恐怖系・不思議系・SF・社会派サスペンスと、多彩な内容の全17編を収録。コメディタッチの作品も含まれますが、全体的には「恐怖短編集」という趣き。

大学の地下室に現れる謎の青年の正体は?―「溶けた男」。古代メキシコで生贄に選ばれた少女の数奇な運命―「生けにえ」。不慮の事故から月に取り残された調査隊の青年は、不思議なガスの力で生き延び―「クレーターの男」など、巨匠の豊かな発想力から生み出された短編群。後味悪い結末が多いのも、良いモヤモヤを与えてくれます。

各短編の初出が1969~1970年ということで、内容的に若干古めな部分もありますが、「恐怖」という本質に関しては今読んでも色褪せない面白さがあります。

運命の女の子

【声:音読さん

ヤマシタトモコさんの「運命の女の子」。ホラー・青春もの・ファンタジーの3編を収録した短編集。その一編、サイコホラー「無敵」が、最高に怖い。

連続殺人の被疑者である少女と、それを取り調べる女性刑事。取調室で向き合う二人の会話から、凄惨な事件が浮かび上がってくるという趣向。

落ち着き、薄ら寒い笑みを浮かべ、未成年という立場と己の美しさを自覚している少女。そして直接的には描かれないが、きっと少女が起こしたであろう、数々の凶行。それらがジワジワと、女性刑事の狼狽を通して読者の心を蝕んでいくような、得も言われぬ恐怖が描かれます。

高橋留美子傑作短編集(2)

【声:音読さん

高橋留美子さんの「高橋留美子傑作短編集(2)」。戦国時代にタイムスリップした女子高生を描く「炎トリッパー」ほか、様々な形のボーイ・ミーツ・ガールが描かれる短編集。ホラージャンルとしては、「闇をかけるまなざし」「笑う標的」「忘れて眠れ」の3編を収録。

その内の一編「笑う標的」はOVA化もされた作品。弓道部に所属する男子高校生が、田舎から来た妖しい雰囲気を持つ許嫁に再会したことから起こる、恐怖の顛末。作者得意のコメディ系タッチとは異なる、昏い雰囲気が魅力的。

ほかの二編も、今読んでも色あせない独特の恐怖を感じさせるホラー漫画。どんなジャンルを描いても面白い、高橋留美子さんの凄さが実感できる短編集です。

顔ビル/真夜中のバスラーメン

【声:音読さん

呪みちるさんの「顔ビル/真夜中のバスラーメン」。一風変わったタイトルは、収録の短編「顔ビル」と「真夜中のバスラーメン」から。ドライブデートを楽しむ男女が第三京浜道路で体験する恐怖の一夜を描く「第三京浜の追跡者」ほか、「ヤキトリ奇談」「アメリカのコート」など11編のホラー短編を収録。

単にびっくりどっきりで怖がらせるだけではない、深い物語性を感じさせるホラー漫画の数々は、短編とは思えない読み応え。呪みちるさんの魅力の一つでもある美麗かつ迫力のある線にのせて、絶妙のストーリーテリングが楽しめるホラー漫画集です。

口裂け女あらわる!~昭和怪奇伝説~

【声:音読さん

呪みちるさんの「口裂け女あらわる!~昭和怪奇伝説~」。「スケスケメガネ伝説」「黒い清涼飲料水」など、昭和感あふれる都市伝説を題材にしたホラー短編集。

注目の一編は「スケスケメガネ伝説」。何でも透けて見えると噂のスケスケメガネ。それをあと一歩のところで手に入れそこなった少年の思い出話。

…からの、実際にスケスケメガネを手に入れた別の人物が辿った恐ろしい顛末、という深みのある構成が面白い。シンプルなようでいて深みのある、よく練られたストーリーは、呪みちる作品の何よりの特徴。怖さの中に美しさのある、独特の作風も魅力的です。

私のともだち

【声:音読さん

那州雪絵さんの「私のともだち」。全6編のホラー短編を収録。

学校の旧校舎に出る”怪物”と、友達になったいじめられっ子。しかし旧校舎が取り壊されることになり…「私のともだち」。一人は人間、一人は幽霊として生きる、双子の少女の成長と結末を描いた「水にうつる思い出」。

など、かつて少女漫画誌に掲載されていたような、「とんでもなく怖いホラー読み切り」を目指して描かれたという漫画群。懐かしさ、そして確実な恐怖を味あわせてくれます。

スノウホワイト グリムのような物語

【声:音読さん

諸星大二郎さんの「スノウホワイト グリムのような物語」。

「七匹の子やぎ」「スノウホワイト」「ラプンツェル」など、グリム童話を諸星大二郎風にアレンジしてコミカライズ。怖い話風、SF風、コメディ風など、バラエティ豊かな全12編を収録しています。

ホラー漫画オンリーではありませんが、全体から漂う「童話ならではのホラー・ブラック感」が、またひと味違う感覚。グリム童話って、知っているようで意外と知らない話があったりして、それもまた面白い。諸星氏自身による全話解説もあり。

おとろし

【声:音読さん

カラスヤサトシさんの「おとろし」。現代劇から昔話風まで、各話6Pのショート・ホラー全24編。

マムシをたやすく捕まえる手を持つ老人、その心の内に宿った妄執を描く「マムシデ」。廃村にある祖母の生家を探し当てた女性に芽生えた、黒い心「想い」。殺した夫を埋めるために掘った床下から、なぜか屋根が現れ…「床下の屋根」。

など、短い話の中にきっちりと怖さを詰めこんだ、秀作ホラーの数々。短編集にありがちな、時折いい話を混ぜてくるといった手ぬるいことはせず、収録作全部が怖さを追求している。その姿勢が素晴らしい。

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