全1巻で完結するおもしろい漫画まとめ(その3)

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全1巻完結漫画愛好家のための、全1巻完結漫画まとめ・その3です。

「全1巻」の中には、ストーリー漫画・短編集・その他を含みます。随時追記予定。

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全1巻完結のおもしろい漫画リスト

don’t like this

don’t like this (トーチコミックス)鶴谷香央理:リイド社

「このマンガがすごい!2019 オンナ編」の1位となった「メタモルフォーゼの縁側」。その作者である鶴谷香央理さんによる全1巻完結漫画「don’t like this」。

タイトルとは裏腹に、ふとしたきっかけから釣りを始め、そこからいろいろな「好き」に目覚めていく主人公女性の姿が各話4Pのショートストーリーで描かれます。

鶴谷香央理「don’t like this」
[鶴谷香央理 著 リイド社「don’t like this」より引用]

初めて釣り竿を持った時。初めて魚を釣った時。釣った魚をおいしく調理できた時。彼女の好き、そして世界が広がっていく様が、1巻を通じてじっくりと描かれていく様が心地よい。「メタモルフォーゼの縁側」とは異なる作画法にも注目。

プリズムの咲く庭 海島千本短編集

プリズムの咲く庭 海島千本短編集: バンチコミックス BUNCH COMICS海島千本:新潮社

海島千本(うみしませんぼん)さんが「ゴーゴーバンチ」「くらげバンチ」「週刊少年チャンピオン」に発表した作品をまとめた、短編集「プリズムの咲く庭」。

小説家と森の音楽少女との爽やかな邂逅をサイレントで紡ぐ「ミルフィーユの日々」、戦争で生き別れた主人を求めて旅するロボット犬を描くSF「僕のソフィア」など、10編を収録。

ファンタジー・青春・SF・ホラーと、どの短編も毛色が違いながら、それぞれ何かを心に残していく物語たち。さらに抜群の描写力で、ストーリーを楽しんだあとに、何度も読み返したくなる魅力あり。初短編集とは思えない、素晴らしいクオリティです。激烈にオススメ。

ポジティブなゆり子さん

ポジティブなゆり子さん (ウィングス・コミックス)平澤枝里子:新書館

平澤枝里子さんの「ポジティブなゆり子さん」。スーパー仕事できる後輩社員に片思いしていたが、彼の結婚により失恋した27歳OL・ゆり子さん。いつも笑顔、前向きな気持ちを持つ彼女を優しい筆致で描く物語。

平澤枝里子「ポジティブなゆり子さん」
[平澤枝里子 著 新書館社「ポジティブなゆり子さん」より引用]

タイトルから、底抜けにポジティブシンキングな女性の話を想像していましたが、さにあらず。夜空に浮かぶ月に照らし出される、彼女の不安な心が印象的。後輩くんを思う気持ちを、心の中で静かにするシーンが、泣ける。

単行本の1/3は、「夜を泳ぐ」「月を泳ぐ」を収録。容貌にコンプレックスを抱くウサギと、キズだらけの巨大なサメ。二人の交流をそれぞれの立場から描く2編。予想外に深い余韻を心に残すファンタジー、平澤枝里子さんの手腕が光ります。

にわにはににん

にわにはににん (ビームコミックス)中野 シズカ:KADOKAWA / エンターブレイン

中野シズカさんの「にわにはににん」。スクリーントーンを丁寧に重ねて紡ぎ出す、作者独特のアーティスティックな画法で描かれる短編たち。いずれも「庭」をテーマにした全5編を収録。

中野シズカ「にわにはににん」
[中野シズカ 著 KADOKAWA/エンターブレイン「にわにはににん」より引用]

人が心に持つ庭の姿を、ファンタジー風味で描き出すストーリー。モノクロなんだけど、読み進めると鮮やかな緑が浮かび上がってくる気がするから、不思議。

物語を楽しんだあと、さらに一コマ一コマを眺めても飽き足りない。マンガ表現の可能性を堪能できる短編集。

書道教室

書道教室【電子限定特典ペーパー付き】 (RYU COMICS)筒井秀行:徳間書店(リュウ・コミックス)

筒井秀行さんの「書道教室」。フラッシュモブからの逆プロポーズに玉砕、会社も辞めた斉藤さん(29)。入院中の祖母から引き継いだ書道教室の先生になった彼女が、生徒たちとともに展開するシュールなコメディ。

筒井秀行「書道教室」
[筒井秀行 著 徳間書店「書道教室」より引用]

はじまりはリアルだけど、その後は独特のファンタジー風味を絡めて展開される物語。毎回、かなり自由に描いているなぁ~(笑)という印象。

その内容はさておき(オイ)、何より言いたいのは作者の筒井秀行さん、相当ウマイ。サラサラ、フニャフニャっとした線で軽~く描いているように見えるけど、絶対センスが無いと描けない絵。このアート感に触れるだけでも本作を読む価値がある。もっと他の漫画を読んでみたい。

春の一重

春の一重 (ZERO-SUMコミックス)切畑 水葉:一迅社

切畑水葉さんの「春の一重」。独創的・幻想的な世界観を表した短編漫画14編を収録。

人間とキツネの不思議なやり取りをファンタジックに描く、連作「春の一重」~「冬の集い」で開幕する本作。ふわりとしながらもハイレベルなセンスに包まれた絵・物語にほっこり。

…と思いきや、6話「鵯(ひよどり)の裁判」で雰囲気が一変。会社員が仕事帰りに動物世界に迷い込んだ顛末を、昏く、恐ろしく描く様にゾクリ。以降、作者の独特な世界にグイグイと引き込まれていきます。ダーク寄りのファンタジーが好みに方に。

ゆとりの町長

ゆとりの町長 (まんがタイムコミックス)小坂俊史:芳文社

小坂俊史さんの4コマ漫画「ゆとりの町長」。田舎町に出戻った町本ゆとり(24)が成り行きで町長選に立候補。参謀になった同級生と共に3期無投票当選の現職に挑む、という選挙コメディ。

小坂俊史「ゆとりの町長」
[小坂俊史 著 芳文社「ゆとりの町長」より引用]

多数の4コマ漫画を輩出している小坂俊史さんならでは。ボケとツッコミの強弱がついた4コマは、安定した笑いを提供。シンプルにおもしろい。

ですが読んでいくと、あれ?あれれ?ゆとりは町長に当選するや否や?なんて、選挙の行方が気になってくるから不思議。4コマで笑って、全1巻を通してのストーリーも楽しめる、稀有な作品。

うどんの女

うどんの女 (FEEL COMICS)えすとえむ:祥伝社

えすとえむさんの「うどんの女(ひと)」。うどん担当の「学食のおばちゃん」女性(バツイチ35歳)と、美術系学生(21歳)の、うどんを通したちょっとコミカルな恋愛ドラマ。

えすとえむ「うどんの女」
[えすとえむ 著 祥伝社「うどんの女」より引用]

学食のうどん、といえば安く温かくお腹を満たしてくれる、学生の鉄板メニュー。来る日も来る日もうどんを食べる学生と、少し抜けた女性は、いつの間にか互いを意識。学生がうどんを食べない日に、彼女がちょっとやきもきしたりして、そんな様子が微笑ましい。

しかし女性の元夫は学生くんの担当教授だったりして、中盤以降、やや複雑な展開に。でも物語の根底に、常にうどんの存在があるのが、不思議なおかしみを生み出しています。えすとえむさんらしい、コミカルさを織り交ぜた大人のドラマ。読み終わった後の食事は、もちろんうどんで。

むかしこっぷり

むかしこっぷり (ビームコミックス)おくやまゆか:KADOKAWA / エンターブレイン

おくやまゆかさんの「むかしこっぷり」。作者自身が家族・親戚・友人など周囲の人から聞いた「ちょっとむかし」の出来事を、短編形式で漫画化。

各話の時代背景は、戦後から現代の少し手前までと様々。人々の記憶を頼りに描かれるそれらの物語は、「歴史に残らない記憶の記録」といった風情で味わい深い。

おくやまゆか「むかしこっぷり」
[おくやまゆか 著 KADOKAWA/エンターブレイン「むかしこっぷり」より引用]

不思議な話、ちょっと怖い話、幼少時の体験や感じたことが、朴訥とした絵柄で淡々と語られます。特に印象的だったのは「コマツくんのはなし」。祖父母の家に居着いたちょっと傍若無人だけど、どこか憎めない知人。昔はこんな人がいて、またそれを受け入れる家があったんだなぁ、なんて。

顔ビル/真夜中のバスラーメン

顔ビル/真夜中のバスラーメン呪みちる:株式会社トラッシュアップ

呪みちるさんのホラー漫画短編集「顔ビル/真夜中のバスラーメン」。ちょっと変わったタイトルは、収録の短編「顔ビル」と「真夜中のバスラーメン」から。

呪みちる「顔ビル/真夜中のバスラーメン」
[呪みちる 著 株式会社トラッシュ・アップ「顔ビル/真夜中のバスラーメン」より引用]

呪みちるさんはホラー短編を収録した商業単行本をいくつか出版されていますが、そのどれもが短編漫画として、シンプルに高いクオリティを持つものばかり。単なるエロ・グロの範疇にとどまらない妖艶な美しさ、そして絶妙のストーリーテリングを楽しむことができます。

トラッシュ・アップから刊行中の単行本は「顔ビル/真夜中のバスラーメン」含め紙書籍のみですが、電子版でその作風に触れてみたい、という方は「口裂け女あらわる!~昭和怪奇伝説~」がオススメ。本ブログでも紹介しておりますので、ぜひご覧になってください。

このかけがえのない地獄

このかけがえのない地獄【電子限定特典付き】 (電撃コミックスNEXT)アッチあい:KADOKAWA / アスキー・メディアワークス

oimoさんの別名義「アッチあい」による短編漫画集「このかけがえのない地獄」。全5編を収録。

アッチあい「このかけがえのない地獄」
[アッチあい 著 KADOKAWA / アスキー・メディアワークス「このかけがえのない地獄」より引用]

個人的に特に気にっている一話は、「4番目のヒロイン」。ラブコメ漫画の中に紛れ込んだ戦争漫画の新キャラが、その価値観の違いから3番目のヒロインの心にさざなみを起こしていく、という漫画をメタった漫画。意外性のあるラストが印象的。

親しみやすいビジュアルと、スムーズに進むストーリー。だけど読み終わったあとに、喉に刺さった小骨のように何かが引っかかる。そんなちょっとクセのある後味を持つ短編集です。

西村ツチカ短編集 アイスバーン

西村ツチカ短編集 アイスバーン (ビッグコミックススペシャル)西村ツチカ:小学館

西村ツチカさんの短編8編を収録した、その名もズバリの「西村ツチカ短編集 アイスバーン」。

すでに卒業しているにも関わらず、母校に毎年潜り込む男性。潜入がバレ、冬場に凍ってアイスバーンとなる坂道を逃げる中、自分が学生ではないことを自覚しつつ、これから母校を巣立つ後輩に送るメッセージをアイスバーンの歩き方と重ねて伝える。

西村ツチカ「西村ツチカ短編集 アイスバーン」
[西村ツチカ 著 小学館「西村ツチカ短編集 アイスバーン」より引用]

うん、そんなわかったようなわからないような話(笑)。全体的にはサブカル系のテイストで好き嫌いを感じるかもしれませんが、その独特な線と併せて妙な魅力を持つ作品群。巻頭やところどころに挟まれる口絵、センスがあって良い。

あの子の家

あの子の家 (RYU COMICS)クマザワミキコ:徳間書店(リュウ・コミックス)

画家としても活動されているクマザワミキコさんの、全1巻完結漫画「あの子の家」。一人の少女の自立が、ファンタジー風味で描かれます。

母と二人で何不自由ない暮らしをしている主人公の少女。楽しいけれど、「自分のどっかが死んでる」という気持ちが拭えない。快適とは、楽しいとは、そうゆうものなんだ、と理解している彼女が、あるきっかけで家を出てー。

ほんわかした絵柄とは裏腹に、読み手の精神をジワジワと抉るような内容。ホラーじゃないのに、ほんのり恐ろしさを感じる漫画。いろいろと考えさせられる。

魔法が使えなくても

魔法が使えなくても (FEEL COMICS)紀伊カンナ:祥伝社

紀伊カンナさんの「魔法が使えなくても」。失踪グセのあるアニメーター、ヒモ生活を送るバンドマン、地下アイドルの輝きが目に焼き付いた女子高生など、若者たちを描く群像劇。

紀伊カンナ「魔法が使えなくても」
[紀伊カンナ 著 祥伝社「魔法が使えなくても」より引用]

ぶっちゃけて書くと、メインのメッセージは「若けりゃなんとかなるさ」なので、大きく感銘を受けるタイプのストーリーではない。が、この絵のウマさは何よりの魅力。特にコロコロ変わるキャラクターたちの表情は見ていて飽きないものが。

友だちに連れられて地下アイドルのライブに来た女子高生の話は、ハッとする輝きを感じる一作。地味目のアイドルがステージでキラキラする様に、驚きと喜びの表情を見せる彼女の姿。読み手も思わず、釣られて笑顔になるような。

白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~

白米からは逃げられぬ ~ドイツでつくる日本食、いつも何かがそろわない~ (コミックDAYSコミックス)白乃雪:講談社

「あたりのキッチン!」の作者でドイツ在住の白乃雪さん描く、グルメエッセイコミック。ふと食べたくなるけど材料が手に入らない日本食を、ドイツの食材で代用してしまえ!とひらめきで作ってしまう全30話。

ちらし寿司の具を、アボカドやカリフラワーなど似た食感を持つ食材にしたり。柚子胡椒ならぬレモン胡椒を作ったり。あんこを小豆ではなくレンズ豆から作ったり。

そんな感じでできあがった「なんちゃって日本食」は、なかなかの美味しさを持つよう。材料が手に入る日本で読んでいても、「今度この素材で作ってみようかな」と思わせます。海外からの目を通して日本の食文化の側面が見えたり、意外なおもしろさを感じる漫画です。

まとめ

以上、「全1巻で完結するおもしろい漫画まとめ」のその3、でした。どの漫画も気軽に読めて、また繰り返し楽しめる漫画ばかりです。

本ブログでは他にも全1巻で完結する漫画をご紹介しています。あわせてどうぞ。

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