全1巻完結の面白い漫画まとめ

手軽にサクッと読めて、満足の読後感を味あわせてくれる、全1巻で完結する面白い漫画のまとめです。

全1巻完結漫画リスト

マイ・ブロークン・マリコ

平庫ワカさんの「マイ・ブロークン・マリコ」。父親からDVを受けていた親友・マリコの遺骨を奪い、海へと向かう主人公のOL・シイノを描く物語。

DV親父に刃物を突きつけて絶叫する、第一話のシイノが鮮烈。さらに遺骨を抱いて逃走するシイノ。え?これ、この先どんな感じでまとめるの?なんて思いましたが、全4話できっかり完結。生命感あふれるシイノと、対照的に浮かび上がるマリコの死。そのコントラストが絶妙に心に焼き付きます。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

押見修造さんの「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」。自分の名前をスムーズに発音できないがために、引っ込み思案となった少女・志乃。彼女が高校一年生になって経験する出会いと友情の物語

作者自身の経験がもとになっているという、どもり・吃音症の表現がリアル。セリフに頼らず表情でキャラクターの心情を伝えてくる表現力もスゴイ。読み手の想像力を掻き立て、読むたびに新しい発見があります。また志乃と友人たちの、高校生らしい不器用さを含んだ繊細な人間関係の描写も素晴らしい、全1巻の青春ストーリーです。

プリズムの咲く庭 海島千本短編集

海島千本(うみしませんぼん)さんの「プリズムの咲く庭 海島千本短編集」。小説家と森の音楽少女の爽やかな邂逅をサイレントで紡ぐ「ミルフィーユの日々」。戦争で生き別れた主人を探すロボット犬の旅を描くSF「僕のソフィア」など、10編の多彩な短編を収録。

ファンタジー・青春・SF・ホラーと、どの短編も毛色が違いながら、それぞれに見どころあり。さらに抜群の美麗な描写力で、ストーリーを楽しんだあとにも二度三度と眺めていたくなる。初短編集とは思えない、素晴らしいクオリティです。激烈にオススメ。

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グッド・バイ・プロミネンス

ひの宙子(ひろこ)さんのデビュー単行本「グッド・バイ・プロミネンス」。家族関係や友情、恋愛感情などを絡め、様々な人間関係を描き出す連作短編8作を収録。

各話の序盤は、登場人物たちの関係性がはっきりとは描かれない作り。それを読み手が推し量り、その関係性がわかってくる頃に、「ハッ」とするような転換が待ち受ける。人と人との不思議なつながりを脳裏に刷り込まれるような、そんな人間ドラマの数々に、大きなインパクトが。連作形式により全体としてもまとまった面白みを持つ漫画です。

スキエンティア

「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、「ボディレンタル」を含む短編集、戸田誠二さんの「スキエンティア」。日常にちょっとSF風味をプラスし、そして「生きること」を考えさせてくれます。

ごく普通の人々の生活に、柔らかな光が射すような瞬間が描かれ、静かな感動が広がる。そんな深さ・優しさ・温かみを感じます。最終話「覚醒機」に登場する主人公の友人がラストに発する言葉は、熱く胸に刺さる。

ヘウレーカ

「ヒストリエ」以前に描かれた、岩明均さんの歴史ロマン漫画「ヘウレーカ」。紀元前200余年のシチリアを舞台に、アルキメデスの弟子となった青年・ダミッポスの活躍が描かれます。

「寄生獣」で一躍その名を轟かせた岩明均さん。その漫画の魅力を存分に感じられる一冊。読後、はるか過去の世界に気持ちが飛ぶような、そんな不思議な魅力を持った作品です。アルキメデスの考案した奇想天外な兵器と、知略に長けた青年・ダミッポスの生きざまに注目。

フロイトシュテインの双子

「死人の声をきくがよい」のひよどり祥子氏が、うぐいす祥子名義で書いたホラー短編集「フロイトシュテインの双子」。美しい双子の家庭教師をすることになった、ひ弱な男子大学生が出会った恐怖…。

っていうか実質ギャグ漫画(笑)。ホラーも突き抜ければ笑いになる。シャレのわかる方に読んでいただきたい。表題作「フロイトシュテインの双子」全3編はじめ、どの漫画もちょっと笑える?コメディ・ホラーです。

夢中さ、きみに。

美形で独特の色気をうかがわせるが、行動が少し特殊な林くん。そんな彼を周囲の人間の目を通して描く「林くん」全4話

見た目は伊藤○二ホラー漫画の登場人物で「関わると不幸になる」と噂の二階堂くんと、前の席になったことがきっかけで親交を深めていく目高くん。二人の奇妙な関係を描く「二階堂くんと目高くん」全4話

以上の二部構成となっている和山やまさんの「夢中さ、きみに。」。これ、非常に説明のしにくい漫画なんですが、読むうちに少し変わった高校生たちからなぜか目が話せなくなってくる、不思議な作品。読後に学生生活を思い出すと、少し変わっていた「あの子」の内面が見えてくる…かもしれない。

邪眼は月輪に飛ぶ

藤田和日郎さんの伝奇アクション漫画「邪眼は月輪に飛ぶ」。その眼に捉えられると皆死ぬ、という恐怖のフクロウ・ミネルヴァ。日本に解き放たれたそのモンスターを倒すべく集結した、老マタギ・鵜平や米軍人たちの闘いが描かれます。

息をもつかせぬバトル、そして人間味のある物語がスピーディ、ノンストップで展開され、全1巻という枠を大きく超えた迫力を持つ漫画。読み終える頃にはいい意味でグッタリ(笑)。「うしおととら」「からくりサーカス」などを生み出してきた藤田和日郎さん。その勢いを単巻漫画でも遺憾なく発揮しています。

バビロンまでは何光年?

道満晴明さんの「バビロンまでは何光年?」。地球人類最後の生き残りである青年が、彼を偶然拾った宇宙人たちと旅をする様子を、スチャラカに描いたコメディSF

道満晴明+ヤングチャンピオン烈ということで、とにかくお下品。人間と非・人型宇宙人とのF○○○シーンはなかなかシュール(笑)。が、その行為にもちゃんと理由があり、そして地球滅亡の謎も絡めて全1巻できっちり完結。一見バラバラで適当っぽい事柄が、終盤でパタパタとつながって意味を成してくる、という作りがお見事。

花と頬

イトイ圭さんの「花と頬」。有名音楽ユニットのメンバーを父に持つ女子高生・頬子(ホホコ)と、大柄だけど物静かな転校生・八尋。二人のひと夏のガール・ミーツ・ボーイをゆるやかに描き出す、全1巻のストーリー漫画。

互いが気になりながらも、その距離感を測りかねる、思春期の少年少女。丁寧にコマを重ねて表現されるその心情と静謐な雰囲気が、とても良い。ホホコと八尋の二人が、図書館で一枚のルーズリーフにメッセージを書き込んで「会話」するシーン、好きだなぁ。

となりのロボット

「わたしはロボットです。今はだいたい 人と同じことができます」という各話冒頭のモノローグが印象的な、西UKOさんの「となりのロボット」。極めて精巧なロボット・ヒロと、彼女の開発に「友人」として協力し、やがて恋愛感情を抱くようになった女子高生・チカ。二人の微妙でもどかしい関係を描く百合作品

学習し、ネットワークを駆使し、少しずつ人間に近づいていくヒロと、彼女の開発を行うチームの緻密な描写は、予想外のSF感。しかしその科学描写が、ヒロに人間的なものを求めるチカとの「ズレ」を生み出していて面白い。ある意味SF漫画とも言える作品です。

Silent Blue

「水」に関する漫画を数多く手がけるとともに、ハードSFアクション「バタフライ・ストレージ」などSF漫画にも定評のある安堂維子里さん。本作「Silent Blue」でも、独特のSF観、そして瑞々しさを見せてくれます。

過去に隕石が落下した湖に、一人ダイブする女性。当時の記憶を失くした彼女が、湖の底で見つけるものは―。物語のそこかしこで描かれる、ファンタジックな水中の表現。ハッとする美しさがあり、読後には不思議と心にも潤いが生まれている。そんなさわやかさを感じるSF作品です。

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)

地球に衝突する巨大彗星から逃れようと、シェルターへ非難した家族5人。大津波の衝撃から目覚めた彼らは、過去の世界に別人として存在していることに気付く。彼らを待ち受ける数奇な運命とは―というSF漫画、高山和雅さんの「天国の魚」。

静かに、淡々と描かれる家族の流転。そして家族を包む世界には、不思議な秘密が隠されています。これぞSF!という満足感を得られる、ボリュームのある漫画。電子書籍は出ていないので、紙書籍でどうぞ。

うどんの女

えすとえむさんの「うどんの女(ひと)」。うどん担当の「学食のおばちゃん」女性(バツイチ35歳)と、美術系学生(21歳)の、うどんを通したちょっとコミカルな恋愛ドラマ

。来る日も来る日も学食でうどんを食べる学生と、少し天然な女性は、いつの間にか互いを意識する間柄に。しかし女性の元夫は学生くんの担当教授だったりして、中盤以降、やや複雑な展開に。そんな物語の根底に常に「うどん」が存在しているのが、不思議なおかしみを生み出す大人のドラマ。

五色の舟

津原泰水さんの原作小説を近藤ようこさんがコミカライズ、2014年の「メディア芸術祭マンガ部門大賞」を受賞した全1巻漫画「五色の舟」。半人半牛の姿で未来を予言する妖怪「くだん」を探し求める、見世物小屋一座の物語

主人公たちはその容姿から見世物小屋の一員となり生活費を稼ぐという、近年描きにくいタイプの物語。ですがその難しい内容を近藤ようこさんが見事にビジュアル化。哀しく美しいストーリーが、不思議で幻想的な世界観にまとめあげられています

星のポン子と豆腐屋れい子

星のポン子と豆腐屋れい子」。これね!何て説明しようか困るなぁ(笑)。全てがネタバレに即つながりそうで。あえて予備知識を持たずに読んで欲しい漫画

豆腐屋の姉弟と、宇宙から来た謎の生き物ポン子のふれあいを描いた、ハートフル漫画、ということで紹介とさせていただきます。いい意味で表紙サギ、と言っておこう。

新月を左に旋回

謎の留学をしてしまった姉と入れ替わるように、女子中学生ユウコのもとやってきた、不思議な少女「このは」(このはずく様)。二人のちょっと不思議な物語を描く、衿沢世衣子さんの「新月を左に旋回」。

いやー、好きなんですよ、衿沢世衣子さんの漫画。ポップでライトなその世界観。何度読んでも飽きない魅力がある。主人公のもとにちょっと不思議な存在がやってくるという設定も、「オバQ」など藤子作品を彷彿とさせてちょっと懐かしい感じ。軽い気持ちで読んで、気付くと衿沢世衣子ワールドにハマっている、楽しい漫画です。

顔ビル/真夜中のバスラーメン

呪みちるさんのホラー漫画短編集「顔ビル/真夜中のバスラーメン」。ちょっと変わったタイトルは、収録の短編「顔ビル」と「真夜中のバスラーメン」から。

呪みちるさんはホラー短編をまとめた単行本をいくつか出版されていますが、そのどれもが短編漫画として、シンプルに高いクオリティを持つものばかり。単なるエロ・グロの範疇にとどまらない妖艶な美しさ、そして絶妙のストーリーテリングを楽しむことができます。

霧の中のラプンツェル

あらい・まりこさんの「霧の中のラプンツェル」。ナチスが政権を握り、ドイツ国内でユダヤ人が迫害されていた時代。ユダヤ人少女・ラケルと彼女の家族の悲劇的な行く末が、表題にもある「ラプンツェル」をはじめとしたグリム童話をモチーフに描かれます。

逆境にありながら、ユーモアを忘れないラケル。彼女を微笑ましく思いながらも、戦時下の過酷・異常な環境の描写がショッキング。ラストはやや中途半端な印象もあるのですが、それがかえって想像力を高めます。

アンダーカレント

不可思議な失踪をした夫を、銭湯を営みながら待つ主人公・かなえ。そこに銭湯組合の紹介と称し、寡黙な男があらわれて―。

豊田徹也さんの「アンダーカレント」。静かな漫画。とにかく静寂。が、それゆえにキャラクターの思い・表情が、実に深く読者に迫ってきます。時にコミカルな表現も交えながら、人と人、男と女の出会いと交錯を描く、大人のドラマ。しっとりした映画を見たような読後感が待っているでしょう。

U[ユー]

女性研究者が作った自身の「コピー」。それはやがて「オリジナル」に殺意を抱き…というSFサスペンス漫画。今日マチ子さんの「U[ユー]」。

今日マチ子さんは「みかこさん」など、独特のやわらか・淡々とした線が印象的な漫画家さん。その作風に、いつもはほっこりするのですが、怖い系の漫画で見るとうっすらとした肌寒さを感じます。

彼女のカーブ

ウラモトユウコさんの「彼女のカーブ」。掲載誌(エロティクス・エフ)のタイトルからそっち系な話が多いのかと思いきや、ほっこりいい話・笑える話が多くて楽しかった。これまたいい意味で表紙サギ。

短いながらもクスッと笑ってほっこりする、心に残る作品多め。ウラモト氏の漫画を初めて読んだのですが、日常の風景をユーモアに転化するのが実に上手な作家さんですね。あ、エッチなのはほとんど無いです。

HUMANITAS ヒューマニタス

時代や立場は違えど、己の闘いに果敢に挑んだ三人の戦士たちを描いたヒューマン・ドラマ。中編ボリュームの三編を収録した山本亜季さんの「HUMANITAS ヒューマニタス」。

15世紀の中央アメリカで戦う双子の戦士。20世紀の米ソ冷戦時代に牢獄からチェス代表に選ばれた男。極寒の地で生きるために鯨と戦う少女。描かれる物語のどれもに迫力とドラマ性があり、満足の読後感。人間の尊厳とは何か、を考えずにはいられない一作。オススメ。

宇宙のプロフィル

本作がデビュー作となる、”こがたくう”さんのSFオムニバス漫画「宇宙のプロフィル」。ファンタジック風味の物語からミステリー風まで、バラエティ豊かなSF作品はどれもクオリティ高し

短編の中に凝縮された「宇宙」が、SFごころを刺激するような、繰り返し読みたくなる魅力が詰まっています。SF好きならば読んでおきたい、珠玉のSF短編集

シンプルノットローファー

とある女子校の生徒たちが送る何気ない学校生活を描く、衿沢世衣子さんの短編漫画集「シンプルノットローファー」。

登場人物の9割以上は女の子ですが、衿沢世衣子漫画ということでいやらしさが全く無いのが特徴。もうね、何も考えずにホワーッと流し読みするのが楽しい。男女問わず、かつて過ごした学生時代を思い起こすような、ゆるやかな日常が心地よい漫画。勝手に衿沢作品の原点だと思ってます。

FLIP-FLAP

いたって普通の青年・深町くんが、ピンボールへの普通じゃない情熱を持つ山田さんに恋をした!そこから始まる、熱血青春恋愛ピンボール漫画。とよ田みのるさんの「FLIP-FLAP」。

ちょっとアンダーグラウンドなイメージもあるピンボール。しかし「FLIP-FLAP」で描かれるのは、その奥深さ、そして熱さ!深町くんがピンボールにはまっていく様を読み進めていくうちに、読者も彼と一体化。知らず知らずのうちに手に汗を握っていきます。ピンボールへの挑戦と恋の行方、シンプルな構成ながら熱くハマれる全1巻完結漫画。

夜よる傍に

森泉岳士さんの「夜よる傍に」。夜間だけ視力が上がる少女と、不眠症の青年。夜に出会った二人が、幻の絵本「夜をさがして」を求めて不思議な体験をする、という幻想的なお話。

森泉岳人さんは、その描画技法が独特。まず水で描いた描線に墨を落とし、爪楊枝・割り箸などで、細部を仕上げていくそうです。モノクロで描かれる優しい線は「絵」でもあり、「絵本」風でもあり、「絵画」のようでもあり。読んでいるうちにその世界の虜になってしまう、不思議な作風。

ネムルバカ

「それでも町は廻っている」の石黒正数さん描く全1巻漫画「ネムルバカ」。主人公は「それ町」の歩鳥と紺先輩の「その後」を彷彿とさせる先輩と後輩、二人の女子大生。

ゆるゆると過ごす日常の先に待ち受けるのは、夢か希望か。はたまた―。親近感の湧く、等身大の若者の姿にほっこり。と同時に、シニカルさも含んだ鋭いメッセージが詰め込まれているのが、石黒正数さんらしい。名ワード「駄サイクル」は本作から

雑草たちよ 大志を抱け

地方都市に通う、ちょっと地味めの女子高校生たち。その心の交流を描いた、池辺葵さんの連作短編集「雑草たちよ 大志を抱け」。

決してクラスの中心になる子たちではないけれど、そのあたたかい心は、きっと誰かを明るくしている。そんな池辺葵さんの作品らしい「やさしさ」が、まぶしいぐらいに詰まっています。心がささくれだった時に読むと、ほのあたたかい気分になる、そんな漫画。

空飛ぶくじら スズキスズヒロ作品集

スズキスズヒロさんの初作品集「空飛ぶくじら スズキスズヒロ作品集」。進路の見えない女子高生と老教師の心の交流を描く「木村先生」、取引で粗悪な銃を掴まされたヤクザはかつての同級生を頼るが…「銃声を削り出す」など、近年めずらしい、良い意味でストレートな素直さを伝えてくる、人間ドラマ中心の漫画群。

全4話の中編「銃声を削り出す」は、特に味のある一品。専門的な工業系の知識から描かれる銃のレストア作業に絡めて、社会をはみ出したヤクザが地道にそれぞれの人生を歩いている旧友たちから、自身の生き様を省みる様。渋い味わいがあります。同作のスピンオフである描き下ろし「空飛ぶくじら」も、リアルと優しさの詰まった佳作。

ドミトリーともきんす

「科学者たちの言葉」を伝える読書案内漫画、高野文子さんの「ドミトリーともきんす」。

朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹ら実在した科学者が、もし「ドミトリーともきんす」に下宿していたら…?というifもの。ドミトリーを管理する母娘との掛け合いが、実に楽しい。科学者、と聞くと身構えてしまうような方でも、高野文子さんのポップで柔らかな線、そしてテンポの良いストーリー運びに乗って、ライトに読むことができる漫画です。

これでおわりです。

ユニークなタイトルのオムニバス・コメディ、小坂俊史さんの「これでおわりです。」。「おわり」をテーマにした全16編を収録。「最後の卒業生」「最後の一杯」「最後の曲」など、様々なシチュエーションの「最後」がコミカルに描かれます。

各話とも「そう来たか」とくるオチにニヤリ。特に最終話「最後の回」(ダブルミーニングね)のラストが、実にウマイ。漫画のテーマと絡めて、メッセージが心に残ります。

おとろし

カラスヤサトシさんの「おとろし」。時代物・現代物を織り交ぜた各話6Pのホラー短編を24編収録した漫画集。

ホラーだけどちょっといい話・悲しい話も含む…なんて、短編集にありがちな展開は一切ありません。どの漫画もちゃんと、「怖さ」を追求しているところが素晴らしい。ねっとり、後味良くない系の話を楽しみたい方におすすめ。こわ面白いです。

奈知未佐子短編集 ~思い出小箱の15粒~

童話・昔話風の創作漫画を全15編収録した短編集、奈知未佐子さんの「奈知未佐子短編集 ~思い出小箱の15粒~」。

心温まってホロリとくる話が優しい絵柄で描かれて、子どもの頃の読み聞かせを思い出すような、なんだかなつかしい気持ちになります。電子版も出ていますが、お子様のいる方は紙書籍を買うと親子で楽しめるでしょう。オススメ。

説得ゲーム

戸田誠二さんの「説得ゲーム」。「自殺志願者を説得したらクリア」というゲームの開発者を探す表題作「説得ゲーム」、脳だけ生き残った女性と相対する研究者達を描いた「キオリ」など、書き下ろし二編を含む全5編の短編を収録。

「スキエンティア」同様ライトなSF要素を絡めつつ、人間の在り方を描いたヒューマンドラマ。男性が妊娠できる世界を描いた「クバード・シンドローム」は、全男性に一度読んで欲しい漫画。これを読むと妊娠・出産に対する見方が変わるはず。名作。

地上の記憶

2012年に病没された白山宣之氏。その遺作集となった短編漫画集「地上の記憶」。現代劇「陽子のいる風景」「ちひろ」、時代劇「Picnic」「大力伝」、冒険譚「Tropico(前・後編)」の計5編を収録しています。

ある日の女性たちの日常を、写実的に淡々と描写した「陽子のいる風景」「ちひろ」はじめ、その緻密な描写に驚きと感銘を受けました。ドラマのワンシーンを丁寧に切り取って描いたようなコマ、何度見ても飽きません。漫画の魅力・可能性を見せてくれる短編集です。

スノウホワイト グリムのような物語

諸星大二郎さんによってアレンジ・漫画化された、グリム童話の数々「スノウホワイト グリムのような物語」。諸星漫画初心者にはおすすめしにくいのですが、読めば読むほど味の出る、スルメのような面白さがあります。

本書収録の「ラプンツェル」は、同じくグリム童話を題材にした「グリムのような物語 トゥルーデおばさん」にも別の内容で描かれています。同じテーマながら味付けが全く異なるので、読み比べてみると面白いのでは。他に「奇妙なおよばれ」「コルベス様」が程よくブラックで好み。

伊藤潤二自選傑作集

ホラー漫画家・伊藤潤二さんが自選した短編集「伊藤潤二自選傑作集」。

伊藤氏は数多くの短編を描かれているので、どれを読んだらいいか迷う!という時にオススメしたい一冊。名作「首吊り気球」はじめ、濃密な恐怖を楽しめます。一歩間違えればギャグにもなりかねない内容を、ホラーの領域にとどまらせる手腕はさすが。そして伊藤氏の発想の豊かさに感心すること必至です。

運命の女の子

「無敵」「きみはスター」「不呪姫と檻の塔(のろわれずひめとおりのとう)」の三編を収録した短編集、ヤマシタトモコさんの「運命の女の子」。

サイコホラー・青春・ファンタジーと、それぞれ毛色の違った漫画を収録。どの作品も物語に「芯」があり、ジャンルが異なるのに満足感があります。これを書きながら「無敵」を再読しましたが、怖いね…。ジワジワくるサイコ・ホラー

瓜子姫の夜・シンデレラの朝

諸星大二郎さんの「瓜子姫の夜・シンデレラの朝」。再び登場、諸星御大。こちらも「スノウホワイト」同様、昔話を下敷きに諸星氏が独自のアレンジを加えた作品集です。和物・洋物・中華物を取り混ぜているところが面白い。

「瓜子姫~」は「妖怪ハンター」でも取り上げられた題材ですが、同作とは関係なく、本単行本独自の内容。農民が美しい女房の秘密に触れる「見るなの座敷」、少女が地獄の釜を垣間見る「悪魔の煤(すす)けた相棒」、そして中華な雰囲気たっぷりの「竹青」など、諸星ワールドが堪能できます

アイリウム

1錠で1日分の記憶を飛ばせる薬」を使った人々が体験する人生を描いた、小出もと貴さん描くオムニバス漫画「アイリウム」。

本作のユニークな点は、アイリウムという「アイテムの働き」は同じなのに、その使われ方が各話で異なって、全く違う読後感を生み出していること。その役割は、兵士の罪悪感を喪失させるためだったり、サスペンスの小道具だったり。アイリウムのユニークな存在感がドラマを盛り立てます。

don’t like this

メタモルフォーゼの縁側」の作者・鶴谷香央理さんによる全1巻完結漫画「don’t like this」。「これ好きじゃない!」というタイトルとは裏腹に、ふとしたきっかけから釣りを始め、そこからいろいろな「好き」に目覚めていく主人公女性の姿が、各話4Pのショートストーリーで描かれます。

初めて釣り竿を持った時。初めて魚を釣った時。釣った魚をおいしく調理できた時。彼女の好き、そして世界が広がっていく様が、1巻を通じてじっくりと描かれていく様が心地よい。「メタモルフォーゼの縁側」とは異なる作画法にも注目。

ポジティブなゆり子さん

平澤枝里子さんの「ポジティブなゆり子さん」。仕事ができる後輩社員に片思いをしていたが、彼の結婚により失恋した27歳OL・ゆり子さん。しかしいつも笑顔、前向きな気持ちで前に進む彼女を、優しい筆致で描く物語。

タイトルから「底抜けにポジティブシンキングな女性」の話を想像していましたが、さにあらず。夜空に浮かぶ月に照らし出される、彼女の不安な心が印象的。後輩くんを思う気持ちを、心の中で静かにするシーンが、泣ける。

にわにはににん

中野シズカさんの「にわにはににん」。いずれも「庭」をテーマにした、全5編の短編を収録。

人が心に持つ「庭」の姿を、ファンタジー風味で描き出すストーリー。モノクロなんだけど、読んでいくうちに鮮やかな緑が浮かび上がってくるような、不思議な感覚。それを生み出すのは、スクリーントーンを丁寧に重ねて紡ぎ出す、という中野シズカさんの独特の画法。マンガ表現の可能性を堪能できる短編集です。

書道教室

筒井秀行さんの「書道教室」。フラッシュモブからの逆プロポーズに玉砕、いたたまれずに会社を辞めてしまった斉藤さん(29)。入院中の祖母から引き継いだ書道教室の先生になった彼女が、生徒たちとともに展開するシュールなコメディ

印象的なのは作者・筒井秀行さんの漫画表現の巧みさ。サラサラ、フニャフニャっとした線で軽~く描いているように見えるけど、絶対センスが無いと描けない絵。このアート感に触れるだけでも本作を読む価値があります。ウマイ。

春の一重

切畑水葉さんの「春の一重」。独創的・幻想的な世界観を表した短編漫画14編を収録。人間とキツネの不思議なやり取りをファンタジックに描く、連作「春の一重」~「冬の集い」で開幕する本作。ふわりとしながらもハイレベルなセンスに包まれた絵・物語にほっこり。

…と思いきや、6話「鵯(ひよどり)の裁判」で雰囲気が一変。会社員が仕事帰りに動物世界に迷い込んだ顛末を、昏く、恐ろしく描く様にゾクリ。以降、作者の独特な世界にグイグイと引き込まれていきます。ダーク寄りのファンタジーが好みな方に

ゆとりの町長

小坂俊史さんの4コマ漫画「ゆとりの町長」。田舎町に出戻った町本ゆとり(24)が成り行きで町長選に立候補。参謀になった同級生と共に3期無投票当選の現職に挑む、という選挙コメディ

多数の4コマ漫画を輩出している小坂俊史さんならでは。ボケとツッコミの強弱がついた4コマは、安定した笑いを提供。シンプルに面白い。ですが読んでいくと、あれ?あれれ?ゆとりは町長に当選するや否や?なんて、選挙の行方が気になってくるから不思議。4コマで笑って、全1巻を通してのストーリーも楽しめる、稀有な作品。

むかしこっぷり

おくやまゆかさんの「むかしこっぷり」。作者自身が家族・親戚・友人など周囲の人から聞いた「ちょっとむかし」の出来事を、短編形式で漫画化。戦後から現代の少し手前まで、人々の記憶を頼りに描かれるそれらの物語は「歴史に残らない記憶の記録」といった風情で味わい深い。

朴訥とした絵柄で淡々と語られる、不思議な話・ちょっと怖い話・幼少時の体験など。その中で特に印象的だったのは「コマツくんのはなし」。祖父母の家に居着いたちょっと傍若無人だけど、どこか憎めない知人。昔はこんな人がいて、またそれを受け入れる家があったんだなぁ、なんて。

このかけがえのない地獄

oimoさんの別名義「アッチあい」による短編漫画集「このかけがえのない地獄」。全5編を収録。

ラブコメ漫画の中に紛れ込んだ戦争漫画の新キャラが、その価値観の違いから3番目のヒロインの心にさざなみを起こしていく、という漫画をメタった漫画「4番目のヒロイン」が特にオススメ。意外性のあるラストが印象的。読後、喉に刺さった小骨のように何かが引っかかる。そんなちょっとクセのある後味を持つ短編集です。

あの子の家

クマザワミキコさんの全1巻完結漫画「あの子の家」。母と二人で何不自由ない暮らしをしている少女。楽しいけれど、「自分のどっかが死んでる」という気持ちが拭えない。快適とは、楽しいとは、そうゆうものなんだ、と理解している彼女が、あるきっかけで家を出て…、という「子どもの自立」がファンタジー風味で描かれます。

ほんわかした絵柄とは裏腹に、読み手の精神をジワジワと抉るような内容。ホラーじゃないのに、ほんのり恐ろしさを感じる漫画です。

ひとりかごめ

雨がっぱ少女群さんのホラー短編集「ひとりかごめ」。背後に何かの気配を感じずにはいられない女子高生は、やがて徐々に奇妙な行動を取るように―表題作「ひとりかごめ」。夢の中の出来事で現実に怪我をした男子。彼を気遣う幼馴染の女子高生も奇妙な夢を―「夢うつつ」。などの全12編を収録。

人気作「麻衣の虫ぐらし」のように美女・美少女描写に定評のある雨がっぱ少女群さん。本作では女性たちの美麗さはそのままに、しかしそれがドス黒いホラー描写を対照的に浮かび上がらせている。そんな独特な魅力があります。グロ有り注意。

はなちゃんと、世界のかたち

植田りょうたろうさん待望の単行本「はなちゃんと、世界のかたち」。少し昔の日本で、はなちゃんとうたちゃんの二人が繰り広げる不思議な冒険、全6編を収録。

個人的に惹きつけられるのは、独特の画風。漫画だけど、アニメのような、絵本のような、絵画のような、一度見たら忘れられないコマの数々。そこを躍動感あふれる動きで飛び回るキャラクターたち。子どもたちの感じる世界をファンタジックに広げた独特の世界観と相まって、唯一無二のマンガ世界を見せてくれます。

蓬莱トリビュート 中国怪奇幻想選

鮫島円人さんの「蓬莱トリビュート 中国怪奇幻想選」。中国の古典をベースに描かれる、昔話風の物語・全10話。ポップかつイラストチックに描かれる中華物語の数々。示唆・教訓を含んだ話もあれば、もう一つ釈然としない終わり方をするものも。

が、それが「いかにも」な感じがして、とても良い。文章ではなかなか触れる機会のない話を、親しみやすい絵柄で再現している、というところに価値を感じる。もちろんシンプルに「マンガ」として楽しめる作品です。

魔犬 ラヴクラフト傑作集

ラブクラフトの幻想怪奇小説から「神殿」「魔犬」「名もなき都」の三作をコミカライズした短編漫画集「魔犬 ラヴクラフト傑作集」。

田辺剛さんの圧倒的な筆致から描き出される、神秘的ともいえる雰囲気が素晴らしい。おどろおどろしい「闇の恐怖」に戦慄

萩尾望都短編集 山へ行く

巨匠・萩尾望都さんの短編集「山へ行く」。

人間ドラマ中心、SF・ファンタジーもあり、バラエティ豊か全12編を収録。本ブログでも随所で紹介していますが、収録作の一つ「くろいひつじ」は人間のどす黒い内面を見事に描いた傑作

スターダストメモリーズ

星野之宣さんのSF短編集「スターダストメモリーズ」。表題の連作「スターダストメモリーズ」7編ほか、全13編を収録。

宇宙の神秘を感じる作品から船内パニックものまで、星野之宣さんならではのリアルで幅広いジャンルのSF漫画を堪能できます。

はてなデパート

谷数野さんの「はてなデパート」。

とあるデパートを舞台に、そこに関わる人々の少し不思議な体験を描いた連作短編全6話。序盤ほのぼの、に油断してると後半涙腺崩壊必至。心に残るやさしい漫画です。

小僧の寿し

「マリーマリーマリー」など、コミカルな作品を多数手がけられている勝田文さんの短編集「小僧の寿し」。

食べ物にまつわる短編4作と「クリスマスキャロル」のコミカライズ作品を収録。無気力女性がスイカを売り歩いてひと夏の脱皮を遂げる「すいかドライブ」がオススメ。勝田文ワールドを堪能してください。

バイナリ畑でつかまえて

山田胡瓜さんの「バイナリ畑でつかまえて」。

オンラインメディア「ITmedia PC USER」にWEB連載されていた漫画を単行本化した、IT関連のあるあるネタを散りばめたショートショート集です。PCやネットが好きなかたならニヤリとするのでは。

人生山あり谷口

谷口菜津子さんの山登りエッセイコミック「人生山あり谷口」。山登り初心者である作者が、手頃な山にビギナー仲間と共にゆるく挑む様子が、ゆるいタッチで綴られます。

サイケデリックな画風・色遣いの漫画家さんですが、これが意外と読みやすいから不思議。登山の内容も軽く笑えて面白い。なかなかハイレベルなエッセイ漫画です。

まとめ

以上、全1巻で完結する面白い漫画でした。少数巻で完結する漫画はいいですね。ちょっと漫画が読みたい時に気軽に手を出せるし、読んだことのない作家さんの作風を知るのにも役立ちます。これからも未知の単巻・全1巻の漫画にたくさん手を出していきたいと思います。

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