漫画「鬼を飼う」1~3巻―帝都に蠢く「奇獣」を巡る物語

吉川景都さんの漫画「鬼を飼う」。吉川さんのエッセイ4コマ「子育てビフォーアフター」と同日に待望の第3巻が刊行されました(※下記書影は1巻)。

「鬼を飼う」という独特なタイトルの本作。伝説や神話に登場する「架空だと思われている」生き物=「奇獣」を扱う奇獣商と、それに興味を抱く青年を軸に物語が展開されるオカルト・ホラー漫画です。

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あらすじ

昭和7年の東京。学生・鷹名と司は、鳥獣商・四王天(しおうてん)とその傍らに付きそう金髪の少女・アリスに出会う。

怪しげだがどこか憎めない雰囲気を持つ四王天。彼はただの鳥獣商ではなく、謎の多い生き物「奇獣」を扱う奇獣商だった。鷹名に興味を持った四王天は、「鬼を飼ってみるか」と彼に持ちかける。

謎掛けが好きだという「鬼」を持ち帰った鷹名。数日の間は他愛の無い謎掛けをしていたが、彼の不用意な一言で巨大化。高度な謎掛けを鷹名と司に問いかける。答えを誤れば待っているのは死。鷹名と司の運命は―。

「鬼を飼う」1~3巻レビュー

…以上が1巻導入部、鷹名・司コンビと四王天・アリスの出会い、そして鷹名たちが奇獣と関わるようになるまでのエピソードです。

以降、奇獣にまつわる妖しくもほっこりする単発エピソードを絡めながら、四王天とある理由を持って対峙する警保局特高部の奇獣専門部隊「夜叉」、奇獣を追う新聞局員、そして謎の勢力(?)を交えて物語が展開されていきます。

心霊や妖怪をメインに据えた物語は数多くありますが、本作が特異なのは人外・妖かし的な存在を「奇獣」とし、それを取り扱う「奇獣商」という存在を物語の中心に据えたこと。

奇獣を売る者がいれば買う者もあり。「奇獣の売買」から起こる事件、といった物語の起点が、妖怪退治・除霊ものとは一味ちがう面白みを物語に付加しています。

そして「鬼を飼う」、3巻にしていよいよ盛り上がって参りました感が。

序盤(1巻~)は悪人ではない(なさそう)だけど食えない奇獣商・四天王+謎の少女アリスと、鷹名・司の学生コンビが奇獣の絡んだ不思議な事件中心。

そこに夜叉の面々が絡んで冒険活劇風味をプラス。さらに謎の人物の登場、そして四王天と鷹名の関わりの変化などが描かれ、想像していたよりもさらに物語が広がり・深みを見せてきました。

オラ、なんかワクワクしてきたぞ!と思っていると忘れた頃にぶっこまれてくるホラー風味。吉川景都さんの絵柄は比較的ライトな方だと思うのですが、そのギャップと相まってこれがなかなか怖い。ワクワクが一瞬でゾクゾクに(笑)。

という感じの漫画「鬼を飼う」。レトロな帝都に立ってその雰囲気を楽しんでいたと思ったら、奇獣に連れられて知らぬ間に暗部に足を踏み入れて戻れなくなってしまった、そんな雰囲気のある漫画です。3巻まで巻を重ねた今が読み頃。「奇獣のいる世界」を楽しんでみてください。

漫画データ
タイトル:鬼を飼う(1) (ヤングキングコミックス)著者:吉川景都出版社:少年画報社発行日:2016-02-29