漫画「リウーを待ちながら」1巻―地方都市を襲うアウトブレイクの恐怖

良質な医療サスペンス・パニック漫画を排出されている漫画家・朱戸アオさんの新作「リウーを待ちながら」。待望の1巻が6月23日に発売されました!

防護服に包まれ、意味深な表情をした女性が表紙の「リウーを待ちながら」第1巻。朱戸アオさんの作品はほぼ全作読んでいますが、本作も第一話の試し読みを見てから単行本の発売を今か今かと待ちかねていました。感想は「やはり期待を裏切らないおもしろさ!」でしたが、それは本記事後半で。

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あらすじ

人口約9万、富士の麓に位置し、自衛隊の駐屯地を擁する横走市。その中央病院に勤務する内科医・玉木涼穂(たまき・すずほ)の下へ、行き倒れの自衛隊員が運ばれる。彼女と看護士・鮎澤の懸命な救命により一命を取り留める患者だったが、のちに主治医である玉木の許可なく自衛隊病院へ転院させられる。

時を同じくして鮎沢が無断欠勤。その娘・潤月(うづき)は自宅で倒れる母を発見するが、鮎沢は帰らぬ人となる。院内感染を疑い、原因調査に奔走する玉木。自衛隊の医官・駒野二佐とも情報交換するなか、疫研・原神に送った検体の検査からは驚くべき結果が。

体調不良を訴え中央病院に殺到する市民たち。横走市に迫るアウトブレイクの足音。玉木たちは地獄へと近づく横走を救うことができるか―。

「リウーを待ちながら」1巻レビュー

朱戸アオさんの医療系漫画は「Final Phase」「ネメシスの杖」「インハンド 紐倉博士とまじめな右腕」と読んできましたが、本作「リウーを待ちながら」は1巻で以下続刊。朱戸アオさんの漫画としては初のナンバリング作品ではないでしょうか(違ってたらごめんなさい)。

そして感想は…めちゃくちゃおもしろかった&怖かった!「怖い」はもちろん感染症の描写に対して。日本で最近話題になった感染症というと、例えば鳥インフルエンザウイルスやジカ熱などが思い出されますが、本作で扱われるのは誰もが一度は聞いたことのある、「あの伝染病」。

ネタバレは避けたいので具体的な病名は記しませんが、博識な方ならば「リウーを待ちながら」というタイトルからピン!と来るかもしれません。もしあの伝染病が日本で広がったら…。本作で描かれるアウトブレイクの恐怖、想像すると鳥肌が立ちます。

「リウーを待ちながら」の主人公は、直線的な情熱を持つ女医・玉木。相棒は優秀・冷静で不敵な笑みが特徴の疫学エキスパート・原神。「行動力を発揮して問題に立ち向かう女性」と「冷静に頭脳を駆使してそれに協力する男性」という構成は、「Final Phase」「ネメシスの杖」といったこれまでの朱戸アオ漫画でおなじみの構成。

今回はそこに「自衛隊」という新しいファクターが。自衛隊医官・駒野は言います。「俺達は美しい中央アジアで地獄を見た」と。駒野が体験した「地獄」が横走市で進行中の出来事とどのようにつながっていくのか。

感染症が地域を次第に覆い、身近な人間が次々と命を失っていく。緊迫感・悲壮感が漂う中、知恵の限りを尽くして立ち向かっていく主人公たち。朱戸アオ作品では恐ろしい現象の中に、必ず人と人との触れ合いが織り込まれるのですが、「リウーを待ちながら」でもそれは健在。リアルな医療ドラマの奥深さに引き込まれます。

人間は追いつめられると何かになれることがあるようです。運良く大学在学中にデビューできたものの、その後は数年アシスタント中心で連載も取れず、30までに連載できなかったら違う職業に就かないとなと思っていた頃、師匠経由で科学ムックに短期連載しないかというお話をいただきました。科学ムックに載るという事で「科学モノの漫画」という...

単行本発売日公開の朱戸アオさんのブログエントリーによれば、本作は同じくアウトブレイクを描いた処女作「Final Phase」の拡大版を意識されているとのこと。同作で描ききれなかったことを「リウーを待ちながら」にガンガン詰め込んでいる、これがおもしろくないわけがありません。

横走市を襲う事態は混迷を極め、気になるところで「続く!」の第一巻。おもしろい漫画はどこぞねー、という漫画好きの方に是非オススメしたい一作。そして「リウーを待ちながら」を読んだあと、2巻の発売が待ちきれなくなったら「Final Phase」を読んで、リウー2巻に想いを馳せてみましょう。

漫画データ
タイトル:リウーを待ちながら(1) (イブニングコミックス)著者:朱戸アオ出版社:講談社発行日:2017-06-23

弊ブログの朱戸アオ作品紹介についてはこちらもどうぞ。

講談社のWEBコミックサイト「モアイ」をチェックしたら、朱戸アオ先生の新作「リウーを待ちながら」が連載されていることを知りました。 ...