「リバーエンド・カフェ」―女子高生と謎のカフェ・マスターの不思議な交流

震災から7年経った宮城県石巻を舞台に、女子高生と謎のカフェ・マスターの交流を描く「リバーエンド・カフェ」。

作者は「軍鶏」のたなか亜希夫さん。アクションコミックスより、1・2巻が同時刊行されました。以下、2巻までのレビューです。

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あらすじ

石巻に住む高校二年生のサキは、同級生による嫌がらせで、男たちに乱暴されそうになる。

それを助けたのは、偶然通りかかった長髪で筋肉質の、怪しげな男。

後日、川の中瀬にある一軒家で、男に再会したサキ。成り行きで「リバーエンド・カフェ」開業の手伝いをすることに。

たなか亜希夫「リバーエンド・カフェ」
[たなか亜希夫 著 双葉社「リバーエンド・カフェ」1巻より引用]

素性の知れない、しかしどことなく力強さを感じるマスター。出されたコーヒーを飲んだサキは、そこに不思議な味わいを感じた…。

以上が、「リバーエンド・カフェ」の序盤あらすじ。以降、マスターのことをいぶかしみながらも、なぜかカフェに通ってしまうサキと、マスターとの交流が描かれます。

震災を絡めたドラマ

いじめに遭っているサキ。それは中学生の時の、「絆」という言葉に対する率直な感想によるもの。

しかしそれが反感を生み出し、高校生になった現在も過酷ないじめが続きます。

そしてやや複雑な家庭環境も抱える彼女。その表情は常に浮かない。

その彼女が出会ったのは素性の知れない、なんとも胡散臭いマスター。

たなか亜希夫「リバーエンド・カフェ」
[たなか亜希夫 著 双葉社「リバーエンド・カフェ」1巻より引用]

ですが妙な魅力と迫力を持つ彼。サキが「絆」に感じたことを否定せず、理解を示します。

不思議な出来事の数々

そんなマスターのことを「オッサン」と警戒しつつも、なぜか惹きつけられるように「リバーエンド・カフェ」に足を運ぶようになるサキ。

マスターの人柄からか、カフェには妙な人々が集い、それが縁となってサキは数々の体験をすることに。

震災で失われた彫刻を探すために、怪しげな霊能力者に関わったり。喪われた人に会いたいという男子の願いに付き合い、<蛇沼伝説>のある祠で恐ろしい体験をしたり。

たなか亜希夫「リバーエンド・カフェ」
[たなか亜希夫 著 双葉社「リバーエンド・カフェ」2巻より引用]

そのほか人情話も絡め、サキとマスターを中心に、情感豊かなドラマが展開されていきます。

このエピソードの数々がおもしろい。たなか亜希夫さん描く、抜群にレベルの高いビジュアルと絡み合い、「リバーエンド・カフェ」の世界観を作り上げています。

特に1巻ラストから2巻序盤で描かれる、<蛇沼伝説>を題材にした物語。美しくも恐ろしいその迫力に圧倒。

やや気になる部分も

そんな「リバーエンド・カフェ」。前述のように見どころも多々あるのですが、同時にやや気になる部分も。

一つは物語のテンポ。ちょっとスローペースであること。そしてどのエピソードも、盛り上がりそうでもう一つ盛り上がりきらない。

また震災後の石巻が舞台であること、サキがいじめを受けていることなどがベースにあるのですが、「リバーエンド・カフェ」全体として、どこを目指しているのかがピンとこない。

マスターもただ素性がわからない、というだけで、キャラクター的に掘り下げ不足な感も。

これらはおいおい描かれるのかもしれませんが、2巻まで同時発売しておいて肩透かしな感じがあるのは、少し残念。3巻に期待の持てる「つかみ」を展開して欲しかったところです。

まとめ

以上、たなか亜希夫さんの「リバーエンド・カフェ」1・2巻のレビューでした。

ビジュアルには圧倒的な迫力があり、登場するキャラクターも魅力的。またサキの境遇と彼女が今後あゆむ道も、気になります。

ただエピソードのつながりが弱く、雑多に感じるのが、実に惜しい。個々の話は魅力的なので、1・2巻で受けた物足りなさを、今後の展開で盛り上げていって欲しいところ。

3巻の告知では「徐々に明かされる真実―」とアオリがありますが、さて、読者をグッと引き込むドラマになるや否や?

リバーエンド・カフェ : 1 (アクションコミックス)著者:たなか亜希夫出版社:双葉社発行日:2018-09-28
リバーエンド・カフェ : 2 (アクションコミックス)著者:たなか亜希夫出版社:双葉社発行日:2018-09-28

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