「サトコとナダ」1巻―ムスリム女性との同居から見える日本人

ムスリム女性の胸の内と、日本人の心の奥底―。

Twitter配信4コマ漫画「ツイ4」発の「サトコとナダ」第1巻を読みました。

異なる文化背景を持つ二人の女性がアメリカで同居する様子を、コミカルに描いた漫画です。

エキゾチックな雰囲気を持つカバー絵。円の中央は対照的な装いの主人公たち。

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概要

日本人・サトコとサウジアラビアのムスリム(イスラム教徒)・ナダ。

漫画「サトコとナダ」は、アメリカで同居しながら大学生活を送る二人の女性を、4コマ形式で描く漫画。

実話ではなく、エッセイ風のフィクションです。

作者は本作がデビューとなるユペチカさん。イスラム教徒のジャーナリスト・西森マリーさんが監修をされています。

なお本記事作成現在、1巻に収録内容の多くがWEBで読めます(!)。画像多めなのでスマホの方は注意。「ツイ4アプリ」もあるそうです。

ふたりの出会い -『サトコとナダ』ユペチカ | ツイ4 | 最前線
はじめてのアメリカ、はじめての共同生活。ふたりでなら、何だって楽しい。 この作品はエッセイではなく、フィクションです。

単行本には上記に加え、描き下ろしのカットや同居の前日譚が収録されています。

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「サトコとナダ」1巻レビュー

異文化の同居を描く4コマ漫画

イラストチックな絵柄で読みやすく、また4コマ形式ということもあって楽しく読みおわりました。

アジア圏とイスラム圏の女性がアメリカで同居を送る、というのは自分にとって何とも遠いもので、想像のつかない世界です。

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以前に市川ラクさんの漫画「白い街の夜たち」を読み、トルコ文化の描写がとても興味深かったのですが、「サトコとナダ」はムスリム女性によりスポットを当てた内容。

イスラムの文化や習慣については、例えば「一日5回の礼拝」「ラマダンの断食」「豚肉を食べない」などは一般的な知識として知っている方も多いでしょう。

男性の特徴で言えば立派なヒゲを生やしているとか。

しかし女性については「肌を隠す」という外見的な特徴は知られていますが、その中の素顔や生活様式というのはあまり馴染みがありません。

本作ではサトコとナダの生活を通して、そんなムスリム女性の生活や考えの一端を楽しく知ることができます。

所変われば感じ方も変わる

興味深かったのは服装に関するくだり。ナダは全身を覆い隠す「ニカブ」やかぶりもの「ヒジャブ」をまとっています。

これって日本人からしたら「うっとうしくないのかな?」と思ったり、人によっては「かわいそう」と考えるかもしれません。

なんとなく女性の自由度の低さを感じてしまうのですが、作中でナダは「(ニカブは)盾のようなもの」と言います。

キレイなものがもてはやされる世界。しかしニカブを着ていれば少なくとも女性として対応を変えられることはない。

もちろんこれは一つの意見であってムスリム女性代表の意見ではありません。

ですが、なるほど、そういう見方・考え方もあるのだ、とハッとさせられるナダの言葉でした。

異文化を通して省みる「日本」

またサトコが服が「かわいすぎて」買うのをためらう話も印象的。

日本人だったら「自分なんかに似合うかな」と考えがちですが、ナダは「自分は自分のために好きな服を着る」と言い切ります。

重ねて「服装が自由なサトコの方が服に不自由なのね」と不思議そうな顔をします。

不自由な方が「自由」で、自由な方が「不自由」なんて!これもまた、日本の中では知り得ない感覚です。

そんなサトコとナダのやり取りを読んでいると、「異文化を知る」というよりも、「異文化から見た日本」の姿が見えてきます。

日本にとっては遠い中東の文化圏ですが、向こうにとっても日本はただの「極東の島国」。

異文化に触れることで翻って自分自身の顔を見る。「サトコとナダ」はそんな不思議な感覚を抱かせてくれる漫画でした。

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まとめ

というわけで二人の女性の異文化交流を4コマで描いた漫画「サトコとナダ」。固い頭を少しやわらかくしてくれた、おもしろい作品でした。

未読の方はぜひ単行本でその世界を楽しんでください。

漫画データ
タイトル:サトコとナダ(1) (星海社コミックス)著者:ユペチカ出版社:講談社発行日:2017-07-08