タイムスリップ・タイムループ・タイムリープ・未来予知ほか、設定やストーリーに時間・時空系の要素や過去・未来操作など、「時間」が大きく関わるSF漫画のまとめです。
サマータイムレンダ
田中靖規さんの「サマータイムレンダ」。義妹の葬儀のため、故郷の離島に戻った少年。人間を乗っ取る謎の「影」から、もう一人の義妹を守るために奔走する、というSFサスペンス。
本作のユニークなポイントは、主人公が死ぬたびに帰島した日に戻って一日を繰り返す「タイムループ」要素があること。先の読めない深みを生み出しています。
SF・オカルト・ホラー・サスペンス・ミステリーと、贅沢な要素を詰め込んだ「ひと夏の離島サスペンス」。女の子も可愛く絵のクオリティも高いので安心して読めます。
ブルー・ワールド
星野之宣さんの「ブルー・ワールド」。アフタヌーンコミックス版全4巻、新装版全3巻で完結済み。
世界に突如現れた、古代の恐竜世界に繋がる穴「ブルー・ホール」。調査のため過去世界を訪れた英・米合同軍だが、ブルー・ホールの消滅しにより過去に取り残される。絶望的な状況の中、現代世界への帰還を目指し、彼らは数千キロ離れた別のブルー・ホールを目指すが―というタイムスリップ・サバイバル。
人間VS巨大恐竜という、一度は見てみたい夢のバトルを描くSF世界は、まさにリアル「のび◯の恐竜」。迫力ある戦いと、緊迫のサバイバルが描かれます。絶望的とも思える帰還への道のりに、全編ドキドキが止まらないSF漫画。
ブルーホール
「ブルー・ワールド」と同じく、ブルーホールが登場する星野之宣さんのSF漫画「ブルーホール」。全2巻完結済み(新装版)。
6500万年前の白亜紀につながるタイムトンネル「ブルーホール」。過去世界にたどり着いた人々の冒険とそれぞれの思惑から、やがて人類の命運を握る「計画」が描かれます。
地球汚染を救うために、過去世界を利用した「ブルー・ホール計画」を進める科学者たち。そしてブルーホールを通じて、巨大隕石による「ジャイアント・インパクト」の危機を迎える人々が取った行動は―。
「ブルー・ワールド」と特に関連はないのですが、また違った切り口で楽しめる「ブルーホール」の物語。褐色のヒロイン・ガイアの活躍も見どころ。
スピリットサークル
水上悟志さんの「スピリットサークル」全6巻。中学生男子と、額に傷のある転校生少女。二人が「過去生」で過去の因縁をたどりながらやがて最終決戦を迎える、という転生もの。
古代エジプト風・江戸時代・別次元の世界など、多彩なシチュエーションで描かれる過去生。そしてその緻密な積み上げが、最終局面で収束・結実していく感。伏線も含めて水上悟志作品らしい緻密さがあり、良い読み応え。全6巻という長すぎない巻数でまとまった、バランスのよいSF漫画です。
五佰年BOX
宮尾行巳さんの「五佰年BOX(いほとせボックス)」。全4巻で完結。
過去世界に繋がる不思議な箱を手に入れた主人公。箱の中の世界に不用意に干渉したことで、幼馴染女性の存在を消してしまう。果たして彼は元の世界を取り戻すことができるのか、というバタフライ・エフェクト系SF。
主人公が協力者を得て試行錯誤を繰り返す現代世界と、農民の少女を中心に描く箱の中の過去世界。二つの世界が並行して進むつくりが面白い。
2巻で意外な広がりを見せ、物語は予想のつかない展開へ。歴史好きという作者が描く、五百年前の時代描写にも注目。最後はちょっと駆け足でしたが、独特のおもしろみを持つ漫画です。
刻刻
堀尾省太さんの「刻刻(こっこく)」全8巻。
時間の停止した世界「止界」。その中を動く力を持つ一族と、その力を狙う勢力。止界という限定空間の中で両者が戦いと駆け引きを繰り広げる、時間停止+限定状況系SF。
時の止まった世界を動けたら、なんてのは多くの人が考える夢。ですが「刻刻」劇中で描かれる「止界」にはあるルールがあり、それを破ると恐ろしい展開が…というのが、緊迫感を生み出しています。
特殊な限定空間の中で駆け引きを交えながら描かれる戦い、半端ないスリル・サスペンス感があります。アニメ化もされたオカルト・ホラーSF。
涙雨とセレナーデ
河内遙さんの「涙雨とセレナーデ」。既刊4巻で以下続刊。明治40年にタイムスリップした女子高生が、自分そっくりな女性の身代わりとして、その許嫁と恋に落ちていく、というタイムスリップ・ロマンス。
元の時代に戻る方法を模索するうちに、急接近していく二人。時間を超えた恋愛模様がしっとり描かれるのですが、3巻で意外なSF展開を見せ、俄然おもしろくなってきました。少女漫画ではありますが、男性が読んでも充分面白いと思います。
時間の歩き方
榎本ナリコさんの「時間の歩き方」全4巻完結。
扉を開くと、いろんな時代にタイムスリップしてしまう女子中学生。彼女が偶然の事故から、25世紀より来たタイムトラベラーの青年と時間旅行を繰り広げる、というタイムトラベルもの。
赤裸々な性を描く榎本ナリコさんの代表作「センチメントの季節」とは一転、エロが一切ないさわやかな時間ものドタバタSF。
主人公・杉田果子(過ぎた過去w)と、未来からきた遇太(ぐうた)の掛け合いと、複雑な時間移動を絡めたドラマが面白い。榎本ナリコさんの新しい一面を見せてもらった漫画でした。
天国の魚(パラダイス・フィッシュ)
高山和雅さんの「天国の魚」全1巻完結。
地球に衝突する巨大彗星。その影響による大津波から逃れるためシェルターへ非難した、5人の家族。衝撃から目覚めた時に、家族は過去の世界に別人として存在していることに気付く。
…というSF漫画。数奇な運命に翻弄される家族の流転を淡々と描き、そしてやがて明らかになる「世界」の秘密。読み進めると徐々に気付く世界の違和感と、見えてくる真実。これぞ正統派のSF!という喜びを感じる作品です。
炎トリッパー(高橋留美子傑作短編集2)
「高橋留美子傑作短編集(2)」に収録の短編「炎(ファイヤー)トリッパー」。
ガスタンクの爆発により、戦国時代にタイムスリップした女子高生。一緒に爆発に巻き込まれた男児を探すが…というタイムスリップSF。
過去と現在を上手に利用した仕掛けが、とても完成度の高い一作。短編ながら非常に読み応えがあります。高橋留美子作品らしいガール・ミーツ・ボーイとほんのり感じる切なさが相まって、心に残るSF漫画。
おとうふ次元
森繁拓真さん+カミムラ晋作さんの「おとうふ次元」全3巻。
高度に発達した未来から来たタイムトラベラーが、現代で遭難。過去への干渉を極力抑えるために「何もしない」ことを心がける。が、生活する上で避けられない他人との関わり。そしてそこには未来改変に繋がるトラブルが…、というタイムトラベルSFコメディ。
過去のささいな行動が未来に影響を及ぼす「バタフライ・エフェクト」。それを逆手に取った設定から、おかしみが生まれます。食べるものや会話の受け答え一つで未来が変わる!ということに一人で狼狽する主人公がおもしろすぎる。
しかし読んでいると、「自分たちの普段の生活って、これちょっとおかしいよね?」なんて気づくこともあったり。意外な深さを感じるSF漫画です。
かことみらい
今日マチ子さんの全1巻完結漫画「かことみらい」。
新築マンションに住む学生・カコ。冷蔵庫の中からあらわれたのは、50年後から来た青年・ミライ。タイムスリップがグレープフルーツによって起こることを突き止めた二人は、水が貴重品となった未来で一儲けを企むが?
現代女子と未来男子のさわやかな交流、そして世界の不思議が、今日マチ子さんのやわらかな線によってふんわりと描かれます。ファンタジックなタイムスリップSF。
はるかリフレイン
伊藤伸平さんの全1巻完結SF漫画「はるかリフレイン」。もともとは進研ゼミ「高一Challenge」に連載され、単行本化。その後、復刊されたという異色の作品。
恋人になったばかりの男子を、不慮の自動車事故で失ってしまった女子高生・はるか。彼女が不思議なネコに出会い、運命の輪から恋人を救うために時をかける、というタイムループSF。高校生向けらしいさわやかさが心地よいSF漫画です。
まとめ
以上、タイムスリップ・タイムループなどが題材の時間系SF漫画まとめ、でした。時間もののSF漫画を読み次第、随時追記します。ちなみに「ドラえもん」は殿堂入りです。
コメント