漫画家・高橋留美子さんのコミックスが全世界発行部数2億冊を突破したそうです。

全世界で2億冊…。もうスケールがすごすぎて良くわかりません(笑)。
高橋留美子さんのデビューは1978年の「勝手なやつら」。
以後「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」「犬夜叉」と長期連載作品を執筆。
現在も「境界のRINNE」を少年サンデーで連載中です。
これ書いてるのが2017年だから…かれこれ40年近く、一線級で活躍されている!
これまたスゴイとしか言いようがない。
私が高橋留美子作品に触れたのは、アニメは「うる星やつら」、のち「めぞん一刻」。漫画としては「らんま1/2」、だったと記憶しています。
そして初めてコミックスを買ったのは「1ポンドの福音」。
のち、文庫化版の「めぞん一刻」を買い揃えました。
どちらかと言えば青年誌向けの作品が好みです。
そして今回2億冊突破を記念して、これまで電子書籍化されていなかった「犬夜叉」「1ポンドの福音」「人魚シリーズ」「1orW」「高橋留美子傑作短編集」がデジタル化。
今回は以前から読みたかった2作、「炎トリッパー」「笑う標的」などを収録した「高橋留美子傑作短編集(2)」と「人魚シリーズ」を読みました。
本記事では「高橋留美子傑作短編集(2)」をご紹介(前置き長い)。
「高橋留美子傑作短編集」2巻・収録作品
「高橋留美子傑作短編集」2巻の収録作品リストです。
カッコ内は発表媒体。「サンデー」表記はすべて「週刊少年サンデー」です。
- 炎トリッパー(サンデー1983年8月増刊号)
- ザ・超女(サンデー1980年10月増刊号)
- 怪猫・明(劇画村塾1981年4月号)
- 笑え!ヘルプマン(サンデー1981年9月増刊号)
- 戦国生徒会(サンデー1982年2月増刊号)
- 闇をかけるまなざし(サンデー1982年8月増刊号)
- 笑う標的(サンデー1983年2月増刊号)
- 忘れて眠れ(サンデー1984年1月増刊号)
- われら顔面仲間(サンデー1984年創刊25周年記念増刊号)
ジャンルとしてはホラー・SF・コメディなど。
このうち「炎(ファイヤー)トリッパー」「ザ・超女(スーパーギャル)」「笑う標的」は、「るーみっくわーるど」としてオリジナルビデオアニメ化されています。
「炎トリッパー」はアニメとしても名作です。
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感想・レビュー
全編ともこれぞ高橋留美子!という感じで面白かったのですが、その中から特に面白かった短編の感想を。
炎トリッパー
表紙の一作。
ガスタンクの爆発で戦国時代にタイムスリップした女子高生。一緒に過去に飛ばされた少年を探すが…というSFもの。
短編ながら、完成度がものすごく高い作品です。
少女と少年が出会うガール・ミーツ・ボーイ、そして緊迫感のある展開、少しせつなさも含んだラスト。
高橋留美子のエッセンスが限りなく詰まっている一作。
今回原作をはじめて読みましたが、昔アニメ化された作品を見た時の感動が蘇りました。
文句なしに面白い。
ところでアニメでは主人公・涼子は島本須美さん、宿丸は水島裕さんがそれぞれ声を担当されていたのですが、漫画読んでも脳内でお二人の声が再生されていました。
お二人ともインパクトのあるお声と実力の持ち主で、その影響力のすごさを再認識。
笑う標的
こちらもアニメ化された短編。
東京の男子高校生・譲のもとに、幼少時に結婚の約束をした親戚の女子高校生・梓があらわれる。
彼女は譲のガールフレンド・里美に異常な態度を見せ、やがて事件が…というモダン・ホラー。
高橋留美子さんの長期連載はラブコメが多いと思うのですが、短編ではホラー作品も数多く書かれています。
「笑う標的」はその中でも珠玉の出来。
「魔に魅入られた旧家のお嬢様」というオーソドックスな素材ながらも、ここまで怖くできるのは流石。
梓が不良に襲われるシーンなんてベタベタなんですが、そこをあえてベタく、かつ怖く描けるところにすごさがあります。
そしてラスト、梓のなんと美しいことか。
長年読みたかった一作ですが、満足しました。
忘れて眠れ
伝奇ホラー「忘れて眠れ」。
「犬使い」伝承のある土地に越してきた少女・春花は、雪山で多数の犬を育てている少年・良平に出会う。
良平と別れたあと、怪しげな犬塚で意識を失った春花。自分ではない誰かの記憶を垣間見る。
少年と少女が、過去に因縁のあった男女と意識がリンク。その因縁のもととなった事象に立ち向かう、というこれまたオーソドックスなお話。
ですが奇をてらうことなく、シンプルに物語が作られているのでとても読みやすい。
高橋氏のどの短編を読んでも感じるのですが、構成力の巧みさを感じます。
そして「忘れて眠れ」というタイトルの秀逸さ。満足の一編。
まとめ
以上、「高橋留美子傑作短編集」2巻の感想・レビューでした。
全編を通して感じたのは、高橋留美子さんというのは徹底して「少年と少女」を描く漫画家さんだなぁ、と。
もちろん掲載誌が少年誌であるから、という理由もあるのでしょうが、この短編集を読んでそのブレなさを認識。
そしていずれも30年以上前の作品ながら、まったく古さを感じさせない!
それも「少年と少女」という普遍的なテーマを描いているから、かもしれません。
あらためて高橋留美子作品の魅力を堪能できました。
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