河野別荘地さんの漫画「渚 〜河野別荘地短編集〜(1)」。作者がWEBメディア「オモコロ」に発表した作品を中心にまとめられた短編集です。
カバー絵の人魚女性のように、ちょっと不思議系の物語多め。その中で毛色の異なる一編が、なかなかのインパクトを与えてくれます。
「渚 〜河野別荘地短編集〜(1)」感想・レビュー
概要
「渚 〜河野別荘地短編集〜(1)」では、以下の4作品を収録。
- スマートアシスタント
- 生水
- 旬
- 渚(第0話~第5話+「その後」で構成される連作)
気まぐれを起こしたスマホAIとのふたり旅(「スマートアシスタント」)。
川の中の不思議な水状の生き物と少女たちのふれあい(「生水」)。
人間の足を手に入れるためにIT系のバイトに励む人魚(「渚」)。
…など、「当たり前のように少し不思議が存在する日常」といったテイストの短編たち。爽やかで奇妙な読後感を与えてくれます。
エロティックな輝きを放つ短編『旬』
その中でも異彩を放つのが、『旬』。
書道教室の女性講師、アルバイトの男子大学生、教室に新入会した女子高生。
三人が繰り広げる密やかな愛憎劇が描かれるのですが、他の短編とは異質なねちっこい性描写(飲○あり)に、度肝を抜かれます。
ですがドロドロした人間関係の中に、男のどうしようもないクズっぷりと女性たちの強かさ(したたかさ)の対比が練り込まれていて、静かに居たたまれなさを叩きつけてくる感覚がとても良い。
一度読むと忘れられないインパクト。他の作品とは明らかにテイストが違うのですが、オリジナルは同人誌とのことで納得(※R-18注意)。
しかし作者の河野別荘地さん、エロいよなぁ。女性の目線とか、(作者が)女性に向ける視点とかに、隠しきれないエロさを感じます。『旬』の扉絵とか最高。
まとめ
以上、河野別荘地さんの短編漫画集『渚 〜河野別荘地短編集〜(1)』感想・レビューでした。
さわやか風味の短編集の中に、一つだけとんでもないエロ作品をぶっこむ構成はいかがなものかと思います(笑)。
ですがそのおかげで、この短編集が深く記憶に刻まれました。作者の作風を堪能できる一冊です。
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