サブカル系・幅広いジャンルを収録したバラエティ系の短編漫画集から、オススメの単行本をまとめてご紹介!
なお「何をもってサブカル・バラエティ系漫画なのか」については、多分に主観が入っていることをご理解ください。
おすすめ短編漫画集リスト
九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子
貧乏な老絵描きと、彼の絵から実在化した侍。二人の不思議な冒険を描く「金なし白祿(びゃくろく)」。父親のために竜を探す王子と、とある思惑からそれを手伝う謎の女性。二人の一時の交流を描く「子がかわいいと竜は鳴く」。
…など、ファンタジー・現代劇・昔話風・中華風・超能力ものコメディほかバラエティ豊かな7編を収録した短編漫画集、九井諒子さんの「竜のかわいい七つの子」。話が面白いだけではなく、全話タッチを変えて描かれているのがスゴイ。九井諒子さんの絵柄の多彩さ・物語づくりの巧みさを、存分に味わうことのできる短編集です。
ひきだしにテラリウム
もうひとつ九井諒子さんの短編集から「ひきだしにテラリウム」。数ページ~10ページ程度のショート・ショートを33編!収録したボリューミィな一冊。
一話読み終わると、また風味もタッチも異なる一話が始まり、さらに…といった感じで連綿と続くバラエティ豊かなショート・ストーリー群。九井諒子さんの発想力の豊かさを思う存分堪能できます。いやー、スゴイよ。
地上の記憶
2012年に病没された白山宣之さんの遺作短編集「地上の記憶」。現代劇・時代劇など全5編の漫画と、縁のあった漫画家仲間の追悼文などを収録。作者の白山宣之さん、とにかくめちゃくちゃ絵がうまい。女性たちのとある一日を写実的に描いた「陽子のいる風景」「ちひろ」など、ショートフィルムを見ているかのようなリアル感。驚きの漫画体験です。
武将と豪快な女性奉公人の交流を描いた「大力伝」、ある村が合戦を見物する様子を描いた「Picnic」など、時代劇作品も必見の味わい深さ。とにかく飽きの来ないすばらしい描写力で、作品から読めば読むほど味が滲み出てくるような職人魂を感じます。
シンプルノットローファー
衿沢世衣子さんの「シンプルノットローファー」。とある私立の女子校に通う女子高校生たちの日常を、オムニバス形式で描く短編漫画集。特に大きな事件は起こらないし、感動的なストーリーもない。でもふとした瞬間にパラパラとめくって、その世界に浸りたくなる。そんな不思議な魅力を持つ漫画です。
何より作者のポップでライトなタッチがいい感じの「ゆるさ」を演出し、読む者の心を捉えて離さない。「ジャンル・衿沢世衣子」とでも言うべき独特のポジションと、ファンを築いている衿沢世衣子作品。「シンプルノットローファー」は初めてその作風にふれる、という方にオススメしたい。
ベランダは難攻不落のラ・フランス
上記と同じく衿沢世衣子さんの短編集「ベランダは難攻不落のラ・フランス」。難解なタイトルは、収録作品のタイトルをつなぎ合わせたもの。KADOKAWAや秋田書店系の漫画誌から自費出版誌まで、幅広い媒体に収録された読み切り・短編を収録。
謎の天文台を舞台に少年とお姉さんの柔らかな交流を描く「リトロリフレクター」、隣の部屋の訳あり少女とベランダを通じて心を通わせる「ベランダ」など、短編ながら読み応えのある物語たち。衿沢世衣子漫画の奥深さを味わえる短編集です。
渚 ~河野別荘地短編集~(1)
WEBメディア「オモコロ」に作者が発表した作品中心の「渚 ~河野別荘地短編集~(1)」。短編3編のほか、カバーの人魚が「足」を手に入れるためにIT系のバイトに励む連作「渚」を収録。
その中でも注目の一編が「旬」。書道教室の女性講師・バイトの男子大学生・新入会した女子高生が、ねちっこい愛憎劇を繰り広げるのですが、「おいおい、どうみてもこれだけ他の漫画と毛色が違うだろw」というテイストが妙に面白い。一度読むと忘れられないインパクトがあります。
プリズムの咲く庭 海島千本短編集
海島千本(うみしませんぼん)さんの「プリズムの咲く庭 海島千本短編集」。ファンタジー・青春・SF・ホラーなど、多彩なジャンルの短編を収録したバラエティ豊かな単行本。
まず絵の上手さにビックリ。そしてどの短編も違った風味ながら、それぞれに読み応えを感じる、巧みな表現力に満足。クオリティの高い短編集です。森の音楽少女と小説家、二人の爽やかな出会いをサイレントで紡ぐ「ミルフィーユの日々」、ロボット犬が生き別れた主人に辿り着くまでの不思議な旅を描くSF「僕のソフィア」などがオススメ。
動物たち
panpanyaさんの「動物たち」。登場人物は女の子の姿をした「私」、変な被り物をした男、もう一人の少女、そして動物。これらのキャラクターが役割を変えて登場する、摩訶不思議な短編たち。
まず目につくのは、異様に描きこまれた背景。ゆるいキャラクターとのギャップに混乱必至。しかし読んでいる内に、ねじれた空間にむりやり迷い込まされたような、そんな感覚を抱く不思議な作風。といっても不条理ものというわけではなく、意外と筋の通った(?)理屈が存在しているのが侮れない。読み始めると独特な雰囲気の虜になります。
にわにはににん
スクリーントーンを幾重にもかさねて漫画を描く、という独特な描画方法を用いる中野シズカさんの「にわにはににん」。プロローグ・エピローグ含む全7編。その全てで「庭」が絡んだ物語が展開されます。
端正な描写力で紡がれる、ファンタジックで深みのあるストーリーが面白い。読みながらその世界に取り込まれてしまうような、不思議な力を持っています。モノクロだけど、読むと不思議といろいろな「庭の色」が浮かび上がってくるような。
甘木唯子のツノと愛
久野遥子さんの「甘木唯子のツノと愛」。家を出た母を憎む中学生・宏喜が、妹・唯子の額に生えているツノで復讐を目論む表題作ほか、全4編を収録。
明確なオチをつける作風ではないので、そのストーリーにはやや難解な部分もあり。ですが特筆はその描写力。作品ごとに異なる絵柄、独特の多彩な構図など、アニメーション作家でもある作者の漫画の描き方は一見の価値有り。アーティスティックな魅力を感じる短編漫画集です。
ききみみ図鑑
宮田紘次さんの「ききみみ図鑑」。音楽がイメージとなって見える男子と軽音楽部の先輩女子の交流を描く「視える音」、楽器をエキゾチックな美女になぞらえて描く「奪われた歌」など、青春もの・SF・時代劇ほか様々なシチュエーションを「音楽」を絡めて描く全8編。
宮田紘次さんらしい、ファンタジックなイメージの世界が楽しい短編集。宮田さんのキャラクターはその笑顔が何より素敵。読み手も思わず笑顔になってしまいます。
彼女は宇宙一
イラストレーターでもある谷口菜津子さんの初ストーリー漫画集「彼女は宇宙一」。巨大ヒーローになる女の子をコミカルに描く「カロリーファイターあいちゃん!」や、思春期の女の子たちの複雑な感情をお弁当事情に絡めて描く「ランチの憂鬱」など、独特のおもしろさを持つ6つの短編を収録。
谷口菜津子さんの描く線は、一見ごちゃごちゃしているように見えて実はとても読みやすい、という不思議な感覚。どの漫画にも似ていない独特のポップさと、ユニークでちょっと笑えるストーリー。短編の楽しさを感じることのできる作品集です。
バイナリ畑でつかまえて
山田胡瓜さんの「バイナリ畑でつかまえて」。ITmediaの記者だった著者が、IT関連のあるあるネタを漫画化したショート・ショート。基本2~3Pの掌編と、読み切り中編「バイナリ畑でつかまえて」の、計全22編を収録。
ゆるやかさが漂う空気の中で展開される、笑える話・しんみりする話など多彩な内容を持つ各話。サラリと読みやすい短編集です。エ口画像zipのアップロード話は、男性にはわかりみしかない。
幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい
黒谷知也さんの「幸福はアイスクリームみたいに溶けやすい」。数ページのものから20Pぐらいのものまで、各話いずれも現代の日常風景を描いた全12話。
漫画を読みながらなぜか文学感を感じるのが特徴的。読書感想文を通して交流する国語教師と女生徒を描く、「谷後先生(やごせんせい)」が良い雰囲気。黒谷知也さんの別単行本「書店員 波山個間子」の前身も掲載されています。
うと そうそう
森泉岳土さんの「うと そうそう」。水と墨・楊枝と割り箸を使った、独特の画法で漫画を描く森泉岳土さん。本作では全15話を8Bの鉛筆を用いて描いています。
鉛筆の柔らかい線と、線と線の間にあらわれる空間が、独創的なストーリーを紡ぎ出し、読み手をその世界に誘う。漫画でありながらどこか詩的な雰囲気も漂わせる、不思議な没入感のある短編集。大人の漫画読みにオススメ。
ケーキを買いに
河内遙さんの「ケーキを買いに」。今でこそ恋愛要素の強い漫画作品を多数排出している作者ですが、初期に刊行されたこの短編集ではなかなかどぎつい下ネタがw。
が、それも知って読むと面白い(笑)。最近の漫画と読み比べると味わい深いものがあります。作者の代表作のひとつ、「関根くんの恋」の関根くんも登場。
まとめ
以上、「サブカル・バラエティ系のおすすめ短編漫画集まとめ」でした。新しい短編漫画を発見したら随時追記します!その他のジャンルの短編漫画集については、下記よりチェックどうぞ!
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