短編マンガが好きなんだ!人間ドラマ中心のおすすめ短編漫画集まとめ

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短編漫画好きにおすすめしたい、読んで満足、味わい深い、人間ドラマ中心の短編漫画集まとめです。

短編漫画集の性質上、各単行本には人間ドラマ以外の短編漫画が含まれている場合があります。

漫画リスト

HUMANITAS ヒューマニタス

山本亜季さんの「HUMANITAS ヒューマニタス」。

15世紀の中央アメリカを舞台に、生き残りを賭けた闘いに臨む双子の戦士。その過酷な生き様を描く「オセロット」。

20世紀の米ソ冷戦時代。無実の罪で投獄された男が獄中でチェスの腕を磨き、やがて国家を背負う代表となる「ユーリ・シルバーマン」。

遭難した船の乗組員が、極寒の地で捕鯨を生業とする原住民少女に出会い、大自然の過酷さと生命の息吹にふれる「エナ」。

時代も舞台も異なる熱き「戦士」たちの戦いを描く、3つの物語を収録。

いずれの戦士も、その立場・目的・行動は違えども、戦いの最中に読者に真っ直ぐな眼差しを投げかけてくる、圧巻の迫力。

ストーリー・画力ともに震えるようなパワーを持つ短編集です。

グッド・バイ・プロミネンス

ひの宙子(ひろこ)さんの「グッド・バイ・プロミネンス」。

先生にひたすら「好きです」と愛の告白をする女子高生と、その友人の風変わりな友情を描く「君、喜び多く、幸深からんことを。」ほか、家族や友情など様々な人間関係を描く連作短編集。ソフトなGL・BLも取り混ぜた全8編収録。

物語に沿って各話の登場人物たちの関係性を把握していくうちに、その距離感がグッと縮まる終盤。

それにより「人と人とのつながり」を否が応でも意識してしまうような、独特の読後感が魅力。

短編形式ゆえ決して長くないストーリーの中に、心にのこる人物・物語が詰まっていて、繰り返し読まずにはいられないおもしろさ。

ひの宙子さんは本作が初単行本とのことですが、デビュー作とは思えないクオリティです。激烈にオススメ。

名づけそむ

志村志保子さんの「名づけそむ」。

18年前に夫と幼い娘を捨て、男の下に走った女性。その後ひとり暮らしをする中、思いがけず別れた娘と再会。「結婚式に出て欲しい」と請われるが…。(第一話)

ほか、元夫の浮気相手と同じ名前を持つ、息子の婚約者と向き合う母の話など、人の名前を絡めたストーリー全10編を収録。

第一話、罪深い自身の立場を顧みず浮かれるも、冷静になった母が取った、娘の名前をキーにした行動が、人生の無情を感じさせるような。

ハッピーエンドばかりじゃないけれど、人生のワンシーンをしっとりと描くドラマが心に残る、大人の短編集

透明人間の恋

「町田くんの世界」が大ヒットした、安藤ゆきさんの短編集「透明人間の恋」。

表題作「透明人間の恋」が秀逸。クラスのモテ男に手痛くフラれた、地味で存在感の薄い女子高生。ポーカーフェイスな彼女がしかし徐々に変化を遂げて、そして意外な結末へ―という一編。

単なる変身モノではなく、読み手の感情を刺激する内容。(いい意味で)斜め上なラストは「そう来たか!」と不思議な満足感。

読者の期待する展開の軸をちょっとズラす、その加減が絶妙。安藤ゆきさんの短編集としてはほかにも「昏倒少女」などオススメ。

彼女のカーブ

ウラモトユウコさんの「彼女のカーブ」。

ネイリスト試験直前、実技試験のモデルがインフルエンザとなってしまった女性。その代役を不本意ながらも、苦手な義姉にお願いすることになるが…「兄嫁のつめ」。

エレベーターガールのうなじにある魅力的なホクロに、押してはいけないという誘惑に負けて手を伸ばしてしまった男の顛末…「エレガのほくろ」。

など、笑える話・ほっこりいい話が満載の全10編。

日常の何気ないシーンをユーモアに転換する、ウラモトユウコさんのセンス。イラストチックな絵柄と相まって、何だかほっこり。サラリと読めて、クスリと笑って、良い読後感が残ります。

HER

ヤマシタトモコさんの「HER」。女性たちの本音を、淡々と、しかし鋭くえぐり出す全6編。各話の登場人物が少しずつ連動する、連作短編形式。

各主人公が訥々とモノローグで語る、人生に対する疑問や恐れ・哀しみ・そして怒り。自分は「女性って深いこと考えてるな…!」とカルチャーショックを受けました。

でも話の最後を、プッと吹き出すような笑いで締める形式に、ヤマシタトモコ漫画らしいユーモアと照れを感じたり。女性漫画だけど、男性が読んでも面白いはず。

珈琲時間

豊田徹也さんの「珈琲時間」。基本、現代劇(一部例外あり)な全17話の物語のそれぞれに、コーヒーが小道具として登場する短編集

シリアスなドラマ、笑える話、そして人生の不思議さ、悲哀を感じさせる話。そのどれもに、コーヒーの苦味がスパイスと生きています(今うまいこと言った)。

女性チェリストと怪しいイタリア人の交流を、軽快に描く連作が面白い。豊田徹也作品おなじみの探偵さんも登場します。深みのあるストーリーと、それを引き立てる激ウマなビジュアルにも注目。

はてなデパート

谷和野さんの「はてなデパート」。とあるデパートを舞台に、人々に起こる不思議な出来事を描いた連作短編集。

ファンタジックな作風にホクホクしながら和んでいると、中盤以降で明かされるデパートの秘密に、涙腺崩壊。

読後にそれぞれの話がつながりを持ち、心の中で一つの物語が完成するような。素晴らしい漫画です。

谷数野さんは不思議な感性を持つ漫画を排出されていますが、その世界への導入として最適な一冊。

ワンナイト・モーニング

奥山ケニチさんの「ワンナイト・モーニング」。

元同級生、セフレ、出会い系で知り合った男女、幼馴染など、様々なシチュエーションが過ごすワンナイトと、その後に食べる朝食を描くラブストーリー

どの短編もシンプルでストレートな構成なんだけど、読み終わる頃には物語にグッと引き込まれ、知らず知らずのうちにニヤついてしまう、そんな読後感。キャラクターの感情表現がウマイ。

性欲を満たしたあとに蕎麦を食べて帰る、という習慣を持つセフレが、一方の帰郷によりその関係を終えることに。が、最後の一夜のあと、蕎麦を食べ忘れたことからドラマが起こる話「天ぷらそば」が好き。

ワンナイトの経験がある人にも、そうでない人にもオススメ。

【追記】
「ワンナイト・モーニング」は好評につき、連載再開が決定したそうです。めでたい。

小僧の寿し

勝田文さんの「小僧の寿し」。食べ物に絡んだ4つの短編と、ディケンズ原作の「クリスマスキャロル」のコミカライズを収録。

勝田文さんらしいライトなノリで、サラッとページをめくって、読後にはスッと心が軽くなるような楽しい短編集。

人生落ち目の女性が、高校時代の先輩と成り行きでスイカ売りに出かける「すいかドライブ」。鴨料理に絡めて、アラサー女性とアラフィフ男性の素敵な出会い、そして恋を描く「ととせの鍋」などが、特に読んで欲しい短編。

ユーモアと、しっとりほんわかな空気が絡み合った、大人の短編集。男性にももっと勝田文さんを知って欲しいなぁ。

ララバイ・フォー・ガール

松崎夏未さんの「ララバイ・フォー・ガール」。

周囲を見下しがちな優等生が自由なギャルとの交流を通して、自分の価値観を変化させていく表題作など、4編を収録。

多感な時期にあるJKたちの友情・葛藤・心の揺れ動きなどが描かれます(男性が主役の話もあり)。

フィール・ヤング誌の系譜ということで、まず目を引く絵の美麗さ。そして女性たちの内面の吐露が、おどろおどろしくも不思議な心地よさを伝えてきます。

いい話もそうじゃない話も、ストレートに伝わってくる感情が心に残る。みな一見「ふつう」なのに、個性的に感じる登場人物たちの描き方も良し。

ところで第三話「お寺の道子ちゃん」のヒロイン・道子ちゃん。全登場人物の中で顔の造形が一番地味なんだけど、個人的に一番好み(関係無い話してサーセン)。

奈知未佐子短編集 ~思い出小箱の15粒~

奈知未佐子さんの「奈知未佐子短編集 ~思い出小箱の15粒~」。和洋取り混ぜた童話・昔話テイストの創作漫画を、15編収録。

疫病に見舞われた家族を助けるために、老女が不思議な冒険をする「ヨランダ・ボーの薬草」が、特に心に残る一作。

ほか、思わず童心にかえってしまうような、ほっこりするお話が満載。大人だけでなく、子どもにも自信をもって勧められる短編集です。

東京膜

渡辺ペコさんの「東京膜」。「東京砂漠」じゃなくて「東京膜」。住まいを絡めた表題3部作他、全6編を収録

姉弟が登山をしながら、家の階段を山登りになぞらえた幼少時の思い出を語り合う、「東京膜#3 かぶと山トレッキング」が良い読後感。

あとがきで作者自身が書かれているように、やや地味な漫画なんですが、不思議と心に残るものがあります。

真夏のデルタ

歯並びの悪さを気にする女子。その歯を触らせて欲しい、と願う美術系男子。イケメン・スポーツ万能な女子の彼氏。

そんな高校生三人の胸の内を連作で描く、綿貫芳子さんの「真夏のデルタ」。

若々しく、生き生きと青春を謳歌している彼らの、しかし内面に抱えた昏さ。それらがぶつかりあった時にしかしかえって発露する瑞々しさが、心に残る。

連作ということで主体が変わるたびに視点が変わるのだけれど、そこで見えるものも三者三様で面白い

ところで作者の綿貫芳子さん、めっちゃ絵がウマイ。プロにウマイというのもどうかと思うけど、人を惹き付けるビジュアルを描かれる方だと思います。

「顔はカワイイが歯並びが悪いヒロイン」の描写、雰囲気を醸し出す陰影の付け方、手抜きのない背景描写など、漫画のそこかしこに見どころアリ。

さらば、やさしいゆうづる

有永イネさんの「さらば、やさしいゆうづる」。人間ドラマやオカルト・コメディなど、バラエティに富んだ全4編を収録。

家庭環境により常識が欠如した女子大生と、お隣のロ◯コン青年の交流を描く表題作「さらば、やさしいゆうづる」。

顔の痣がコンプレックスの少女が、双子の弟とのやり取りを通して成長する「なき顔の君へ」。

など、人間の心情をじっくり丁寧に描く短編集。有永イネさんの流麗な線が印象的。

このたびは

えすとえむさんの「このたびは」。

超めんくいな女性が、顔面偏差値トリプルAの男性をお見合い写真で見つけ、そして結婚に至るまでの顛末を描いた「ふつつかものですが」など、冠婚葬祭にまつわる6編を収録した短編集

えすとえむさんらしい美麗な線と、人の心の機微を描くストーリー。落ち着いて読める大人の短編集です。

山へ行く

萩尾望都さんの「山へ行く」。小説家・生方と、その周辺に起こる出来事を描く連作短編を含む、全12編。

ちょっとした不思議を交えながら、人の心をせつせつと浮き彫りにするその手法はさすがの萩尾望都先生。

音楽一族の中でただ一人疎外感を抱く男の、黒い妄執と悲しみを描いた「くろいひつじ」は、インパクトのある短編。

名前をつけて保存しますか?

雁須磨子さんの「名前をつけて保存しますか?」。両親の離婚で揺れる姉。その心を、結婚や妹との微妙な関係を絡めて描く表題作ほか、全5編を収録。

作中で描かれるのは、形は違えどいずれも「家族」の在りよう。読み手の環境とはまったく異なっても、なぜか登場人物たちに感情移入してしまう。

これは作者・雁須磨子さんの巧みな会話の描き方に、その源があるような感じ。うまいなぁ。不思議な満足感を感じる短編集です。

辺境で 伊図透作品集

伊図透さんの「辺境で」。初期作品や同人誌発表作品など、全6編を収録した短編集。

過酷な辺境の地で、鉄道敷設に従事する訳あり労働者たち。その心の矜持を描く表題作「辺境で」。

底辺に生きる男たちの、ささやかなプライド、そして譲れない心。荒涼とした景色の中に、静かにふつふつとたぎるような情熱が伝わります

その他、微妙な年頃の少年少女たちや、内面の葛藤を鉄による課題制作に打ちつける女学生など、伊図透漫画の源泉とも言える作品集。

伊図透さんの漫画が気になっている、という方にまず手にとって欲しい短編集です。

ミッドナイトブルー

全編が青味がかったインクで描かれる、須藤佑実さんの「ミッドナイトブルー」。

交通事故で死んだ同級生の少女。幽霊となった彼女と、かつて彼女を想っていた男性との、2年に一度の交流を描く表題作「ミッドナイトブルー」。

夜中にひっそりと読みたい、せつなさの募る短編。ほか、男女の機微をしっとりと描く全7編です。

これでおわりです。

小坂俊史さんの「これでおわりです。」。地酒の最後の一杯、離島の小学校の最後の卒業生、実業団駅伝の最後の走者、などなど。いろいろな「おわり」を各話8Pで描く全16編。

人生の様々なシーンで訪れる「最後」には、意外なドラマがある、のかもしれない。そんないろいろな最後が、小坂俊史さんらしいユーモアにくるまれて描かれます。

最終話「最後の回」は、本作を締めくくるにふさわしい一話。心に残ります。

回游の森

灰原薬さんの「回游の森」。

幼き従妹に秘密を知られた過去を持つ男。真夜中に穴を掘る女。爬虫類を愛でるエリート会社員…。心の中に闇ならぬ「森」を持つ、様々な年代の男女を描いた連作短編全7編。

ホラーではないのだけれど暗めの作画と相まって、読み進めると手に汗をかいていることに気づく。そんな独特の凄みを持つ漫画。

読むと少しずつ、暗い森の中に引きずり込まれるような、重苦しさを感じます。

こうふく画報

長田佳奈さんの「こうふく画報」。大正時代の日本を舞台に、当時の日本の食べ物を絡めて、市井の人々の日常を温かく描き出す全12編。

美麗な作画で描かれる物語にほっこり。読み終える頃にはちょっとお腹がすいてくる、優しい漫画。こういう作品をじっくり、ゆっくり読むのも悪くない。

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