他の人が知らない、一味ちがう漫画を読んでみたい!そんなあなたに送る、オススメのサブカル漫画まとめです。
サブカル(サブカルチャー)の定義はあいまいな部分もありますが、比較的マイナーかつ面白い作品、という視点から漫画を選んでみました。
サブカル漫画まとめ
惑星をつぐ者
戸田尚伸さんの『惑星(ほし)をつぐ者』全1巻。
1990年代に週刊少年ジャンプで連載されるも、単行本1巻分で打ち切り。が、後年「実は面白いんじゃ?」と再評価された漫画。
単行本もプレミアが付いたようですが、現在は電子版で手軽に読めます。
滅亡しつつある人類が、異星人の労働力となっている世界。
とある実験で超人的な能力を身に着けた主人公が、復讐のために同じく超人となった男を追う、というハードなSFストーリー。
絵は荒さを感じますが、魅力的なキャラクターと骨太な物語が想像以上に読ませます。
神の獣
巴啓祐さんの『神の獣』全1巻。
海底地震で現れた謎の神殿と眠れる少女。そして同時に活動を始めた超巨大怪獣・オーガが、日本に上陸。
「地球そのもの」のような身体構造を持つ怪獣に人々は為す術もなく、日本列島は壊滅の危機に…というオリジナルSF漫画。
『ゴジラ』を彷彿とさせる、まさに「漫画で読む怪獣映画」。オーガに対する科学的分析がややご都合主義的ではありますが、まあそれも含めてそれらしい。ラストの意外性が面白いサブカル作品です。
マイナス 完全版
山崎紗也夏さんの『マイナス 完全版』全5巻。
幼少時のトラウマから「人に嫌われたくない」という強迫観念を持つ新任美人教師・恩田さゆり。
そのマイナス思考から校内に混乱を巻き起こしていく彼女を、時にコミカル、時にシリアスに描くサイコ・スリラー。
美しい外見を持ちながら、性的・暴力的な手段で人間関係を築こうとする恩田のキャラクターが強烈。
しかし彼女の起こす破天荒な行動に感じる、痛々しいドキドキがなんともクセになる。
完全版は「とある事情で初期単行本に未収録のエピソード」を収録。一般誌の限界ギリギリをせめる過剰な表現に注目。
いえめぐり
ネルノダイスキさんの『いえめぐり』全1巻。
賃貸物件を探す主人公(白いネコ型人間)と、彼を案内する不動産屋(黒いネコ型人間)。二人が奇妙な家を巡る様を描く全8軒。
一見ごく普通だが、中に入ると異様に広い間取りの家々。奥に進むほどに奇っ怪なオブジェや装飾がこれでもか!と迫ってくる。
そんな狂気に満ち溢れた風景と、その中を普通に会話しながら歩く二人の、奇妙でクレイジーなコントラストが脳裏に焼き付く。
風変わりな漫画体験をさせてくれるサブカル漫画です。
アントロポセンの犬泥棒
川勝徳重さんの『アントロポセンの犬泥棒』。
漫画関連の編集者・研究者でもある著者は1992年の生まれながら、描く漫画は非常に昭和感あふれる不思議なテイスト。
独特な表現はベタな感想だが「懐かしくも新しい」。
内容は私小説風な短編から幻想・怪奇系なものまで様々。
豚の解体動画から妄想をふくらませる女性描く『野豚物語』、「カタツムリに寄生されている」という強迫観念抱く弟を姉目線で描く『ロイコクロリディウムの恐怖』は、なかなかのインパクト。不思議な後味が残ります。
花園メリーゴーランド
柏木ハルコさんの『花園メリーゴーランド』。
成り行きから山奥の民宿に泊まることになった少年は、同年代の少女と心を通わせるように。
その一方、性に対して開放的、独特な価値観を持つ女性たちに囲まれ、異質な性体験をする―というエロティック・ドラマ。
彼が母性あふれる年上女性たちと性交渉を重ねていく様が、とても!濃厚・煽情的。エロ漫画とはひと味異なるドラマ性の高い濡れ場は、一見の価値あり(※一般誌連載作品です)。
しかし後半では一変、集落を無事に脱出できるか否やという緊迫の展開に。濃密なラブシーンと手に汗握るサスペンスが味わえる全5巻です。
動物たち
panpanya(パンパンヤ)さんの『動物たち』。
主人公の女の子「わたし」が体験する日常の延長線上にある不思議空間の冒険に、奇妙なトリップ感のあるオムニバス・ストーリー集。
気の抜けたキャラクターと、それに反比例するかのような異様にリアルな背景。それらがゆるやかで不思議なストーリーと相まって、妙な空気を形成。
一度読むと、その作風の虜になること必至。随所に挟まれる作者のコラムも魅力の一つです。
善良なる異端の街
松本次郎さんの短編集『善良なる異端の街』。
作者の緻密にして美麗な作画から生み出される、シュールな世界観がたっぷり堪能できる全7話。
ドロドロしてるんだけど、独特のセンスとユーモアで意外な読みやすさ(多分)。
修道院に通う少女が、謎の「手紙」をきっかけに「堕ちていく」という一編『カミーラ』が、非常に雰囲気があって良い。
ほか、松本次郎さんの長編作品『女子攻兵』『beautiful place』のパイロット版的な短編が収録されているのも、興味深いところ。なおエロ注意。
トラベル
横山裕一さんの『トラベル』。奇妙な風貌の三人組が列車に乗って旅をする様子が、無言・無音(!)でひたすら描かれます。
その何が面白いのか?を文字で説明するのは大変むずかしいのですが、強いて言うならば全編から受ける奇妙過ぎるトリップ感。
車窓から見える「ありとあらゆる風景」を眺めているうちに、果たして彼らがどこへ向かっているのか?が気になって気になって仕方なくなる。
これぞ「ザ・サブカル」な漫画。
シンプルノットローファー
衿沢世衣子さんの『シンプルノットローファー』全1巻。
とある女子校の生徒たち、その日常に起こるささいな出来事が、ふわりとしたユーモアに包まれて描かれるオムニバス・ストーリー。
衿沢世衣子さんの漫画の魅力は、その柔らかな線から紡がれる独特の空気感にあり。
この『シンプルノットローファー』は、特にその雰囲気を堪能できる漫画です。衿沢世衣子漫画の入門編としてオススメ。
SOIL
カネコアツシさんの『SOIL(ソイル)』全11巻。
地方の新興住宅地「そいるニュータウン」で、「塩の柱」を残して消えた家族。
その失踪事件を皮切りに、町では次々と不条理な出来事が起こり…というオカルト・ミステリー。
作者独特の緻密にしてデザイン感あふれる作画と、謎が謎を呼ぶ不可思議な展開が、独特のミステリー風味を醸し出す漫画。
全11巻というボリュームながら、複雑なストーリーを無事に着陸させている点も評価したいところ。それにしても一コマ一コマの密度がスゴイ…!
ご飯は私を裏切らない
heisokuさんの『ご飯は私を裏切らない』全1巻。
「29歳・中卒・恋人いない歴イコール年齢・バイト以外の職歴無し」な主人公女性が、過酷な短期バイトとその後のごはんを楽しむ様を描く、労働グルメ物語。
基本、彼女のひとり語りで進む各話。独特な労働感・マニアック過ぎる豆知識・微妙においしそうな食事が、漫画とは思えない圧倒的な文字量にて展開されます。
…何言ってるかわからないと思いますが、いいんです。そこにサブカル感がある。
口裂け女あらわる!~昭和怪奇伝説~
呪みちるさんの『口裂け女あらわる!~昭和怪奇伝説~』。
『スケスケメガネ伝説』『黒い清涼飲料水』など昭和感あふれる都市伝説系ホラー短編を多数収録。
昭和、と言うとちょっとレトロな感じがありますが、そこはあまり気にしなくても大丈夫。読み応えのあるストーリーとしっかりと練り込まれた恐怖が、安定のホラー感。
呪みちるさんの美麗かつインパクトのある線が生み出す、独特な美しさも魅力的です。
あいこのまーちゃん
やまもとありささんの『あいこのまーちゃん』。
友人たちの発育が気になる中1女子のあいこ。ある日下腹部を叩くと、彼女のアソコ「まーちゃん」が「げぼっ」と血を吐いて喋りだした!
以降、まーちゃんと二人三脚で成長していく、あいこの姿が描かれます。
センシティブな内容から、連載開始前に連載が中止に。その後、クラウドファンディングにより電子書籍化されたという、特殊な経歴を持つ漫画。
ですが、中身は大マジメ。絵・ストーリーのレベルも高く、何よりチャレンジ精神あふれる内容が面白い。
ケーキを買いに
河内遙さんの『ケーキを買いに』。
シュークリームやエクレアといった、かわいいケーキのイメージに絡めた短編を収録。しかしややフェティッシュなエロス多め。太田出版だからね(笑)。
甘味に絡めたフェティシズム溢れるストーリーの中に、ふんわりと練り込まれたユーモアとどぎついエロスがインパクトあり。
河内遙さんは数多くの恋愛漫画を生み出していますが、それらと読み比べてみると実に趣深い。
説得ゲーム
「自殺志願者を説得したらクリア」がクリア目標のゲーム。その開発者を探す表題作『説得ゲーム』。
人工の脳が作り出せる世界で、脳だけ生き残った女性。彼女と相対する研究者達を通して生きる意味を描く『キオリ』。
などの短編を収録した、戸田誠二さんの『説得ゲーム』。
ライトなSF風味を絡めて描かれるヒューマン・ドラマの数々。作者の作品に共通するものですが、読むと「生きること」について考えさせられます。
67歳の新人 ハン角斉短編集
とにかくタイトルのインパクトがすごい!『67歳の新人 ハン角斉短編集』。
45歳から仕事の合間に漫画を執筆、短編『山で暮らす男』で新人賞を取り、67歳で初単行本を刊行した作者。その独特な筆致で描かれる全6編を収録。
一見、ちょっと荒々しい感じも受ける絵柄ですが、洗練された物語運びで意外な読みやすさ。現実に幻想的要素を組み合わせたストーリーも面白い。
ですが本単行本の一番の魅力は、一冊全体で作者・ハン角斉さん「そのもの」のユニークさを感じ取れるところ。
読み終わると、その人物像に興味を抱かずにはいられない!
書道教室
筒井秀行さんの『書道教室』。
逆プロポーズで玉砕、会社を辞めた斉藤さん(29)が、祖母から引き継いだ書道教室で個性的な生徒たちと展開するシュールなコメディ。
「書道教室」という実直さからは程遠いファンタジックな物語。気の抜けたようなゆるさ、かつアート感あふれる世界が圧倒的。
不思議なストーリーと抜群のセンスによって描かれる書道教室が、唯一無二の漫画体験を味あわせてくれます。
へんなねえさん
吉富昭仁さんの『へんなねえさん』全1巻。
カワイイ女の子たちが、ちょいエロなコメディを繰り広げる短編全12編を収録。SFっぽい漫画多め。いろんな話が詰まっていて面白い…
と何気にページをめくっていくと、ラストで全てが繋がっていくという趣向。各話を楽しんだあと、単行本全体でまた別の味わいがあるユニークな作品。
作者らしいエロと下ネタのオンパレード、その中に隠された巧みな構成が面白い全1巻漫画です。
西村ツチカ短編集 アイスバーン
短編8編を収録した『西村ツチカ短編集 アイスバーン』。
すでに卒業しているにも関わらず、母校に毎年潜り込む男性。潜入がバレ、冬場に凍ってアイスバーンとなる坂道を逃げる中、自分が学生ではないことを自覚しつつ、これから母校を巣立つ後輩に送るメッセージをアイスバーンの歩き方と重ねて伝える。
うん、そんなわかったようなわからないような話(笑)。
全体的には不思議漫画系のテイストで好き嫌いを感じるかもしれませんが、その独特な線と併せて妙な魅力を持つ作品群です。
彼女のカーブ
ウラモトユウコさんの『彼女のカーブ』。
苦手な義姉に、ネイリスト試験のモデルを頼んでしまった女性を描く『兄嫁のつめ』。
たまたま乗ったエレベーターで、エレガのうなじにある魅力的なホクロを押してしまった男性の顛末『エレガのほくろ』。
などなど、笑える話・ほっこりいい話をまとめた全10編。ウラモトユウコさんの、ライトでイラストチックな絵柄が魅力の短編集。
気軽に読んで、クスッと笑える、気持ちの良い読後感が味わえるでしょう。
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NONSCALE
mebaeさんの『NONSCALE』。巨娘あり、SFあり、ホラー(?)ありの、さわやかなちょいエロ・フルカラーコミック。
ストーリーよりも、カワイイ女の子たちが登場する世界観を楽しむ、といった体の作品集。
高山の上にある高校。そこに通う女子高生たちを描いた『カラコルム女学院』が印象的。
抜けるような青い空をバックに、雪の積もる山頂に佇む制服女子高生。フルカラー作品ならではの美麗さがあります。
YOUNG & FINE
山本直樹さんの『YOUNG & FINE』全1巻。
彼女と最後の一線を超えられない高校生と、彼の家に居候することになった新任女性教師。海辺の田舎町を舞台に描かれる、ちょいエロコメディ。
彼女との初めて、が気になりすぎる男子。だけど地味な見た目の女性教師も気になって…という、焦らし気味な展開が面白い。
のらりくらりと展開されるちょっと懐かしい雰囲気のラブコメ。最後までいたさない、というところが、山本直樹作品としては異色。
ストロボライト
早逝された青山景さんの『ストロボライト』。
文学を志す大学生と、マイナー映画のヒロインだった同級生。二人の出会いとすれ違いを夜行列車に乗って回想する、という形で描く青春ストーリー。
漫画が白黒だから、というわけではなく、なぜか際立つモノクロ感が印象的な作品。作中にしっとりと流れる空気が絶妙で、ちょっと懐かしさを感じる青春物語。
惑星さんぽ
toi8さんの『惑星さんぽ』。
水彩ラフ画のようなタッチで描かれる全9編のオムニバス。SF・ファンタジー風味の少し不思議な世界とカワイイ女の子が描かれます。
ビジュアルで楽しんで、各話の世界観に想像を膨らませ、そして雰囲気に浸る。
読んでほっこり見てまったり。漫画とイラスト集の中間的な空気に流れる、ゆるやかさが心地良い。
ふとした折に手にとって、パラパラとめくりたくなる、ビジュアル中心に楽しみたい漫画です。
お熱いのがお好き?
大町テラスさんの『お熱いのがお好き?』。
サウナにはまったバツイチ三十路女性・西宮まみの、ゆるやかサウナライフを描く全1巻。
気分がちょっと落ち込み気味の時でも、サウナで、水風呂で、気分をリフレッシュ。
声高にサウナ最高!と叫ぶでなく、ストーリーの中で自然にサウナの魅力を伝える描き方に好感。読んでいると、不思議と「生きてる感」を感じます。
脳のない男
まどの一哉さんの『脳のない男』。表題作ほか、ザ・サブカルな12の短編を収録。
作者の頭の中に思い浮かんだことを、そのまま漫画にしたような作品たち(※イメージです)。オチはあったり無かったりで、とにかく独特な雰囲気を持ちます。
が、不思議とどの話もまとまっているというか、妙な説得力がある。無理も通せば道理になるを地でいく漫画。
この魅力を文章であらわすのは難しいのですが、好きな人はむちゃくちゃ好きになるでしょう。
はるかリフレイン
伊藤伸平さんの『はるかリフレイン』全1巻。
自動車事故で恋人を失ってしまった高校生・はるか。恋人を救うために時をかける彼女は、果たして運命の輪から抜け出すことができるのか?
かつて進研ゼミ『高一Challenge』に連載されていた、という経歴そのものがまさにサブカルな異色のループもの。近年、新装版として復刻されました。
さわやかで、ちょっとせつないSF漫画です。
謎のあの店
松本英子さんの『謎のあの店』全3巻。著者自身が気になっていた「あの店」に突撃取材する、という体のエッセイ・コミック。
誰もが一度は経験したことのあるであろう感覚、「あのお店って一体なんなの?」を解き明かしてくれる漫画。
飲食店だけではなく、美容室・占い屋・前世療法・猛禽カフェなど多彩な業種が登場。
ゆるやかなユーモアと、写実的な描写によって描かれる「あの店」。自分がその店を体験したかのようなヴァーチャル感があります。
涅槃姫みどろ
少年チャンピオンで連載されていたホラー漫画『涅槃姫みどろ』。作者は大西祥平さんと中里宣さん。
赤い左目を持ち、「あなた、厄い(やくい)わね…」を決めゼリフとするミステリアスな少女(?)・みどろが主人公の、ブラック・オムニバス。
系統としては『アウターゾーン』や『笑ゥせぇるすまん』が近いイメージ。
全体的には救いのない系の話が多いのですが、ちょっとユーモラスなみどろさんが微妙に笑えます。
『涅槃姫みどろ』は残念ながら絶賛絶版中。なんとか電子書籍化して欲しいところ。
まとめ
以上、ひと味ちがう漫画を読みたいあなたへ贈る、オススメのサブカル漫画でした。
多種多様な漫画が発行されている現在、サブカルの線引きは難しい部分もありますが、ご紹介した漫画はいずれも風変わりな味わいを持つ作品ばかり。
読んでみると、きっと新しい発見があるはず。未知なる世界への扉を開いてみてください。
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