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漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』感想―ジオンの姫君・セイラの活躍を見逃すな!

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アニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクターデザインほか、制作にも大きく関わった安彦良和さん。

その安彦良和氏自身によるファーストガンダムのコミカライズが、漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN(ジ・オリジン)』です。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(23) (角川コミックス・エース)

単なるアニメのコミカライズではなく、オリジナルの構成を大きく変更した本作。ドラマ性の高いガンダム漫画となっています。全24巻完結済み。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』感想・レビュー

どんな話?主なあらすじ

漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、KADOKAWAのガンダム専門誌「ガンダムエース」に2001年より10年に渡り連載された作品。

(※ガンダムエースはそもそも『THE ORIGIN』連載のために創刊された雑誌)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(1) (角川コミックス・エース)

テレビアニメ『機動戦士ガンダム』終了から20年後のコミカライズということで、アニメ版の制作にも関与した安彦良和氏が、設定やストーリー展開を再検証

基本的な物語はアニメに準拠しながらも、SF的表現や解釈・ミリタリー設定を変更し、それに伴って構成が大きくアップデートされているのが特徴です。

またオリジナルと特に異なるのが、『シャア・セイラ編』など一年戦争以前のエピソードの追加

それにより物語に深みが増し、『オリジン』でありながら「21世紀版のファーストガンダム」と言える内容となっています。

なお安彦良和さんの『機動戦士ガンダム』との関わりや、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』執筆の裏話については、安彦良和さんの全仕事ロングインタビューをまとめた『安彦良和 マイ・バック・ページズ』に詳しく記載されています。

安彦良和 マイ・バック・ページズ

ガンダム初心者にオススメ

新旧問わずに『ガンダム』という作品に興味を持った方の中には、「一番最初のガンダムを見たい」と思われる方も多いでしょう。

厳密な「初めのガンダム」はTVアニメ版『機動戦士ガンダム』ですが、全43話を見るのはややハードルが高いかもしれません。

そんなガンダム初心者の方にオススメなのは、劇場版三部作またはこの漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(2) (角川コミックス・エース)

特に漫画『THE ORIGIN』は、作者・安彦良和氏が連載にあたり物語を再構築したというだけあって、非常にわかりやすい作り。

本作を読み終える頃には、「ガンダムの世界」への理解が充分に完了しているはず。

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もちろんガンダム玄人が読んでも面白い

じゃあ『機動戦士ガンダム』に詳しい人は読まなくてもいいの?というと、そんなことは無い!(断言)

むしろガンダム玄人が読んでも面白いのが『THE ORIGIN』

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(7) (角川コミックス・エース)

先述の通り、コミカライズにあたり設定や構成を大きく見直した本作。オリジナルとは

  • 冒頭、デザインの異なるガンダム1号機が登場
  • シャアとセイラが再会するのはサイド7では無くルナツー
  • スレッガーやセイラがGMにも搭乗する
  • ギャンとガンダムは戦わない
  • ブラウ・ブロとの戦闘シチュエーションが変更

などの違いがあります(※一例です)。

他にもオデッサ作戦・ベルファスト・ジャブローの物語進行が前後したり、それらをつなぐエピソードが追加されたり。

アニメでは(連邦の作戦として)不自然と思われたストーリー進行が修正・整理されています。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(17) (角川コミックス・エース)

またガンダムやホワイトベースほか、メカニックのデザインも大幅にリファイン。さらに物語を補完するサブキャラクターも登場。

アニメとは風味の異なるファーストガンダムが、新鮮な感覚で楽しめます

『シャア・セイラ編』など注目の追加エピソード

そんな『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』、最大の特徴はアニメ本編では描かれなかった、「一年戦争以前」の過去エピソードが追加されていること。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(12) (角川コミックス・エース)

9~10巻の『シャア・セイラ編』、11~12巻の『開戦編』、13~14巻の『ルウム編』など、全24巻の実に1/4を使って、

  • 「キャスバル+アルテイシア」はどのようにして「シャア+セイラ」となったか
  • ザビ家がジオンの実験を握るまで
  • シャアとガルマの士官候補生時代
  • MS(モビルスーツ)の開発、そして実戦配備へ
  • シャアとララァの出会い

といったファーストガンダムのミッシングリンクを埋めるピースと、一年戦争開戦までの流れが描かれます。

そのどれもが興味深いエピソードなのですが、ジオン・ダイクンの遺児である「キャスバルとアルテイシア」が「シャアとセイラ」となるまでを描く『シャア・セイラ編』は要注目

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(10) (角川コミックス・エース)

若き日のランバ・ラルやクラウレ・ハモン、ヤング・ザビ兄弟も絡めながら展開される、「如何にしてシャアとセイラの『人格』が形成されていったか」という物語。

『安彦良和 マイ・バック・ページズ』にも解説がありますが、ファーストガンダム・ファンならば「なるほど…」と思わず唸ってしまう、面白い内容となっています。

安彦良和氏の圧倒的漫画力がスゴイ

そしてこれら『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』をまとめ上げているのが、作者・安彦良和氏の圧倒的漫画力

安彦良和さんはアニメーターから監督までの幅広いアニメ業務と、『アリオン』『クルドの星』『ヴイナス戦記』などの漫画作品を経て、専業となった漫画家さん。

現在も講談社アフタヌーン誌にて『乾と巽 -ザバイカル戦記-』を連載中です。

乾と巽―ザバイカル戦記―(1) (アフタヌーンコミックス)

作品に触れてみるとわかりますが、キャラ・メカ・風景問わず美麗にして繊細、さらに迫力も併せ持つという、天才的な漫画力が大きな特徴

その安彦良和さんが、自身もアニメーションディレクターとして関わっていたTVアニメ『機動戦士ガンダム』に、新たな解釈・視点を加味して描きあげた『THE ORIGIN』。

「ガンダムのコミカライズ」という枠にとどまらないドラマティックな漫画となっています

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(19) (角川コミックス・エース)

漫画としても、『機動戦士ガンダム』としても面白い『THE ORIGIN』。宇宙世紀ガンダムの「新たな原点」となった作品を楽しんでみてください。

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まとめ:「ジオンのお姫様」セイラに注目!

以上、安彦良和さんの漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』感想・レビューでした。

全24巻というボリュームながら、巧みな構成でグイグイ前のめりになって読んでしまう作品。ガンダム初心者はもちろん、ガンダム再履修のファンにもオススメ

そんな『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』、最大の魅力は美麗なセイラさんを存分に堪能できること(笑)。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(22) (角川コミックス・エース)

高貴さと人間味を併せ持つ「ジオンのお姫様」。アムロやシャアよりも目立って…

というか、注目せざるをえない存在感を放っています。終盤で見せる『THE ORIGIN』独自展開による活躍も必見の内容。

アニメでは決して見られない、その多彩な表情に注目して読んでみてください。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』は、安彦良和さんが完全監修した【フルカラー版】全24巻も刊行されています。

フルカラー版 機動戦士ガンダムTHE ORIGIN(1) (角川コミックス・エース)

オリジナル版では、雑誌掲載時のカラーページが一部を除いてモノクロで収録されているのですが、正直ちょっと読みにくいんですよね…。

その点、フルカラーならばその心配は無用。これからコミックスを集めようかな、という方はこちらもチェックしてみてください。

より美麗なセイラさん…もとい、安彦良和漫画を堪能できるでしょう。

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