SF漫画好きにオススメ!読み応えのあるSF漫画まとめ

SF漫画まとめ

数ある漫画ジャンルの中でも、1・2の人気を誇るSF漫画。その中から読んで面白かったオススメのSF漫画をご紹介。リアルな本格SFからアクション・コメディ・ファンタジー系SFまで、読むとそのSF世界に惹き込まれる作品群です。随時更新中。

SF漫画リスト

攻殻機動隊

士郎正宗さんの「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」。義体(サイボーグ)化、電脳へのアクセスが一般化した西暦2029年を舞台に、超高性能サイボーグ・草薙素子(少佐)率いる公安9課の活躍描くSFアクション漫画。

世界に大きな影響を与えたアニメ映画「GHOST IN THE SHELL」(押井守監督)、そのベースとなった原作。ネット・電脳・義体などのSF要素、そして「ゴースト(≒霊体・人格)」という概念とそれをキーとした物語は、予想もつかないSF世界を見せてくれます。

深いポリス&ミリタリー知識から生み出されるアクションや、草薙素子・バトー・トグサ・荒巻部長ら、公安9課メンバーのユニークなキャラクターも「攻殻機動隊」の大きな魅力。1990年代の発表ながら今読んでも面白く、また数十年先でも楽しめるであろう、SF漫画の傑作です。

宙に参る

助骨凹介さんの「宙に参る」。2021年8月現在、2巻まで刊行で以下続刊。宇宙船がセスナ機ほどの身近さになり、身体のパーツも挿げ替えが効く未来。夫の遺骨を地球の義母に届けるべく、息子とともに宇宙に出立する未亡人・ソラを描くSF作品。

遺骨を届ける、と言っても情緒たっぷりという体ではなく、むしろ真逆。ポップな絵柄と飄々としたキャラクター、そしてそれらのバックグラウンドに抜群のセンスを感じるハードなSF感が魅力的。

葬儀シーンという斬新なスタートに始まり、「将棋AIは人類への反乱を企てるのか」「おでん屋の合計金額の謎」といった一見、本筋とは関係ない話を積み重ね、「魔女」(比喩的な意味での)と呼ばれるソラの不思議な成り立ちに迫っていく。ユーモアあふれるストーリーにリアルが詰まった本格SF漫画です。

虎鶫 とらつぐみ

ippatuさんの「虎鶫 とらつぐみ -TSUGUMI PROJECT-」。2021年に1~2巻が刊行。フランスで先行発表されて大人気の本作、日本でもヤンマガでの連載が開始されて以来、その面白さが爆発。

核により崩壊した旧日本に、秘密兵器探索のためフランスから送り込まれた死刑囚部隊。その一人である主人公・レオーネは、異形の怪物たちが蠢くその地で鳥脚の少女・つぐみに出会い…というストーリー。

つぐみや彼女に従う巨獣”とら”が怪物たちとのバトルで見せる迫力のアクション、朽ちゆく巨大高層建築物などのリアル過ぎる廃墟描写、その中で秘密兵器に迫っていくサスペンス感など、多彩な魅力が圧倒的な筆致から生み出される本作。読み出すとドキドキが止まらない、SFアクション・サバイバル漫画です。

キラリティ

大石まさるさんの「キラリティ」全1巻。月・火星・小惑星帯(アステロイドベルト)にも人類が住む時代。ベルターの双子、キラとラリティは、スペースコロニーのパーツを曳航する巨大曳航船ドゥルガー10に乗組員として潜入。ある目的を持って―。

明るいノリと美麗なキャラクター、そして本格的かつセンスの良いSF描写が魅力の漫画。細かいディテールにも手抜きが無く、全1巻完結とは思えないスケールの大きなSF展開を見せてくれます。

なお本作は「ライプニッツ」シリーズの2作目なのですが、特に前作を読んでいなくても楽しめると思います。不思議な宇宙ネコ・ライプニッツが出てくる、ということだけ知っていればOK。

マーチャンダイス

同じく大石まさるさんの「マーチャンダイス」全3巻。「キラリティ」に続く「ライプニッツ」シリーズの3作目。繋がりとしては世界観のみなので、こちらから読んでもOK。

火星の地下多層構造都市で人類が日常を送る時代。長期滞在型シェアアパート「マーチャンダイス」に集う人々を描く本格的SF…観のもとで展開される、ライトでコミカルな群像劇。

その中心となるのが、マーチャンダイスの大家にして賞金稼ぎのラーテル=ハニーバッジャーと、一攫千金を求めて火星に降り立った地球人マチコ。この二人のキャラクターがバツグンに面白い!美麗にして繊細、ハイレベルな作画から生み出される、軽妙にして本格的なSFストーリーに、センスが溢れすぎています。大好き。

第三惑星用心棒

野村亮馬さんの「第三惑星用心棒」。自主レーベル「馬頭図書」より刊行のフルカラー・インディーズ・コミックで、2巻まで刊行中。「Kindle Unlimited」でも読めます(2021年8月現在)。

29世紀の地球で「迷走兵器(ロストボーイ)」を処理する、歌って踊れる陽気なアンドロイド「エルシー」の活躍描くSF漫画。牧歌的な雰囲気と、それに反比例するようなリアルなSF感、そして人間よりも人間くさい主人公・エルシーがめちゃくちゃ魅力的。

弾き語りや自転車の曲乗りをこなす彼女のユーモラスさと、手に汗握る迫力の戦闘シーンに、グイグイ引き込まれます。なお本作はインディーズ・レーベルよりの出版ですが、野村亮馬さんは講談社から「キヌ六」「ベントラー・ベントラー」刊行、SF漫画に定評のあるプロの漫画家さん。その実力は折り紙付きです。

ロボ・サピエンス前史

島田虎之介さんのSF漫画「ロボ・サピエンス前史」上下巻。

核燃料の回収にあたるロボット。職能をダウンロードし人間を助けるフリードロイド。地球型惑星探査のため外宇宙に向かうロボット。核廃棄物の貯蔵施設で25万年の監視を続けるロボット…。

オムニバス的に描かれるロボットのストーリーがやがてひとつに収束。ホモ・サピエンスならぬロボ・サピエンスの来たるべき未来を予感させる、SF心を刺激するラストへ。夜中に一人で雰囲気に浸りたいSF漫画です。イラストチックなビジュアルにも注目。

藤子・F・不二雄SF短編

地球型惑星に不時着した宇宙船。その乗組員である「おれ」は、可憐な人間の少女と出会う。しかしその星の支配者は人間ではなかった…(「ミノタウロスの皿」)


飢えを凌ぐために仲間を食う「くじ」を引く、古代ペルシアの兵士たち。そこから逃れた男は、荒野の果てに時空を超える光にたどりつく。そこには言葉の通じぬ謎の女性が一人。(「カンビュセスの籤」)


初めて藤子・F・不二雄氏のSF短編を見た時は衝撃的だったなぁ…。「ドラえもん」と全然違う(笑)。しかし含まれる毒にチクリとやられると、やがてその魅力の虜に。その中でも特にインパクトがあったのが、「ミノタウロスの皿」と「カンビュセスの籤」です。

両者で扱っている具材は近いのですが、味付けは全く異なるもの。読み比べると藤子・F・不二雄氏の発想の豊かさ、そして深いブラック・ユーモアに驚かされます。少年少女向けの藤子マンガとはひと味もふた味も違う、藤子・F・不二雄氏の「SF(SUKOSHI FUSHIGI)」を体験してみてください。

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)

高山和雅さんの「天国の魚(パラダイス・フィッシュ)」全1巻。2030年、巨大彗星が地球に落下。海中のシェルターに避難した5人の「家族」が次に目覚めたのは、1970年だった。果たして何が起こったのか、そして彼らはどこへ辿り着くのかー

単巻で完結しているオリジナルSF作品。全318ページの大ボリュームで読み応えバツグン。災害に巻き込まれたのち過去に戻る、というのは一見タイムスリップものを想起させますが、そこには意外な「真実」が。リアルな筆致で描かれる正統派のSF漫画です。

プラネテス

幸村誠さんの「プラネテス」全4巻。宇宙開発で生じるスペースデブリ(宇宙のゴミ)を回収する、主人公・ハチとその仲間たちを描いた、本格SF漫画。アニメ化もされました。

宇宙船を傷つけるデブリの処理問題、月面や船内でタバコが自由に吸えない苦労、深淵な宇宙空間に対する心理的恐怖…。それまでのSF漫画とは一線を画す、リアルで本格的なSF描写が秀逸

そしてゴミ回収業から、木星を目指す船のクルーとなるハチ。数々の苦難に遭う彼を待ち受けるものは果たして…?作品の根幹を成す深みのある人間描写が、今もなお「プラネテス」をSF漫画ジャンルにおいて、不動の人気作品としています。

アフター0

岡崎二郎さんの「アフター0」全10巻。どの巻の、どの作品から読んでも安定のクオリティで面白い、SF短編集の金太郎飴

印象的な一話は、「あの世」が無いことを証明してしまったお坊さんを描く「あの世の方程式」(5巻収録)。あの世が無ければ世の中から宗教戦争が無くなり、世界は平和へ向かうはず、と思われたが…?宗教に無頓着な人ほど、そのおもしろみが感じられるでしょう。

「アフター0」全10巻はオール短編なので、短時間の漫画読書にも最適。豊富な科学知識を詰め込みながらわかりやすく、またユーモラスな絵柄で、SF作品が苦手な方にも読みやすい作品。多彩なジャンルの知識が詰まりまくった、老若男女にオススメのSF漫画です。

アップルシード

士郎正宗さんの「アップルシード」全4巻+α。非核大戦後、バイオロイド(人造人間)が統治する都市「オリュンポス」にてポリスとして活動する、人間・デュナンとサイボーグ・ブリアレオスのコンビを描く近未来アクションSF

士郎正宗さんの代表作「攻殻機動隊」と地続きの世界観を持つ本作(発表はこちらが先)。リアリティあふれるSF設定、本格ガン・アクション、SF感あふれるストーリーが魅力です。

「アップルシード」は全体としては未完ですが、各巻の話はそれぞれで区切りが付いています。初出は1985年ということで古典の領域に入りつつも、古さを感じさせない魅力を持つSF漫画。読むとSF観が変わるでしょう

仙術超攻殻ORION

「アップルシード」と同じく士郎正宗さんの「仙術超攻殻ORION」全1巻。アジアンテイストあふれるオリエンタル・ファンタジー・SFです。

大銀河人民帝国の蛇目博士は、人々の諸悪業欲を九尾九頭竜(クビクトゥルー)=ヤマタノオロチに封じる計画を発動。しかしその起動式が邪神を召喚することを知った法師・フゼンは、娘・セスカの体に式の一部を封印。それを取り戻さんとする蛇目と争ううちに、暗黒神スサノオを呼び出してしまう…。

…というファンタジーにしてSFチックな物語が、士郎正宗氏らしい緻密にしてコミカルな筆致で、豪快に展開されていきます。神話ベースな物語ですが、要所要所に埋め込まれたSF要素が心をくすぐる漫画。

ベントラーベントラー

野村亮馬さんの「ベントラーベントラー」全3巻。宇宙人が「外星人」と呼ばれ一般化した社会。外星人絡みのトラブル処理にあたる公務員女性・すみちゃんと奇妙な宇宙人・クタム君を描くコメディSF

飄々として何事も深く考えないすみちゃんと、高度な知能を持ちながらボケ倒すクタム君。そのゆるい掛け合いに、思わず笑いが。クタム君の小憎たらしさも、読むうちにクセになる(笑)。

そんな笑いに包まれたSF物語、ひたすら続くかと思われたゆるやかな日常は、しかしラストで驚愕の展開を迎える―!これが良い意味でビックリ展開。このラストのおかげで、忘れられないSF作品となりました。3巻収録の描き下ろし「夢みる人造人間」もSF感あふれる良作。

MOONLIGHT MILE

太田垣康男さんの「MOONLIGHT MILE」。日本人・猿渡吾郎と、アメリカ軍人・ロストマン。天才クライマーでもある二人が、かたやBS(ビルディング・スペシャリスト)として、かたや米国宇宙軍の軍人として月を目指す、本格ハードSF宇宙開発漫画です。

SFエンターテインメントも交えながら描かれる、人類が月面開発へ向かって歩みを進めてゆく様はまさに「MOONLIGHT MILE」。圧巻のSF描写で、1巻から一気にその世界に引き込まれます。

なお月面への道のりを描く過程は、第一部として完結。第二部からは、発展を遂げた月面の都市「ルナネクサス」を舞台に新たな物語が展開。ながらく休載中でしたが、2021年冬の再開が告知されました。

火の鳥

「おすすめのSF漫画」という括りで紹介するには有名すぎますが、SF漫画紹介としては外せない作品、「火の鳥」。

  • 宇宙船内で起こった殺人事件とその真実を描いた「宇宙編」
  • 過去と未来が交錯する長編「太陽編」
  • クローン人間の殺し合いを画策したテレビマン、その業を描いた「生命編」
  • 罪を背負って無限の時間を生きる人間を描いた「異形編」

などなど、不死の鳥「火の鳥」を絡めた多彩なSFストーリーが描かれます。

各作品は単体のSF漫画としても、また「火の鳥」という大長編の一部としても楽しめる作り。個人的にはループものの一つの完成形とも言える「異形編」(9巻収録)がオススメ。単体で読んでも楽しめます。

機動警察パトレイバー

ゆうきまさみさんの「機動警察パトレイバー」全22巻。全高8メートル前後の搭乗式作業用ロボット「レイバー」を労働力とする近未来。急増する「レイバー犯罪」に対応する「警視庁特車二課」の活躍を描く、近未来ロボットSFです。

  • ロボットものながら女性が主人公
  • 警察VS犯罪集団という非戦争モノ
  • 魅力的なニュータイプの悪役
  • 洗練されたデザインの主役メカ「イングラム」

など、他のロボット漫画にはない数々の要素を持つ作品。何よりSFロボット漫画が、少年サンデーというメジャー誌で長期連載された、という事実が面白さの証左。漫画界・アニメ界に大きな影響を与えた作品です。イングラムVSグリフォンの最終決戦は、ロボット漫画史に残る迫力。

宇宙のプロフィル

こがたくうさんの「宇宙のプロフィル」全1巻。ファンタジック、シリアス、サスペンス風など、多彩なSF漫画5編を収録したオムニバスです。

高さ3000mを超える巨木に挑む少年の冒険を描く「エルキドの巨木」。宇宙船内の異星人少女と夢で心がシンクロする女子高生「京子の夢」。地球と月を結ぶ定期船で起きたトラブル、その過酷な結末を描く「小さな彗星」。

などなど、SF好きなら「こういうSF漫画が読みたかった!」と思う、魅力的な作品の数々。短編ながらも、壮大な宇宙を感じさせるSF観が素晴らしい。1話「エルキドの巨木」と最終5話「地球最期の日」の繋がりにジワリとした感動が。

スキエンティア

戸田誠二さんの「スキエンティア」全1巻。「世にも奇妙な物語」で映像化された「ボディレンタル」ほか、「科学の女神」をその頂にいだく「スキエンティアタワー」の下で、普通の人々の生活に少しSF要素をプラスした物語が展開されます。

人々の人生にSF要素が優しく、温かく寄り添う。他のSF漫画とは一味異なるヒューマン・ドラマ。明るい話もあれば暗い話もあり。そこから感じるのは「生きること」の意味。そしてその中でふと訪れる、日常に光射すような瞬間が印象に残る、SFオムニバスです。

Spirit of Wonder

昭和61年から平成7年にかけてモーニング・アフタヌーン誌に掲載された、鶴田謙二氏のSF作品を収録した短編集「Spirit of Wonder」。リアル系のSFではなく、空想科学的な風合いの作品です。

絵柄はちょっと年代を感じさせますが、それもまた味。どの話もほのぼのとして楽しく読めます。何より、健康的なお色気感のあるヒロインたちが魅力的。鶴田作品の代表的キャラクター「チャイナさん」が活躍するシリーズ3作も収録。

果ての星通信

ある日突然、「果ての管理者支部局 惑星モスリ」に強制転移させられたマルコ。星を作り、そして壊す仕事に10年間従事することに。しかし婚約者を地球に残した彼は、脱出の機会をうかがい…?

宇宙の創造に飽きた管理者に代わって、「星を作る」という業務を任される人々を描く、メノタさんの「果ての星通信」全5巻。マルコの脱走は2巻序盤まで。以降は星の創造と、マルコの身に起こった「重大な問題」の解決を軸に、物語が展開されていきます。

とにかくメノタさんのファンシーなSF描写が素晴らしい作品。豊かな想像力と表現力は一見の価値あり。ビジュアルを、物語を、じっくりと味わいたいSF漫画です。読むうちに不思議と愛着の湧いてくるキャラクターたちも魅力的。

七夕の国

「寄生獣」でブレイクした、岩明均氏のSF漫画「七夕の国」全4巻。「物に小さな穴を開ける」という小さな超能力を持つ大学生・南丸。実はその超能力にはルーツがあり、大学の教授失踪、南丸に縁のある一族とも関係が。やがて世界をゆるがす大きな事件が起こり―という、伝奇・ミステリー要素の強いSF。

全4巻という短めの巻数の中に、歴史・ミステリー・ホラー要素を詰め込み、そして物語の背後に無限の宇宙を感じさせる作品。岩明均氏のスゴさを感じずにはいられません。「寄生獣」は怖そうだからちょっと…という方は、是非「七夕の国」からチャレンジしてみてください。

70億の針

多田乃伸明さんの「70億の針」全4巻。ヘッドホンで周囲との接触を断つ女子高生・ヒカルは、地球外生命体「テンガイ」の不手際で肉体を失い、彼と一体化してしまう。そしてテンガイと敵対する災いの渦・メイルシュトロームと、図らずも戦うことに―。

…という、出だしもろ「ウルトラマン」なSF漫画「70億の針」。宇宙人と合体してしまった主人公が、イヤイヤ敵と戦いながらも、その殻を破って成長していく、「青春SF」とでも呼ぶべき漫画。人と人との繋がりから起こるヒカル自身の変化が、爽やかな読後感を与えてくれます。

百万畳ラビリンス

謎の巨大構造物に閉じ込めらた礼香と庸子。ゲームのバグ探しをしている二人は、その知識と経験をたよりに、ゲームそのもののような世界からの脱出を試みる―

たかみちさんの「百万畳ラビリンス」全2巻。空間の描き方など、そこかしこに散りばめられたゲーム的感覚が面白い、ゲーム好きならば一度は迷い込んでみたい世界が描かれます。

しかしそこでは危険も隣り合わせ。ゲームオーバーになれば人生終了の可能性も。ゲームっぽいゆるさの中にも、どこか緊張感が漂う世界観に、意外な怖さ・不気味さを感じます。ちなみに作者のたかみちさんは、某有名漫画雑誌「L○」の表紙を担当されている方。

放浪世界

短編5編を収録した水上悟志さんの「放浪世界」全1巻。厳密なSF作品はその内の一編「虚無をゆく」のみですが、これが実に読み応えのあるSF漫画。

少年・ユウの住む団地。その外には「虚無」が広がり、年に1・2回「怪魚」が襲来する。怪魚と戦うのは、団地をその頂きに抱く超巨大ロボット。やがて世界の構造が明らかになり…というSF作品。

短編にしては長めの全74ページ。ユーモアを混じえながら描かれる壮絶な人生と、虚無を抱いた物語は、果たしてどこへ行き着くのか?様々なSF要素をうまく組み合わせ、それでいて他にはないオリジナルなSF観が練り上げられています。

星のポン子と豆腐屋れい子

星のポン子と豆腐屋れい子」全1巻。豆腐屋の姉弟と、宇宙からきた不思議なセールスウーマン「ポン子」の交流を、ほっこり描いたSF漫画。

…原作:小原愼司・作画:トニーたけざき、な時点で「ほっこり」してるわけが無い(笑)。予備知識を持たずに読んだ方が絶対面白いので、あえて詳細には触れません。が、「表紙詐欺かよ!」と叫ばずにはいられない、愉快なSF漫画です。

三文未来の家庭訪問 庄司創短編集

庄司創さんのSF短編集「三文未来の家庭訪問」全1巻。表題作ほか、「辺獄にて」「パンサラッサ連れ行く」の計3編を収録。

「三文未来の~」では、遺伝子デザインにより「出産可能な男児」である少年と、彼を立派な納税者にするべく生活をサポートする家庭相談員・カノセさんの奮闘が描かれます。

優秀な納税者を育てることで相談員の年金がアップする仕組みや、男性性の発展を求める思想など、現在よりも少し「豊かな未来」。さて、そこは果たしてユートピアなのか?トランスジェンダーをSF設定に絡める、庄司創さんらしい世界観がユニーク。美しい人生の完結を目的として、宇宙人によって死の間際に地獄をループさせられる男性を描いた「辺獄にて」も面白い一編。

となりのロボット

わたしはロボットです。今はだいたい 人と同じことができます

女子高生型ロボット・ヒロのモノローグから始まる、西UKOさんの「となりのロボット」全1巻。ヒロと、彼女を恋愛対象として見る女子高生・チカを描く、百合テイストな物語。

本筋としては恋愛なのですが、作中の随所に見えるSF表現が秀逸。半自律的に社会生活を送るヒロ。それをバックアップする研究者たちの行動、そして彼女の存在目的など、近未来的なリアルさにSF心をくすぐられます。

プログラムにより、チカの思いを好意的に受け止めるヒロ。一方、ヒロの笑顔が計算によるものとわかりながらも、彼女に気持ちを寄せずにはいられないヒロ。百合恋愛と密接に絡んだSF要素は、不思議な感覚。ファンからの評価も高い一作です。

桜戸町10秒戦争

プロ漫画家・がぁさんの同人作品「桜戸町10秒戦争」。持ち運びできる時間停止装置を開発した青年と、弁当屋の娘。建築中の高層ビル崩壊から人々を救うために奔走する二人を描く、260P超のSF漫画。

時間停止を利用した弁当の窃盗事件にはじまり、「キャリーケースの半径数メートル(バブル)は時間の流れが遅くなる」機能を利用して、ビル倒壊に巻き込まれるエリアの約700人を救い出せるや否や?という予想外のSFサスペンスへ発展する物語

一箇所に留まるとバブル内の空気が無くなるので、常に移動が必要=寝れない!など、時間停止系のSFが曖昧にしている要素を逆手に取って、緊張感を生み出しているのが面白い。全6話の分冊販売のほか、「マンガ図書館Z」で無料公開もされています(2021年8月現在)。

7SEEDS

巨大隕石衝突の予想により絶滅の危機に陥った人類は、7人✕5組の男女を冷凍保存して種の存続を図る「7SEEDS」計画を実行。そして文明崩壊後に目覚めた彼らは、環境の変化に戸惑いつつも、生き残りをかけたサバイバルを展開するー。

2001年から長期連載を続け、全35巻で完結した田村由美さんのSF漫画「7SEEDS」。連載は「月刊フラワーズ」なのですが、連載ラインナップを見ると7SEEDS、ちょっと毛色が違いますね(笑)。にもかかわらず、長期連載で高い人気を保っているのがスゴイ。SF設定はもちろん、それを活かした緊迫の人間ドラマ・サスペンスから、目が離せない!

ブラックマジック

ブラックマジック」全1巻。金星を統治する巨大コンピュータの末娘であり、強大な力を持つ魔法使いデュナ・テュフォンの戦いを描いた、士郎正宗さんの初期作品です。

注目は、士郎正宗氏自身が監督をしたアニメ作品「ブラックマジック M-66」の原型である「ブービートラップ」。軍の制御を離れて暴走する、人型機動兵器「マリオ」。それを制止するべく、決死の戦いを挑む特殊部隊。オフィスビルという閉鎖空間で、彼らは狂気の戦闘マシーンを止めることができるのか?という短編。

ビルの空調を調整した温度差でマリオの移動階を誘導したり、照明のオンオフでセンサーを潰したり、といったSF要素とミリタリー描写が融合。士郎正宗作品らしい緻密なSFアクションが楽しめる作品です。

なおアニメ「ブラックマジック M-66」は、動画サイトで視聴可能。

ブラックマジック M-66士郎正宗,北久保弘之:

士郎正宗氏が動きにこだわったために作画枚数が増えに増え、発売も延期に延期を重ねたという伝説的な作品。1987年の作品ですが、今見ても面白いです。

コドク・エクスペリメント

星野之宣さんの「コドク・エクスペリメント」全3巻。「コドク」は壺の中で毒虫を戦わせ、最強の毒を作りだす「蠱毒」のこと。その蠱毒のごとく、閉鎖された宇宙船内で戦いを繰り広げる、人間と生物兵器たち。生き残るのは果たして?

ハリウッド映画のようにテンポよく展開される物語に、一気読み必至。主人公たちの絶望的ともいえる戦いに思わず息を呑む、アクション要素の高いSF漫画です。星野氏のSF漫画としては他に、恐竜世界でのサバイバルを描いた「ブルーホール」「ブルー・ワールド」もオススメ。

光の王国

異星文明とのコンタクトを題材にしたSF漫画、菅原雅雪さんの「光の王国」全2巻。宇宙人の目を通した「人間」の本質、そして可能性が描かれます。

突如世界の夜空から暗闇が消え、人々の目には美しい光が映るように。そしてある公園を目指して歩みを進める、「メッセージ」を受けた人々。その一人、虐待を受けていた少年・ワタルは、そこで運命的な邂逅を果たす―。広大な宇宙、そしてそれと反比例するような人間の小ささを再認識させられる、不思議な読後感のあるSF漫画。

彼方のアストラ

篠原健太さんの「彼方のアストラ」全5巻。突如、宇宙空間に放り出された少年少女たちが、宇宙船アストラ号で自給自足のサバイバルをしながら、故郷への帰還をめざすSF漫画

バツグンのコメディセンスに笑いつつも、数々の惑星で繰り広げられるサバイバルに引き込まれる作品。しかし「彼方のアストラ」、単なるサバイバルSFではありません

  • 少年少女たちを宇宙空間に放り出さんとする、謎の光球
  • 仲間の中に存在する「刺客」
  • 世界全体に関わる、秘められた謎

といったサスペンス要素がてんこもり。そして綿密に張られた伏線と、その回収はお見事。全5巻という締まった巻数に、冒険・SF・サバイバル・サスペンス・青春を詰め込んできっちりと完結させた、秀作SFです。

笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ

イラストタッチな描画で描かれる、笠辺哲さんの「短編マンガ集 バニーズ」。

未来予知が可能な「精神波検出装置」の被験体となった男。彼が実験の末に見た「バニーズ」とは?(「バニーズ」)

寒冷化した世界。タイムトンネルとなったロッカーを通して、寒冷化前の世界と「貿易」をする科学者。時空を超えた取引の結末は―(「ロッカー貿易」)

などゆる~いSF中心、シニカルなセンスが光る9編を収録。ちょっと間の抜けた感じを持つ、不思議な作風のコメディSFです。

バタフライ・ストレージ

安堂維子里さんの「バタフライ・ストレージ」全4巻。人が死ぬと肉体は瞬時に朽ち果て、記憶を保持したまま魂が「蝶」となる世界。妹の蝶を奪ったテロリストを探すため、特殊部隊の一員となった主人公・百士を描くSF漫画

人の魂が記憶と知識を持った蝶となるという設定、「死ぬな・殺すな」がモットーの特殊部隊など、ユニークな世界観を持ったSF漫画。そんな独特のSF世界観を背景に、蝶を管理する「死局」特殊捕蝶班が展開するハードなアクションが見応えあり。

巻を重ねて徐々にその世界観が明らかになり盛り上がってきたところ、掲載誌の休刊に伴い一時完結。その世界観を引き継ぐ『死局特殊蝶犯罪対策室「特蝶」』全2巻をもって、シリーズ完結となりました。

地底旅行

倉薗紀彦さんの「地底旅行」全4巻。ジュール・ヴェルヌ原作の邦題同名作をコミカライズした作品です。

舞台は19世紀。青年アクセル、その叔父リーデンブロック教授、屈強・寡黙な現地ガイド・ハンスの三人が、16世紀の錬金術師、アルヌ・サクヌッセンムの暗号をたよりに、アイスランドより地球の中心を目指す冒険譚

倉薗氏の作画、ものすごく雰囲気があって良いです。太陽光が届かない地底へ、ただひたすら降りる旅。暗闇の恐怖、新たな発見、広がる不思議な空間…。「空想科学」の魅力が詰まっています。物語のキーパーソンであるリーデンブロック教授の、破天荒なようでいて人間味のあるキャラクターも魅力的。

まとめ

以上、「SF漫画好きにオススメ!読み応えのあるSF漫画まとめ」でした。未来へ、宇宙へ、異次元へ。SF漫画は現実世界を生きる私達を、一気に夢の世界へ連れて行ってくれます。面白いSF漫画が読めるということはホントに幸せですね。

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