SF漫画好きにオススメ!読み応えのあるSF漫画まとめ

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数多くある漫画ジャンルの中でも、1・2の人気を誇るSF漫画。

身近に起こるちょっと不思議な話から、宇宙の深淵まで、実に多彩な物語が展開、これまでに数多くの名作漫画を産み出してきました。

そんなSF漫画から実際に読んで面白かった、オススメの作品をご紹介。読むとそのSF世界に惹き込まれる、味わい深い漫画ばかりです。

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SF漫画リスト

ロボ・サピエンス前史

島田虎之介さんの「ロボ・サピエンス前史」上下巻。「このマンガがすごい!2020」第2位、フリースタイル誌「このマンガを読め!2020」のランキング上位に輝いたSF漫画です。

原発の爆発で溶け落ちた核燃料の回収にあたるロボット。

あらゆる職能をダウンロードし人間を助ける自由ロボット(フリードロイド)。

地球型惑星探査の任に就き外宇宙に向かうロボット。

そして放射能が無害化するまで、核廃棄物の貯蔵施設で25万年の監視を続ける一体のロボット…。

オムニバス的に描かれる彼・彼女らのストーリーがやがてひとつに収束し、ホモ・サピエンスならぬロボ・サピエンスの来たるべき未来を予感させる物語

どことなく『火の鳥』を想起させるのですが、全2巻という短さでそれを感じさせる島田虎之介さんの手腕がスゴイ。

そしてこれはあくまでも「前史」。「全史」ではなく「前史」。

読み終わったあとに、この先に続くであろうロボットたちの壮大な物語を想像せずにはいられない、SF心を刺激するラストが素晴らしい

シンプルな線で構成される、イラストチックなビジュアルにも注目。夜中に一人で雰囲気に浸りたいSFです。

キラリティ

大石まさるさんの「キラリティ」。(1)とナンバリングされていますが、全1巻完結です。

月・火星や、火星ー木星間の小惑星帯(アステロイドベルト)にも人類が住む時代。

ベルター(小惑星帯人)生まれの双子、キラとラリティは、スペースコロニー(の一部)を曳航する巨大曳航船ドゥルガー10に、乗組員として潜入。ある目的を持って―。

大石まさるさんの独特な明るいノリと美麗なキャラクター、そして本格的かつセンスの良いSF描写が魅力の作品

宇宙船やコロニー、その他小道具など細かいディテールにも手抜きが無く、一回読んだだけでは味わい尽くせない濃厚さ。

全1巻完結ながらも、予想外にスケールの大きなSF展開を見せてくれます。爽やかなキラとラリティの活躍にも、心に残る感動が。

なお本作は「ライプニッツ」シリーズの2作目なのですが、特に前作を読んでいなくても楽しめると思います。不思議な宇宙ネコ・ライプニッツが出てくる、ということだけ知っていればOK。

第三惑星用心棒

「キヌ六」など、良質なSF漫画を排出する野村亮馬さんの「第三惑星用心棒」。自主レーベル馬頭図書より刊行のインディーズ・コミックで、2020年現在2巻まで刊行中。

舞台は29世紀の地球。コントロールを失った過去兵器「迷走兵器(ロストボーイ)」を処理する、歌って踊れる陽気なアンドロイド「エルシー」の活躍が、フルカラーで描かれます。

牧歌的な雰囲気と反比例するようなリアルなSF感とともに、人間よりも人間くさい主人公・エルシーの存在がめちゃくちゃ魅力的。

ギターの弾き語りや自転車の曲乗りで、現地住民と交流を深めるユーモラスな様子に、読みながら笑みがこぼれてしまいます。もっと彼女の活躍を見てみたい!と思わずにいられない。

「第三惑星用心棒」は「Kindle Unlimited」でも読めます(2020年5月現在)。

宙に参る

助骨凹介さんの「宙に参る」。Webメディア「トーチWeb」に連載中で、2020年に1巻が刊行、以下続刊。

宇宙船がセスナ機ほどの身近さになり、人間の身体も脳以外は挿げ替えが効くほどの未来。夫の遺骨を地球の義母に届けるべく、息子とともに宇宙に出立する未亡人・ソラを描くSF。

遺骨を届ける、と言っても情緒たっぷりという体ではなく、むしろ真逆。

ポップな絵柄と飄々としたキャラクター、そしてそれらのバックグラウンドにバツグンのセンスを感じるハードなSF感が魅力の漫画です。

葬儀シーンから始まる、というSF漫画としては斬新なスタートですが、葬儀の細かいディテールにもSF心があふれかえっています。

そして「将棋AIは人類への反乱を企てるのか」「おでん屋の合計金額の謎」といった一見、本筋とは関係ない話を積み重ねながら、「魔女」(比喩的な意味での)と呼ばれるソラの不思議な成り立ちに迫っていく過程が面白い。

電子版は、1話のSFチックな葬儀風景を補完する第1.5話「特殊慶弔性理論」を収録。

アフター0

岡崎二郎さんの「アフター0」全10巻。

どの巻の、どの作品から読んでも安定のクオリティで面白い、SF短編集の金太郎飴。多彩なSFショートショートが楽しめます(3~4巻のみ連作「大いなる眠り子」シリーズを収録)。

個人的に印象だった一話は、5巻収録の「あの世の方程式」

「あの世」が無いことを証明してしまった理系畑のお坊さん。あの世が無ければ宗教で争うこともなく、世の中から戦争が無くなり、世界は平和へ向かうと思われたが…?

という騒動の顛末が描かれます。宗教に無頓着な人ほど、そのおもしろみが感じられるのでは。

「アフター0」全10巻はオール短編なので、短時間の漫画読書にも最適。豊富な科学知識を詰め込みながらわかりやすく、またユーモラスな絵柄で、SF作品が苦手な方にも読みやすいでしょう。老若男女にオススメのSF漫画です。

藤子・F・不二雄SF短編

地球型の惑星に不時着した宇宙船。その乗組員である「おれ」は、可憐な人間の少女と出会う。

しかしその星を支配しているのは人間ではなかった…(「ミノタウロスの皿」)


古代ペルシアの兵士たち。遠征中、飢えを凌ぐために「くじ」で仲間を食うことに。

そこから逃れた男は、荒野の果てに時空を超える光にたどりつく。そこには言葉の通じぬ謎の女性が一人。(「カンビュセスの籤」)


初めて藤子・F・不二雄氏のSF短編を見た時は衝撃的だったなぁ…。「ドラえもん」と全然違う(笑)。

しかし作品群に含まれる毒にチクリとやられると、やがてその魅力の虜に。その中でも特にインパクトがあったのが、「ミノタウロスの皿」と「カンビュセスの籤」です。

両者で扱っている具材は近いものがあるのですが、その味付けは全く異なるもの。読み比べると味わい深さを感じるとともに、藤子氏の発想の豊かさに驚かされます。

独特のブラック・ユーモアはインパクトあり

果ての星通信

メノタさんの「果ての星通信」、既刊3巻で以下続刊。

ある日突然、「果ての管理者支部局 惑星モスリ」に強制転移させられたロシア人青年・マルコ。星を作り、星を壊すという、宇宙を形作る仕事に10年間従事することに。

しかし婚約者を地球に残した彼は、脱出の機会をうかがい…?

宇宙の創造に飽きた管理者に代わって、宇宙の果てで「星を作る」という業務を任される人々(宇宙人たち)を描く、ファンタジックなSFストーリー

マルコの脱走は2巻序盤まで。以降は星の創造と、マルコの身に起こった「重大な問題」の解決を軸に、物語が展開されていきます。

とにかくメノタさんのファンシーなSF描写が素晴らしい作品。豊かな想像力と表現力は一見の価値あり。

通して読むうちに、不思議と愛着の湧いてくるキャラクターたちも魅力的。ビジュアルを、物語を、じっくりと味わいたいSF漫画です。

天国の魚(パラダイス・フィッシュ)

高山和雅さんの「天国の魚」全1巻。

2030年、巨大彗星が地球に落下。その衝撃波から逃れ、海中のシェルターに避難した5人の「家族」。彼らが次に目覚めたのは、1970年だった。

果たして何が起こったのか、そして彼らはどこへ辿り着くのかー、というオリジナルSF作品。単巻で完結しており、全318ページの大ボリュームで読み応えバツグン

災害に巻き込まれたのち過去に戻る、というのは一見タイムスリップものを想起させますが、そこには意外な「真実」が隠されています。

奇をてらわない正統派のSFで、良いSF作品を読んだ、という充実の読後感がある漫画です。

プラネテス

「ヴィンランド・サガ」の作者・幸村誠さんの出世作となったSF漫画「プラネテス」全4巻。

宇宙開発で生じるスペースデブリ(宇宙のゴミ)を回収する、主人公・ハチ(ハチマキ)とその仲間たちを描いた、本格SF漫画です。

宇宙船を傷つけるデブリの処理問題や、月面や船内でタバコが自由に吸えない苦労、深淵な宇宙空間に対する心理的恐怖、などのリアルなSF描写により、自分が宇宙開発の前線にいるような気分に。それまでのSF作品とは一線を画す表現が印象的。

そしてゴミ回収業から、木星を目指す船のクルーとなるハチ。数々の苦難を抱えながらも彼を待ち受けるものは果たして…?

作品の根幹を成す深みのある人間描写が、今もなお「プラネテス」をSF漫画ジャンルにおいて、不動の人気作品としています。全4巻と手頃な巻数でまとまっている、オススメのSF漫画。

放浪世界

短編5編を収録した水上悟志さんの「放浪世界」全1巻。厳密なSF作品はその内の一編「虚無をゆく」のみですが、これが実に読み応えのあるSF漫画。

少年・ユウの住む団地。その世界の外には「虚無」が広がり、年に1・2回「怪魚」が襲来する。

怪魚と戦うのは、団地をその頂きに抱く超巨大ロボット。やがてユウを取り巻く環境が、徐々に明らかになり…というSF作品。

短編にしては長めの全74ページというボリュームを持つ作品。様々なSF要素をうまく組み合わせ、それでいて他にはないオリジナルなSF観が練り上げられています。

ユーモアを混じえながら描かれる壮絶な人生と、虚無を抱いた物語は、果たしてどこへ行き着くのか?「虚無をゆく」以外の4編も、水上悟志さんらしいおもしろさが詰まっている短編集です。

機動警察パトレイバー

ゆうきまさみさんの「機動警察パトレイバー」全22巻(少年サンデーコミックス版)。

全高8メートル前後の搭乗式作業用ロボット「レイバー」を労働力とする近未来。急増する「レイバー犯罪」に対応するために新設された「警視庁特車二課」の活躍を描く、近未来ロボットSF。

  • ロボットものながら女性が主人公
  • 警察VS犯罪集団という非戦争モノ
  • 魅力的なニュータイプの悪役
  • 洗練されたデザインの主役メカ「イングラム」

など、他のロボット漫画にはない数々の魅力が詰まっています。

何よりSFロボット漫画が、少年サンデーというメジャー誌で22巻という巻数になるまで連載が続いた、という事実がそのおもしろさの何よりの証左。

ゆうきまさみさんの絵柄とも相まって、今読んでも決して古さを感じさせない名作です。イングラムVSグリフォンの最終決戦は、ロボット漫画史に残る迫力

七夕の国

「寄生獣」でブレイクした、岩明均氏のSF漫画「七夕の国」全4巻。

「寄生獣」はSFか?というのは議論の別れるところだと思いますが、「七夕の国」はまごうかたなきSFですよね。

「物に小さな穴を開ける」といった、役に立たない超能力を持つ青年・南丸。実はその超能力にはルーツがあり、彼の通う大学の教授失踪にも関連が。

やがて世界をゆるがす大きな事件が起こり、それは南丸に縁のある一族と関係がー、という伝奇・ミステリー要素の強いSFです。

全4巻という短めの巻数の中に、歴史・ミステリー・ホラー要素を詰め込み、なおかつその物語の背後に無限の宇宙を感じさせる作品。岩明均氏のスゴさを感じずにはいられません。

寄生獣は怖そうだからちょっと…という方は、是非「七夕の国」からチャレンジしてみてください。

アップルシード

士郎正宗さんの「アップルシード」全4巻+α。

非核大戦後、バイオロイド(人造人間)が統治する都市「オリュンポス」にてポリスとして活動する、人間・デュナンとサイボーグ・ブリアレオスのコンビを描く近未来SF

リアリティのあるSF設定・アクションや緻密な描き込みも魅力ですが、SF感あふれるストーリーも「アップルシード」の真骨頂。

オリュンポスの管理コンピュータ「ガイア」とバイオロイド達。ともに人間の幸福を目指す存在だが考え方が相反し、ガイアがバイオロイドを排除しようと武力行使を始める、という2巻「プロメテウスの解放」が最高に面白い

なお「アップルシード」は全体としては残念ながら未完ですが、各巻の話はそれぞれで完結しています。

初出は1985年ということで古典の領域に入りつつも、今読んでも古さを感じさせない魅力を持つSF漫画。読むとSF観が変わる作品です。

仙術超攻殻ORION

同じく士郎正宗さんの「仙術超攻殻ORION」。アジアンテイストあふれるオリエンタル・ファンタジー・SFです。こちらは全1巻で完結済み。

大銀河人民帝国の蛇目博士は、人々の諸悪業欲を九尾九頭竜(クビクトゥルー)=ヤマタノオロチに封じる計画を発動。

しかしその起動式が邪神を召喚してうことを知った法師・フゼンは、娘・セスカの体に式の一部を封印。それを取り戻さんとする蛇目と争ううちに、暗黒神スサノオを呼び出してしまう…。

…というファンタジーにしてSFチックな物語が、士郎正宗氏らしい緻密にしてコミカルな筆致で、豪快に展開されていきます。神話ベースな物語ですが、要所要所に埋め込まれたSF要素が心をくすぐります。

オリジナルは1991年刊行で結構古めの作品ですが、時代に左右されない魅力を持つ一品。今読んでも面白いです。

なおカバーの中央にいる女の子(セスカ)は、劇中では悪役的な立ち回り。ヒーローは彼女の下にいる巨大な頭・スサノオだったりする。

ベントラーベントラー

野村亮馬さんの「ベントラーベントラー」全3巻。

宇宙人が「外星人」と呼ばれ一般化した社会において、外星人絡みのトラブル処理にあたる警備課の女性(すみちゃん)と奇妙な宇宙人・クタム君を描くコメディSF

飄々として何事も深く考えないすみちゃんと、高度な知能を持ちながらボケ倒すクタム君のゆるい掛け合いに、思わず笑いがこぼれます。クタム君の小憎たらしさも、読むうちにクセになる(笑)。

その笑いの下敷きとなっているのが、さりげなく描かれる本格的なSF観。そしてひたすら続くかと思われたゆるやかな日常は、ラストで驚愕の展開を迎える―!

これが良い意味でビックリ展開。このラストのおかげで、忘れられないSF作品となりました。野村亮馬さんのSFはやっぱり面白い!

バタフライ・ストレージ

安堂維子里さんの「バタフライ・ストレージ」全4巻。

人が死ぬとその肉体は瞬時に朽ち果て、魂は記憶を保持したまま「蝶」となる世界。

妹の蝶を奪ったテロリストを探し、蝶に絡む犯罪に立ち向かう特殊部隊の一員となった主人公を描くSF漫画。

独特のSF世界観を背景に、主人公・百士はじめ、蝶を管理する「死局」特殊捕蝶班が展開するハードなアクションが見応えあり。

同時に、それぞれ暗部を抱えたキャラクターたちから醸し出されるダークな雰囲気も、サスペンス感があって◎。

2巻で徐々にその世界観があきらかになり、盛り上がってきた「バタフライ・ストレージ」でしたが、掲載誌の休刊に伴い一時完結。

その世界観を引き継ぐ『死局特殊蝶犯罪対策室「特蝶」』が、ヤングキングアワーズ誌にて連載中です。→全2巻で完結しました。

宇宙のプロフィル

こがたくうさんの「宇宙のプロフィル」全1巻。ファンタジック、シリアス、ミステリー風作品など、多彩なSF漫画5編を収録したオムニバスです。

奇妙な生物と共に、高さ3000mを超える巨木に挑む少年の冒険を描く「エルキドの巨木」。

宇宙船内の異星人少女と、夢の中で心がシンクロする女子高生を描いた「京子の夢」。

地球と月を結ぶ定期船の中で起きたトラブルと、その過酷な結末を描く「小さな彗星」。

などなど、SF好きなら「こういうSF漫画が読みたかった!」と思う、魅力的な作品の数々。短編ながらも、壮大な宇宙を感じさせるSF観の表現力が素晴らしい。バラエティ豊かなSF作品群を楽しめる漫画です。

70億の針

多田乃伸明さんの「70億の針」全4巻。

ヘッドホンで周囲との接触を断つ女子高生・ヒカルは、地球外生命体「テンガイ」の不手際で肉体を失い、彼と一体化してしまう。

そしてテンガイと敵対する災いの渦・メイルシュトロームと、図らずも戦うことに―。

という、出だしもろ「ウルトラマン」なSF漫画「70億の針」。宇宙人と合体してしまった主人公が、イヤイヤ敵と戦いながらも、その殻を破って成長していく様が心に残る、SF漫画の隠れた名作。

物語の中で描かれる人と人とのつながりやヒカル自身の変化が、爽やかな読後感を与えてくれる、青春SFとでも呼ぶべき漫画です。

彼方のアストラ

篠原健太さんの「彼方のアストラ」全5巻。

突如、宇宙空間に放り出された少年少女たちが、宇宙船アストラ号で自給自足のサバイバルをしながら、故郷への帰還をめざすSF漫画。

バツグンのコメディセンスに笑いつつも、主人公たちが立ち寄る惑星で繰り広げられる、テンポの良いサバイバルに引き込まれる作品

しかし「彼方のアストラ」、単なるサバイバルSFではありません。

  • 少年少女たちを宇宙空間に放り出さんとする、謎の光球
  • 仲間の中に存在する「刺客」
  • 世界全体に関わる、秘められた謎

といったサスペンス要素がてんこもり。そして綿密に張られた伏線と、その回収はお見事

全5巻という締まった巻数に、冒険・SF・サバイバル・青春を詰め込んできっちりと完結させた、秀作SFです。

※「彼方のアストラ」はSFなのか?という議論があったようですが、個人的にはSFジャンルに分類される漫画だと考えています。だって…どうみてもSFじゃん?

百万畳ラビリンス

知らぬ間に、謎の巨大構造物の中に閉じ込めらた礼香と庸子。

ゲームのバグ探しをしている二人は、その知識と経験をたよりに、ゲームそのもののような世界からの脱出を試みる―。

といったゲームテイスト満載のSF、たかみちさんの「百万畳ラビリンス」全2巻。

ゲームを彷彿とさせる空間の描き方や、要素・世界のルールがそこかしこに散りばめられ、ゲーム好きならば一度は迷い込んでみたい世界が描かれます。

しかしそこでは危険も隣り合わせ。実際のゲームとは違い、ゲームオーバーになれば人生終了の可能性も。

ゲームっぽいゆるさの中にも、どこか緊張感が漂う世界観に、意外な怖さ・不気味さを感じます。

スキエンティア

戸田誠二さんの「スキエンティア」全1巻。

生きる情熱を持たない女性。彼女は体の不自由な老女からの、「3ヶ月だけ体をレンタルしたい」という要望に応える。

脊髄に埋め込まれたコントローラーで体を操作される彼女は、パワーあふれる老女の生き方に圧倒され、やがてその心に変化が…。

以上は「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、冒頭作「ボディレンタル」のあらすじ。

以降、「科学の女神」をその頂にいだく「スキエンティアタワー」の下で、普通の人々の生活に少しSF要素をプラスした物語が展開されます。

明るい話からも暗い話からも感じるのは「生きること」の意味。そしてその中でふと訪れる、日常に光射すような瞬間が印象に残る、SFオムニバスです。

三文未来の家庭訪問 庄司創短編集

庄司創さんのSF短編集「三文未来の家庭訪問」全1巻。表題作「三文未来の家庭訪問」他、「辺獄にて」「パンサラッサ連れ行く」の計3編を収録。

「三文未来の~」では、遺伝子デザインにより「出産可能な男児」として学校生活をおくる少年と、彼を立派な納税者にするべく生活をサポートする家庭相談員・カノセさんの奮闘が描かれます。

優秀な納税者を育てることで相談員の年金がアップする仕組みや、男性性の発展を求める思想など、現在よりも少し「豊かな未来」。

さて、そこは果たしてユートピアなのか?トランスジェンダーをSF設定に絡める、庄司創さんらしい世界観がユニーク

美しい人生の完結を目的として、宇宙人によって死の間際に地獄をループさせられる男性を描いた「辺獄にて」も、ドラマティックで面白い。よくこんな話思いつくね(笑)。

となりのロボット

「わたしはロボットです。今はだいたい 人と同じことができます」

という女子高生型ロボット・ヒロのモノローグから始まる、西UKOさんの「となりのロボット」全1巻。

ヒロと、彼女のことを恋愛対象として好きな女子高生・チカ。二人を中心に描かれる百合テイストな物語です。

本筋としては恋愛なのですが、本記事で取り上げたのは、作中の随所に見えるSF表現が秀逸だから。

半自律的に社会で生活しているロボットであるヒロ。彼女の細かい挙動やバックアップする研究者たちの行動、そして彼女の存在目的など、近未来的なリアルさにSF心をくすぐられます。

プログラムにより、チカの思いを好意的に受け止めるヒロ。一方、ヒロの笑顔が計算によるものとわかりながらも、彼女に気持ちを寄せずにはいられないヒロ。

百合恋愛と密接に絡んだSF要素は、不思議な感覚。ファンからの評価も高い一作です。

火の鳥

「火の鳥」は複数の出版社から発行されていますが、こちらは講談社・手塚治虫文庫全集全11巻(他、手塚治虫漫画全集版なども有り)。

「おすすめのSF漫画」という括りで紹介するには有名すぎて少し気後れしてしまいますが、SF漫画紹介としては外せない作品です。

  • 宇宙船内で起こった殺人事件とその真実を描いた「宇宙編」
  • 過去と未来が交錯する長編「太陽編」
  • クローン人間の殺し合いを画策したテレビマン、その業を描いた「生命編」
  • 罪を背負って無限の時間を生きる人間を描いた「異形編」

などなど、不死の鳥「火の鳥」を絡めた多彩なSF展開が描かれる物語

各作品は単体のSF漫画としても、また「火の鳥」という大長編の一部としても楽しめる作り。個人的には「異形編」(9巻収録)と「太陽編」が好きです。

地底旅行

倉薗紀彦さんの「地底旅行」全4巻。ジュール・ヴェルヌ原作の邦題同名作をコミカライズした作品です。

舞台は19世紀。青年アクセル、その叔父リーデンブロック教授、屈強・寡黙な現地ガイド・ハンスの三人。彼らが16世紀の錬金術師、アルヌ・サクヌッセンムの暗号をたよりに、アイスランドより地球の中心を目指す冒険譚

いいね!倉薗氏の作画、ものすごく雰囲気があって良いです。太陽光が届かない地底へ、ただひたすら降りる旅。暗闇の恐怖、新たな発見、広がる不思議な空間…。「空想科学」の魅力が詰まっています

物語のキーパーソンである、リーデンブロック教授のキャラクターも魅力的。破天荒なようでいて実に人間味があり、その躍動から目が離せません。これもまたSF。

7SEEDS

巨大隕石衝突の予想により、絶滅の危機に陥った人類。7人✕5組(春・夏A・夏B・秋・冬)の男女を冷凍保存し、種の存続を図る「7SEEDS」計画を発動する。

そして文明が滅びた後の世界で目覚めた彼らは、環境の変化に戸惑いつつも、生き残りをかけたサバイバルを展開するー。

2001年から長期連載を続け、全35巻で完結した田村由美さんのSF漫画「7SEEDS」。連載は「月刊フラワーズ」(※連載初期は「別冊少女コミック」)なのですが、連載ラインナップを見ると7SEEDS、ちょっと毛色が違いますね(笑)。

にもかかわらず、長期連載で高い人気を保っているのがスゴイ。SF設定はもちろん、それを活かした緊迫の人間ドラマ・サスペンスから、目が離せない!

2017年にめでたく大団円を迎えたので、ぜひ一気読みしてみてください。

ブラックマジック

「アップルシード」「攻殻機動隊」で有名な、士郎正宗さんの「ブラックマジック」全1巻。

金星を統治する巨大コンピュータの末娘であり、強大な力を持つ魔法使いデュナ・テュフォン。その戦いを描いた、士郎正宗の初期作品です。

オムニバス的に展開される物語の中の一つとして、士郎正宗氏が監督をしたアニメ作品「ブラックマジック M-66」の原型である「ブービートラップ」も収録。

軍の制御を離れて暴走する、人型機動兵器「マリオ」。それを制止するべく、決死の戦いを挑む特殊部隊。

オフィスビルという閉鎖空間で、彼らは狂気の戦闘マシーンを止めることができるのか?という短編。

ビルの空調を調整して温度差を作り、マリオの移動階を誘導したり、照明のオンオフでセンサーを潰したり、といった、SF要素とミリタリー描写が融合した、士郎正宗作品らしい緻密なSFアクションが楽しめる作品です。

なおアニメ「ブラックマジック M-66」は、動画サイトで視聴可能。

「ブラックマジック M-66」 | バンダイチャンネル

士郎正宗氏が動きにこだわったために作画枚数が増えに増え、発売も延期に延期を重ねたという、伝説的な作品。1987年の作品ですが、今見ても面白いです。

コドク・エクスペリメント

星野之宣さんの「コドク・エクスペリメント」、文庫版全3巻。

星野之宣さんは多くのSF漫画を発表していますが、その中からアクション要素の高い「コドク・エクスペリメント」をご紹介。

「コドク」は壺の中で毒虫を戦わせ、その中から最強の毒を作りだす「蠱毒」のこと。その蠱毒のごとく、閉鎖された宇宙船内で戦いを繰り広げる、人間と生物兵器たち。生き残るのは果たして?

ハリウッド映画のようにテンポよく展開される物語に、一気読み必至。主人公たちの絶望的ともいえる、生き残りをかけた戦いに思わず息を呑みます。

星野氏のSF漫画としては他に、恐竜世界でのサバイバルを描いた「ブルーホール」「ブルー・ワールド」もオススメ。

光の王国

菅原雅雪さんの「光の王国」全2巻。

突如世界の夜空から暗闇が消え、人々の目には美しい光が映るように。そして「メッセージ」を受けた人々は、ある公園を目指して歩みを進める。

その一人、虐待を受けていた少年・ワタルは、その場所で運命的な邂逅を果たす―。

異星文明とのコンタクトを題材にしたSF漫画。宇宙人の目を通して「人間」の本質、そして可能性を描きます

広大な宇宙、そしてちっぽけな人間を再認識できる、全2巻ながらスケールの大きいSF作品。

MOONLIGHT MILE

既刊23巻発売中ですが、2011年10月より休載中、太田垣康男さんの「MOONLIGHT MILE」。

主人公は日本人・猿渡吾郎と、アメリカ軍人・ロストマン。天才クライマーでもある二人が、かたやBS(ビルディング・スペシャリスト)として、かたや米国宇宙軍の軍人として、それぞれ月を目指す、本格ハードSF宇宙開発漫画。

SFエンターテインメントも交えながら、人類が月面開発へ向かって着実に歩みを進めてゆく様が描かれる、まさに「MOONLIGHT MILE」。圧巻のSF描写で、1巻から一気にその世界に引き込まれます。

一昔前だったら、宇宙開発におけるアメリカの競争相手はソ連(ロシア)だったのですが、本作ではそれが中国であることが時代を感じさせます。アメリカのスターファイターVS中国初の有人宇宙船にして宇宙戦闘機である「天龍」の戦いはシビレる。

なお月面への道のりを描く過程は、第一部として完結。第二部からは、発展を遂げた月面の都市「ルナネクサス」での、新たな物語が展開されます。

が、現在は太田垣康男氏がガンダム漫画「サンダーボルト」を執筆していることもあり、休載中…。復活が待たれます。

Spirit of Wonder

昭和61年から平成7年にかけてモーニング・アフタヌーン誌に掲載された、鶴田謙二氏のSF作品を収録した短編集「Spirit of Wonder」。

絵柄はちょっと年代を感じさせますが、それもまた味。どの話もほのぼのとして楽しく読めます。

何より、鶴田氏独特の肉感的なヒロインたちが魅力的。鶴田作品の代表的キャラクター「チャイナさん」を描く、チャイナさんシリーズ3作も収録

笠辺哲 短編マンガ集 バニーズ

未来予知が可能な「精神波検出装置」の被験体となった男。彼が実験の末に見た「バニーズ」とは?(「バニーズ」)

寒冷化した世界。タイムトンネルとなったロッカーを通して、寒冷化前の世界と「貿易」をする科学者。時空を超えた取引の結末は―(「ロッカー貿易」)

などのSF短編を収録した、笠辺哲さんの「短編マンガ集 バニーズ」。笑えるようで、笑えないようで、やっぱり少し笑えるかもしれない。ゆる~いSF中心の9短編を収録

星のポン子と豆腐屋れい子

「星のポン子と豆腐屋れい子」全1巻。豆腐屋の姉弟と、宇宙からきた不思議なセールスウーマン「ポン子」の交流を、ほっこり描いたSF漫画。

…原作:小原愼司・作画:トニーたけざき、な時点で「ほっこり」してるわけが無い(笑)。

予備知識を持たずに読んだ方が絶対面白いので、あえて詳細には触れません。が、「表紙詐欺かよ!」と叫ばずにはいられない、愉快なSF漫画です。

まとめ

以上、「SF漫画好きにオススメ!読み応えのあるSF漫画まとめ」でした。

未来へ、宇宙へ、異次元へ。SF漫画は現実世界を生きる私達を一気に夢の世界へ連れて行ってくれます。

面白いSF漫画が読めるということはホントに幸せですね。

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