漫画『AIの遺電子 Blue Age』ーAIと共生する未来のSFヒューマン・ドラマ

AIの革新的進歩を皮切りに、やがて人型AI「ヒューマノイド」と人類が共生するようになった未来。医師・須堂光は、医療の最前線で何を見る?

山田胡瓜さんの『AIの遺電子 Blue Age』。『AIの遺電子(あいのいでんし)』シリーズの主人公・須堂光の研修医時代を描く、SFヒューマン・ドラマ。前作未読でも物語を楽しめる構成となっています。

連載は秋田書店別冊少年チャンピオン。2022年1月現在、単行本1~3巻が刊行されています。

漫画『AIの遺電子 Blue Age』感想・レビュー

概要

『AIの遺電子 Blue Age』は、『AIの遺電子』『AIの遺電子 RED QUEEN』に続く、シリーズ三作目。時系列としては

  1. 『AIの遺電子 Blue Age』(本作)
  2. 『AIの遺電子』(無印)
  3. 『AIの遺電子 RED QUEEN』

という流れ。『AIの遺電子』(無印)では開業医となっている主人公・須堂光。その研修医時代と、彼が関わる人々の姿が、現在の延長線上にある未来世界を舞台に、オムニバス的に描かれていきます。

なお下の項目で紹介する世界観のほか、人間の脳に直接情報を入力するインプラント技術が発達している、などの状況を理解していれば、本作『Blue Age』から読んでも問題無い作りになっています。

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『AIの遺電子 Blue Age』の世界観

『AIの遺電子 Blue Age』の時代は、22世紀(2175年~)。AIの革新的な発達が起こり「超AI」が誕生。その支援を受け「ヒトの心を持つAI=ヒューマノイド」が登場。

「身体パーツの替えが効く」「出産できない」などの違いはあれど、人間とほぼ同等の能力や寿命を持つヒューマノイド。人権を得て人間と共生、日本でも人口の1/10がヒューマノイドとなっている、というのが世界観。

なお劇中では人間・ヒューマノイドを「目」で描き分けている、というのがポイント。人間の瞳孔は正円、ヒューマノイドの瞳孔は楕円形で、それを見分ける事で各人物の立ち位置が把握できる構造になっています。

未来の医療系ヒューマンドラマ

医療ドラマは数多くありますが、『AIの遺電子 Blue Age』ではそれらにSF要素を追加。

  • 無脳症で生まれてくる赤ちゃんに、ヒューマノイドの電脳を移植するべきか?その時、心はどこに宿るのか?(1巻収録『2175年の決断』)
  • 病院関係者の飲み会。そこに参加した女性ヒューマノイドは、カルト思想を興奮気味にまくし立てる。その様子を違和感を覚えた須堂は…(1~2巻収録『許されざる者』前・後編)
  • 病院内で職員のサポートや評価をするAI。自分の評価が落ちたことをきっかけに、至るところにある「AIの目」が気になり始めた看護師は…(2巻第7話『パノプティコン』)

など、「未来の医療系ヒューマンドラマ」といったテイストを持つ、ユニークなエピソードの数々が展開されます。

時にコミカル、時にシリアスに展開される、それらの物語。AIと日常的に関わる生活の中で、須堂光や同僚、または医療を受ける立場の人々が、諸問題に対してどのように向き合い決断するのか?が見どころ。

想像を促す結末の数々

科学・医学など各種テクノロジーが発達。特に目覚ましい発展を遂げた「超AI」は、人類に多大な恩恵を。またヒューマノイドを受け入れたことで、社会はより豊かな方向へ。

と同時にそれは新たな「問題」を生み出し、価値観・倫理観のアップデートが必要に。中にはライフデータから作られたアバターが、本人の死後もその権利を認められる「デジタルミイラ」なんていう概念も。

さてそれらをどのように解決するべきか?(またはしないのか?)が、『AIの遺電子 Blue Age』の面白み。

答えは決してひとつでは無い。むしろ答えなど無いのかもしれない。須堂ら登場人物は劇中で一定の「解答」を出しますが、時にモヤモヤが残ったりも。

その様子を眺めながら、「自分だったらどうするだろう?」と考えざるを得なくなる展開。SF要素を散りばめながらもリアリティにあふれ、不思議なヴァーチャル感があります。

さて物語は今から約150年後の世界ですが、現実は今なお加速中。須堂らが悩んでいることも、そう遠からず我が身となる、のかもしれません。

まとめ

以上、山田胡瓜さんの漫画『AIの遺電子 Blue Age』の感想・レビューでした。本作はシリーズ3作目ですが、本文中でも触れたように本作から読み始めても充分楽しめると思います。

また作中には作者自身によるコラムが随所に挿入。AIやその他科学知識について、より知見を深められるようになっています。SF好き・ヒューマンドラマ好きにオススメの一作です。

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