手頃な巻数で手軽に読めて充実の読後感がある、全3巻完結の面白い漫画まとめです。随時更新予定。
全3巻完結漫画リスト
リウーを待ちながら
富士の麓の地方都市を襲った、伝染病「ペスト」によるアウトブレイク。
奔走する医師たち、だが死者は増え続け、収束の気配を見せない。果たして致死率100%の感染症に対抗する術はあるのか?
良質な医療サスペンスに定評のある、朱戸アオさんの『リウーを待ちながら』。もし日本で、致死性の感染症によるアウトブレイクが発生したら…?
その結果起こるであろう恐怖、そして悲哀が、冷静な視点で描かれていきます。クオリティの高い医療ヒューマン・ドラマ。
ベントラーベントラー
野村亮馬さんのコメディSF『ベントラーベントラー』。
宇宙人と人類が共存する社会。宇宙人絡みのトラブル処理にあたる公務員女性・すみちゃんと奇妙な宇宙人・クタム君、二人の活躍(?)が描かれます。
ハイスペックな知能・身体能力を持ちながら、なぜかすみちゃんにお茶目に絡んでいくクタム君が、小憎たらしくも面白い。ゆるい掛け合いと本格的SF描写のギャップが魅力のSF漫画…
…なのですが、すみちゃんに起こった「ある異変」と、その顛末を描く最終二話がとにかく強烈なインパクト。それまでとは一変する展開に度肝を抜かれます。
この世界の片隅に
第二次世界大戦真っ只中の昭和初期。絵が得意な女性・浦野すずは、結婚のため広島から呉へ。
生活物資が次第に不足していく中、ささやかな楽しみを見つけながら、夫・周作とその家族と共に生きる。そして戦局は進み、広島には「あの日」が―。
2016年後半に話題となった同名映画の原作、こうの史代さんの『この世界の片隅に』全3巻。
「戦時下という非日常」が日常となった世界を、作者ならではの優しい筆致でユーモアたっぷりに描いた作品。現代とは異なる世俗・価値観の表現にも注目。
うずまき
町のそこかしこで謎の「渦巻き」が発生。それは人々の身体や精神にも影響を及ぼし始め、やがて町全体が「うずまきの恐怖」に覆われる…。
伊藤潤二さんの傑作ホラー漫画『うずまき』全3巻。
メジャー誌に掲載、映画化もされ、作者の名前を一躍有名にした出世作。ホラーとしての怖さ・気持ち悪さがありながら、同時にある種の「美しさ」を感じるのが不思議。
これを読んだあとは、身の回りの渦巻き模様が気になって仕方なくなる…?ヒロインの美麗さにも注目です。
adabana 徒花
雪の降る小さな町で起こった、猟奇的な女子高生バラバラ殺人事件。自主してきたのは、被害者の「親友」である同級生少女だった。
徐々に明らかになっていく事件のあらまし。しかし彼女を担当する弁護士は、どこか奇妙な点を感じ…?
NONさんの『adabana 徒花』上中下巻。「犯人」である女子高生を中心に、凄惨な事件の顛末を全3巻で描きあげる、シリアスなサスペンス作品です。
とにかくNONさんの美麗な作画で構成される、ゾクゾクするような雰囲気が素晴らしい!謎多き事件の真相が明らかになっていく過程も読み応えあり。さて、本当の「悪」は誰なのか…?
うたかたダイアログ
金髪の片野くんと、クールで天然ボケな宇多川さん。
高校生二人がバイト先のドラッグストアを中心に笑いを振りまく、稲井カオルさんのラブコメ漫画『うたかたダイアログ』全3巻。
とにかく会話センスが素晴らしい一作。ノンストップで繰り広げられる滑らかなボケとツッコミの応酬が、途切れることなく笑いを生み出します。
片野くんの片思いは成就するのか、気のない素振りの宇多川さんの胸中やいかに、というラブ要素も気になるところ。カラッとした雰囲気で男子にもオススメ。
ちづかマップ
旧「ちづかマップ」全1巻を下敷きにリニューアルされた、衿沢世衣子さんの『ちづかマップ』全3巻。
古地図が大好きな女子高生・鹿子木ちづかが、地図を片手に東京や地方の名所を歩き回る、ゆるふわな街の魅力再発見漫画です。
ポップで愉快なキャラクターたちが、東京や日本の名所を活き活きと探検する様に、「おでかけしてみようか」気分を刺激されます。
作中に散りばめられた街・歴史情報もためになる、楽しいお散歩漫画。
おとうふ次元
現代世界で遭難したタイム・トラベラー「ジン・トライ」。未来からの救助を待つ彼がとった行動は…何もしないこと!
過去への干渉を極力避けるジンだが、現代には未来を変えてしまうほどの危険がいっぱいで―?
「バタフライ・エフェクト」を逆手にとったSFコメディ漫画『おとうふ次元』。何気ない日常に転がる時空改変の芽に、ジンが慌てふためく様子におかしみが。
しかしその行動を見ているうちに、私達の「当たり前」も見方を変えると実はちょっと不思議なことだと気付かされたり。コメディとしてもSFとしても秀逸な全3巻。
星明かりグラフィクス
超潔癖でコミュ障だが才能あふれる星(せい)と、センスは普通だが異様にコミュ力に長けた明里(あかり)。
二人の芸大生がデザインユニット「ほしあかり」を結成、挫折しながらも高みを目指していく様を描くアート系青春グラフィティ。山本和音さんの『星明かりグラフィクス』。
個性的な学生たちが集う「芸大」という尖った空間を舞台に、アート+青春+お仕事と多角的に展開される物語。
しかし学生と社会人という狭間で、徐々にその立ち位置が揺れてくる二人。その道はやがて…?全3巻に詰まった彼女たちの生き様が刺さります。
ブルー・ワールド
太古の時代へと続く謎の穴『ブルー・ホール』を通り、1億4500万年前のジュラ紀世界に足を踏み入れた英米の合同調査隊。
しかしトラブルによりブルー・ホールが消滅。人々はわずかな帰還の可能性にかけ、恐竜世界でのサバイバルに突入するが…?
星野之宣さんの『ブルー・ワールド』新装版全3巻。人類は恐竜世界で生き延びることができるのか?という、SFファン・恐竜ファンならば誰もが描く夢を見事に漫画化。
「恐竜VS人間」のリアルなファイトが大迫力で描かれます。緊迫のSFサバイバル。
一変世界
不思議な森の神殿に住む大巫女見習いの少女・プーリョ。修行を続けるうちに、やがて失踪した先代の秘密に迫り…。
明治カナ子さんの漫画『一変世界』。ふんわり優しい雰囲気に包まれた、ほのぼのファンタジー…
…と思いきや、徐々に世界の裏の姿があらわに。森の魔物や妖しげな賢者の影がちらつき、果たしてプーリョの進む道に待つのは闇か光か?
読み手の心を侵食していくようなひっそり・どんよりと漂う闇が魅力のダーク・ファンタジー。
大人の事情で全3巻となったようですが、特に気にならない面白さがあります。
水曜日のトリップランチ
毎週水曜日、僕は「魔法使い」の部屋に行く―。
会社員・岸田くんと年上の女性博士・十和(とわ)さんのランチを介した爽やかな恋愛模様を描く、たじまことさんの『水曜日のトリップランチ』。
一流のVR研究者だけど生活全般、特に料理関係はからっきしな十和さん。
そんな彼女のために「ランチ係」に任命された岸田くんが、おいしいご飯を作ってほっこり、というグルメ・ラブコメ漫画。
一緒に食事をすれば気持ちがグッと近づくのは世の常。が、岸田くんにそのつもりはあっても、十和さんはちょっとニブくって…?
超嗅覚探偵NEZ
刑事・神保は、犬以上の超人的な嗅覚でペット探偵となった元同級生・松下操に再会。
その能力を捜査に利用したい上司の命令で、彼に協力を依頼するが、松下は大の警察嫌いで―。
那州雪絵さんの『超嗅覚探偵NEZ』。「超人的な嗅覚」という稀有な能力を描く、ある種の超能力漫画。
「デビルイヤーとデビルアイがあってなぜデビルノーズが無い!」と憤る(笑)、ちょっと変わった探偵役・松下がユニーク。
コメディ色強めかと思いきや、予想外に本格的なミステリー要素も面白い全3巻です。
I.C.U.
職を失った物理学者・磯呂井心(イソロイシン)は、かつての友人で除霊師である或木仁(アルギニン)の下で働くことに。
しかし霊の見えないニンは、助けを求めてきた霊媒体質の少女・アミノをスカウトし、チームを結成。除霊業を本格化させるが…?
『日直番長』のタイム涼介氏による、異色の心霊漫画『I.C.U.』。絵柄は独特なのですが、心霊現象の描写が真に迫っていて結構怖い!
タイム涼介氏特有の軽妙なセリフ回しがクセになる、オカルト漫画の隠れた秀作。
白い街の夜たち
服飾系の専門学校に通う文子(あやこ)は、トルコ料理店でバイトを始めることに。
オーナー・ホジャさん、従業員兼ベリーダンサーのざくろに囲まれ、次第にトルコ文化になじんでいく。
先が見えずに苦しい気持ちを抱いていた彼女は、やがて自分の進む道を見つけ―。
ターキッシュな雰囲気あふれるコミック、市川ラクさんの『白い街の夜たち』。
食文化、ベリーダンス、イスラムの戒律…。日本人が普段ふれる機会の少ないトルコ文化、そしてその中で描かれる一人の女性の成長が魅力の異文化漫画です。
サイコろまんちか
対人スキルゼロだが、心理学に異様に詳しい女子高生・伊東。
彼女が幼馴染みのイケメン・阿部や、心理学研究部の面々と共に、学内の相談事・困り事を心理学で解決?という心理学コメディ。小出もと貴さんの『サイコろまんちか』。
変態チックな伊東や、彼女にいいように言いくるめられる阿部たちに、大笑い必至。
しかし作中で解説される「心理学」は、いずれもマジメなものばかり。意外と実生活に活かせそう?読み始めると笑いが止まらない、名作コメディ漫画です。
東京物語
時は昭和初期。帝都東京の出版社に勤める桧前平介は、とある宝石盗難事件を通じて謎の青年・牧野草二郎と出会う。
下町の人々から「草ちゃん」と慕われる草二郎と、親交を深めていく平介。しかし彼には何やら不思議な力があり、その過去にも秘密が…。
かつて徳間書店の「アニメージュ」に連載されていた漫画、ふくやまけいこさんの『東京物語』文庫版全3巻。
ふくやまけいこさんの柔らかな絵柄が魅力的な作品。昭和ロマン漂う東京の風景も、ほんわかレトロなミステリー・サスペンス。
草ちゃんの秘密に絡むアクション展開もあり、予想外のドキドキを感じます。
明日のない空
東大阪で定時制高校に通いながらハンドボールに熱意をもやす少年たちと、それを見守る少女の物語。塀内夏子さんの『明日のない空』。
決して恵まれているとは言えない環境の中、泥臭く生きていく彼らの姿。他のスポーツ漫画では決して読むことのできない濃密さ・躍動感を感じます。
ハンドボールに情熱を燃やす少年たちの熱さ、そして彼らを見守るヒロイン・瑤子の存在が素晴らしい。
決してマネしないでください。
工科医大で理論物理を専攻するバリバリの理系学生・掛田くん。学食のお姉さん・飯島さんに恋をするも、女性へのアプローチベタからあえなく撃沈。
しかしまずは仲良くなるところからはじめよう、と教授や仲間の協力を得て、飯島さんと一緒に楽しい実験を行うが―?
蛇蔵さんの『決してマネしないでください。』。
「スタントマンはなぜ炎にまかれても平気なのか?」「切れた蛍光灯を灯すにはどうすればいいのか?」といった疑問を、実際の科学実験や偉人の功績に絡めて解決しようとする過程が楽しい!
理論・理屈にもとづいたアプローチが納得の、笑って学べる理系コメディです。
BW(ビューティフルワールド) 麻雀星取伝説
麻雀勝負で「星」を100個集めると、なんでも願いが叶う世界。
星取り戦に巻き込まれた麻雀ド素人の高校生が、謎の女性・茜とともに巨大な敵に立ち向かっていくSF麻雀漫画。
志名坂高次さんの『BW(ビューティフルワールド) 麻雀星取伝説』。
…はい、ツッコミどころが沢山ありますね(笑)。
対戦相手が妖怪みたいな人間に憑依されていたり、坊主の一声で瞬時に妊娠したり、実は彼らの存在する世界が◯◯◯だったり、という破天荒な展開も実にバカバカしい。
ですが本格麻雀漫画『凍牌』も描く作者による麻雀描写は、真剣そのもの。シャレのわかる方に読んでいただきたい一品。
謎のあの店
著者・松本英子さんが、気になっていた「中身のよくわからないお店・サービス」に体当たり取材をする、というエッセイ・コミック『謎のあの店』全3巻。
飲食店の他、温泉・旅館・占い屋・前世療法・猛禽カフェなど、多彩な業種の「あの店」が登場。
「良かった」だけではなく、やっぱりしょぼかった、見た目通りひどかった、みたいな話も含まれるのが、正直でリアル。
店内描写が写実的で、自分が「あの店」を体験しているかのようなバーチャル感が味わえます。
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三等星のスピカ
脳天気な一年生キャッチャー。ボーイッシュな先輩マネージャー。背の低さを気にするピッチャー。その親戚の同級生女子…。
そんな少年少女たちの一年間が「ごく普通」に描かれる青春群像劇、イシノアヤさんの『三等星のスピカ』。
ドラマティックな出来事はないけれど、イシノアヤさんの風味ある線によって描かれる、朴訥とした学生たち。
この「ふつうに描かれる普通」が絶妙な心地よさ。不思議な没入感を感じさせてくれます。
まとめ
以上、「全3巻で完結するオススメの面白い漫画」でした。全3巻漫画を読み次第、随時追記予定。
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