漫画「三拍子の娘」―父に捨てられた三姉妹。その日常は意外に楽しい?

父に捨てられた娘たち、その悲惨な末路…

…とはまったく縁遠い、愉快な三姉妹のひょうひょうとした暮らしぶりをユーモラスに描く、町田メロメさんの「三拍子の娘」。オール2色カラーのコミックです。

2021年4月に第一巻が刊行た本作。連載はebookjapan(イーブックジャパン)のアプリ、という変わり種な「三拍子の娘」。しかしこれがなかなか読ませる漫画でした。

「三拍子の娘」感想

概要

「ピアノ弾きながら世界中を旅するんだ」

母の四十九日が終わった頃に、父から突拍子もない話を聞かされる折原家の長女・すみ。父はそのまま家と娘たちを捨て、失踪。残された三姉妹は伯母に引き取られる。

それから10年。社会人となった長女すみ・次女とら・高校生の三女ふじは、伯母の家を出て再び三姉妹だけで暮らすように。苦労が多そう、と思いきや、女三人の生活は存外楽しそうで…。

…という彼女たちの日常が、作者独特のイラスト風タッチ+赤を基調とした華やかな二色カラーで綴られていきます。

三姉妹の前向きなコミカル・ライフ

「母を亡くし、父親に捨てられる」という、重めの出だしで始まる「三拍子の娘」。第一話の序盤こそどんよりした空気が漂いますが、後半は楽しく?食卓を囲む三姉妹の姿が。

以降は彼女たちの、カラッと明るい生活模様が各話8Pのショート・ストーリー形式で描かれていきます。第二話では揃ってバッティングセンターでストレスを解消する、仲睦まじい三姉妹。

私たちってさあ… 親に捨てられたにしてはさあ… 楽しく… 暮らしてない!?

バットを振り回しながら現在の自分たちを顧みる彼女たち。ショッキングな前半のあとに続く前向きな言葉に、ほっこり。

町田メロメさんの魅力的な描写力

一家を支える大黒柱ながら不思議と楽天家な長女(28)。一見ギャル風だが天性の愛嬌でやり手営業マンな次女(22)。成績優秀な美少女(自覚あり)だがやや無気力な三女(18)。

そんな三人が時に現実と向き合い、時に妄想の世界に入って繰り広げる、日々の暮らしぶりが何とも面白い「三拍子の娘」。その魅力を支えるのが、作者・町田メロメさんの類まれなる描写力

イラストレーターでもある作者のサラリと親しみやすいタッチ、テンポの良いストーリー展開で読みやすい本作。しかし多彩な構図と巧みな表現力で「漫画」としても多くの見どころが。

すみが自分の人生を「サバンナに眠っているインパラの夢かもしれない」と夢想する第9話「インパラと木星」や、とらとふじが姉に黙ってマルセイバターサンドを食べ尽くす(笑)第10話「ベンド・ザ・ニー」などは、特にその表現力の豊かさを感じられる話。漫画好きならば繰り返し読みたくなる魅力があります。

父親の影が気になる…?

そんな折原家の物語。基本は笑ってほっこり、なのですが、時折ちらつくのは彼女たちを捨てた父親の影。音楽教師を生業とし、母を愛してはいたけれど、その死後に「父親をやる意味がわからない」とすみに言い放って家を去った彼。

独特の感性を持つ不思議な人物で、物語では悪役的な存在。ですが10年間音沙汰も無く、ささやかながらも自立した生活を送っているすみ・とら・ふじ三姉妹にとってはすでに「不要な存在」。

ですが終盤、その関係性に微妙な変化が…?

基本的には三姉妹のコミカル・ライフが楽しい「三拍子の娘」ですが、その変化が物語にどのような作用をもたらすのか。2巻以降が楽しみです。

まとめ

以上、町田メロメさんの漫画「三拍子の娘」感想でした。

各話は短いのですが、単行本全体としては230Pを超す大ボリュームで読み応え満点。オール2色カラーもインパクトがあります。

何より町田メロメさんの作画がとても魅力的な作品。ebookjapanサイトでも無料で試し読みができるので、ぜひその作風に触れてみてください。

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