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漫画『明日のない空』感想―ハンドボールと下町の青春!

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ハンドボール。ヨーロッパでは人気がありますが、日本ではどちらかと言えば、マイナーな部類に入るスポーツ(関係者の方、ごめんなさい)。

私も中学か高校の体育の授業で数回プレイしたぐらいで、サッカーや野球にくらべるとほとんど経験がありません。

本記事でご紹介する「明日のない空」は、スポーツ漫画に定評のある塀内夏子さんが、そんなハンドボールを題材に描いた漫画です。ビッグコミックスピリッツに2008年から2012年にかけて不定期連載され、全3巻が発売されています。

「明日のない空」レビュー

あらすじ

東大阪に住む才谷駿は、17歳で母と二人暮らし。父親が、幼い弟と妹を道連れに無理心中するという、暗い過去を持つ。精神が不安定な母を支えながら昼間は働き、夜は定時制高校に通う毎日を過ごす駿。

その隣に住むのは、同級生の古賀毅(こが・つよし)とその姉・瑤子(ようこ)。190cmを超える長身と、類まれなる身体能力を持つ毅は、駿と同じく定時制高校に通う。何かと駿を気遣う姉弟だが、彼らも父子家庭で生活保護を不正受給しているという問題を持つ。

苦しい生活を送る駿たちだが、一日の終わりに自分自身を取り戻し輝く時間が。それはハンドボール部の活動。

駿がパスを出し、毅が空中からゴールを決める。駿は願う。もっとハンドボールがしたい。ぼくらの空に明日は見えなくても―。

明日のない空 1巻塀内夏子:電書バト

重い設定とスポーツの躍動感

タイトルからしてちょっと暗めの漫画かな…と予想していましたが、想像以上の設定。「Jドリーム」はじめスポーツに真っ直ぐの塀内漫画を読んできたので、重すぎる出だしにびっくり。

その反面、というわけではないのですが、ハンドボールの躍動感が素晴らしい!小柄な駿と、後に全日本に招集されるほどの実力を持つ毅。そのまぶしいほどの輝きが印象的。

三人の若者によるドラマ

と同時に、駿・毅・瑤子の関係が素敵すぎて…。

重い苦しみを抱えながら、それでも前を向く駿。体に似合わない幼さで、駿を慕う毅。そして強気な性格で憎まれ口をたたきながらも、常に駿のことを気にかける瑤子。

三人がそれぞれ悩み、苦しみ、涙しながらも懸命に生きて、見せる笑顔。人間ドラマの魅力があります。

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最後の大会、そして結末

3巻で卒業を間近に控える駿と毅たち。しかし高校最後の大会と、毅が選ばれた高校選抜の試合日程が重なってしまう。

その時、駿が仲間たちと取った行動。そして結末。さわやかな青春もきっちり描かれ、あっという間の全3巻。短いながらも濃密な物語で、もっと彼らを見ていたい!と思わせる読後感でした。

本書のレビューを見ると、ハンドボールの描写はもうちょっと…といった意見もありました。確かにサッカーや野球ほど浸透していないスポーツなので、その醍醐味・おもしろさを伝えるという部分では物足りないぶ部があるかもしれません。

しかし全体を通してみると、スポーツ描写とドラマ部分のどちらも中途半端になることなく、それぞれの見どころを楽しめました。

特に印象的だったのは瑤子の存在感。「42.195のダフネ」(「塀内夏子短編集1」収録)の主人公・如月りかこに母性を足したような、「下町のお姉さん」的な魅力を持つヒロインでした。

まとめ

以上、漫画「明日のない空」全3巻の感想。また一つ好きな塀内漫画が増えました。

2017年4月現在、本作はKindle Unlimitedでも読めますので、加入されている方はぜひチェックしてみてください。

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