漫画「あかねさす柘榴の都」―スペイン・グラナダで紡がれる新たな”家族”の物語

母を亡くした日本人少年は、見知らぬ叔母を頼って1万km以上離れたスペインへ。そこで彼を待ち受けるものは―。

福浪優子さんの漫画『あかねさす柘榴(ざくろ)の都』。KADOKAWA『ハルタ』誌連載で、2021年11月現在、1巻が刊行中。少年が異国で送る新生活を訥々と描く、作者の初コミックです。

「あかねさす柘榴の都」感想・レビュー

あらすじ・概要

スペイン人の母を亡くした14歳の少年・夏樹は、1万1千km離れた母の故郷・グラナダへ。そこで彼を待ち受けるのは、長身で少し無愛想な母の妹・アルバ

彼女と共にピソ(シェアハウス)で暮らすことになった夏樹は、異国の地で新たな一歩を踏み出していく―。

…という漫画『あかねさす柘榴の都』の導入部。以降、夏樹がアルバと暮らしながら、見知らぬ土地で徐々に自分の居場所を見つけていく姿が描かれていきます。ちなみに”グラナダ”はスペイン語で「柘榴」の意を持つそう。

感想

身寄りを亡くして足もとのおぼつかない状態の夏樹。スペイン語は話せるけど、ともに暮らすのはほぼ面識の無い叔母・アルバやピソの面々。

異国の地でのワクワクするような!…とは程遠い、14歳の手探りの新生活が始まります。

ドラマティックというよりは、夏樹の目を通して描かれるグラナダの風情、といったテイストの強い『あかねさす柘榴の都』。青年誌にありがちな、「年上の叔母とのベッタリした交流」みたいな物語を期待すると、やや肩透かしを食うやもしれません。

が、意外に図太く生きる夏樹と、ぶっきらぼうながらも内心では彼のことを気にかけるアルバ。二人の間に流れる、ちょっと突き放すぐらいのカラッとした空気感が、「日本では無いどこか」の雰囲気とマッチしていてとても心地よい!

そして甥と叔母である二人が独特の距離感を形成していくなか、アルバはじめグラナダに住む人々との交流を通して、亡き母の面影をその地に見出していく夏樹。その姿や胸の内が、読むうちに心にジワジワと染み渡ってきます。

「家族」の楽しい思い出が、日本ではどうやら少なかったように見受けられる夏樹。スペインで新たな”家族”を得た彼はさて、どのように成長していくのか?じっくりと描かれる異国情緒に浸りながら、見守りたいところ。

まとめ

以上、福浪優子さんの漫画『あかねさす柘榴の都』の感想・レビューでした。情熱の国・スペインの片隅で静かに紡がれる、とても落ち着いた雰囲気の物語。じっくりと味わって読みたい作品です。

ところで夏樹は劇中で、アルバのことを「叔母さん」ではなく「アルバ」と名前で呼ぶのですが、こういう絶妙な距離感、好きだなぁ。

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