「第三惑星用心棒」―歌うアンドロイドは陽気なバウンサー

この記事は約5分で読めます。

これはバツグンにおもしろいSF漫画だ…!29世紀の地球を舞台に、「用心棒(バウンサー)」として活躍する女性型アンドロイドを描く、野村亮馬さんのフルカラーコミック「第三惑星用心棒」です。

ベントラーベントラー」「キヌ六」など、野村亮馬さんの主なSF漫画単行本は講談社からの出版ですが、本作「第三惑星用心棒」は自主制作漫画レーベル「馬頭図書」によるインディーズ。電子書籍オンリーで、現在はAmazonのKindle版のみが配信されているようです。

MATOW BOOKS
自主制作漫画レーベル「馬頭図書」のページです。既刊「インコンニウスの城砦」「第三惑星用心棒」(いずれもキンドル出版) 絵と文:野村亮馬

↑馬頭図書のWebサイトはこちら。

「第三惑星用心棒」1巻レビュー

世界観

「第三惑星用心棒」の舞台は、無政府・無国境状態ですでに人類の中心地ではなくなった、西暦2882年の地球。そこでは過去の紛争に投入された自動操縦のロボットたちが、「迷走兵器=ロストボーイズ」として闊歩。地球に居住する数少ない人間たちの障害となっていた。

それらを量子コンピューター「中央幹事=セントラル・コーディネーター」の命を受けて処理するのが、「用心棒=バウンサー」と呼ばれるロボットたち。「指示動物=ポインターズ」という人造動物とコンビを組み、迷走兵器を無力化するために世界を飛び回る…

というのが、「第三惑星用心棒」の主な世界観です。

第三惑星用心棒(1) (馬頭図書)野村亮馬:

アンドロイド・エルシー

やや殺伐としつつも、牧歌的な空気が漂う29世紀。主人公として活躍するのは、ルナコントロールズ社製のアンドロイド・LC610C8、通称「エルシー」(「LC」だから、エルシーね)。移動は自転車、トラベルギターでの弾き語りが大好きという、一風変わったアンドロイド。

もともとは27世紀に月面で接客業に就いていた、女性型コンパニオン・ロボットである彼女(※本作ではロボットとアンドロイドに厳密な区別は無いよう)。鳥(オニオオハシ)型のポインターズ・タミーとともに、中央幹事の指令を受けてロストボーイズに相対します。

なお「第三惑星用心棒」の世界では、エルシー以外にも複数のバウンサーが活動。その容姿はエルシーのような人間型とは限らず、ロボット兵士型・自走戦車型など、形態はさまざまです。

陽気な用心棒と迫力のアクション

本作の魅力は、何と行っても主人公・エルシーのユニークなキャラクター。

彼女と迷走兵器との戦闘は、予想以上にハードなもの。コントロールを失ったロストボーイからの、容赦ない攻撃。防御用のヘルメットを被り愛車(自転車)で対象への接近を試を試みるが…?思わず引き込まれる、スピーディに展開される迫力のアクション。

カッコイイ!…のですが、しかしエルシーの魅力は戦闘力だけにあらず。コンパニオン型のロボットという前身ゆえか、人々を明るく楽しませようとする、人間以上に人間くさい性格が、彼女の魅力の本質。

相棒のタミーとともに自転車で荒野を走り、出会った人からリクエストを受けてギターをかき鳴らす。ユーモアを持ち、常に笑顔を絶やさないその姿。その微笑ましさ、見ていて飽きません。戦闘中のエルシーと、青々とした世界で垣間見える陽気なエルシー。そのギャップに気づくと、もう彼女から目が離せない!

ちなみに高性能なアンドロイドである彼女にも一つ、「苦手なもの」があるのですが…、それは本編を読んでお確かめください。

絶妙なSF設定の提示

骨太なSF設定も「第三惑星用心棒」のおもしろさを支える要素のひとつ。しかし過大な説明に陥ることなく、最小限の表現で独特のSF世界を提示する、野村亮馬さんの手腕がスゴイ。

SF漫画って、作品によっては設定が複雑すぎるがゆえに、世界観への理解が追いつかない時があります。しかし野村亮馬さんは、ストーリーやキャラクターのセリフの中にキーワードをさり気なく忍ばせることによって、物語のテンポを崩すことなく作品の世界観を理解させるのが、実にウマイ。

同氏のファンタジー作品「インコンニウスの城砦」を読んだ時も感じたのですが、物語を読み進めていくと、自然にその方向性が見えてくるつくり。漫画としてのおもしろさを損なわず、それでいてSF世界の奥行きも含ませている。そのSF作品の醍醐味に、「SFって楽しい!」と思わずにはいられません。

キャラクターの設定や背景には複雑なものもあるのですが、それらは各話の終わりにあるオマケ的な補足説明で理解できるのも、わかりやすいです。

まとめ

以上、野村亮馬さんのSF漫画「第三惑星用心棒」1巻のレビューでした。

インディーズ作品ということで、一般商業誌とは一味ちがう、独特の雰囲気を持つ漫画。しかし読んでいくと、その世界にどっぷりハマり、そしてエルシーの次なる活躍が待ち遠しくなる、魅力的な作品です。

なお記事作成現在、本作は「Kindle Unlimited」の読み放題対象となっています。先述の「インコンニウスの城砦」も、同じく読み放題対象。Kindle Unlimitedは初回30日間は無料で読めるので、他の漫画と一緒にお得に読みたい、という方はKindle Unlimitedを利用してみてください。もちろん単行本の購入もオススメですよ。

Kindle Unlimited公式へ>>

※Kindle Unlimitedの対象は都度変更される場合があります。ご利用の際は本作が対象になっているかどうかご確認ください。

第三惑星用心棒・2巻発売!

第三惑星用心棒(2) (馬頭図書)野村亮馬:

1巻の刊行から約1年9ヶ月、「第三惑星用心棒」待望の第2巻が発売されました!今巻も1巻同様、2話を収録。ロストボーイとの戦闘、現地民との愉快な交流を存分に楽しめます。特に第4話でのエルシーのはっちゃけぶり、そしてアンドロイドたちとの興味深い会話は要注目!

コメント

タイトルとURLをコピーしました