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士郎正宗『攻殻機動隊』感想:世界に衝撃を与えた近未来SFアクション

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1991年の単行本で漫画ファンに、1995年の押井守監督によるアニメ映画化で世界に衝撃を与えた『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』。現在も新作アニメが展開される、人気のSF作品です。

本記事ではそのシリーズ原点である、士郎正宗氏による原作漫画『攻殻機動隊』をご紹介。なお『攻殻機動隊』は1巻(無印)・1.5巻・2巻の計3巻が刊行されていますが、ここでは内容的に完結している1巻を中心に記載しています。

『攻殻機動隊』感想・レビュー

あらすじ・概要

企業のネットが星を被い、電子や光が駆け巡っても 国家や民俗が消えてなくなる程情報化されていない近未来 アジアの一角に横たわる奇妙な企業集合体国 日本…

…というイントロで始まる『攻殻機動隊』。サイボーグ(義体化)技術が発達、多くの人間が“電脳化”(脳とネットを直接繋ぐ状態)する2029年~の日本を舞台に、「少佐」と呼ばれる女・草薙素子の活躍を描く近未来SF作品です。

全身を義体化した草薙素子は、「エスパーより数の少ない貴重な才能」と評される超高性能サイボーグ。切れ者・荒巻部長率いる公安9課に所属し、部下のバトー、トグサらと共に、国家的な治安維持・諜報活動に関わっていきます。

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リアリティあふれる特殊部隊アクション

物語の中心となる公安9課。内閣総理大臣直属の部隊である彼らは、少佐をはじめ体のほとんどを義体化した特殊部隊。彼らがテンポ良く展開するアクションが、『攻殻機動隊』の魅力の一つ

自らを周囲の風景と同化させる「光学迷彩」、AIで自律稼働する一人乗り戦車「フチコマ」、といった独自の装備を駆使し、チームで連携して国家の敵に相対していく公安9課。

そこで見せる銃器・火器のリアルな描写やSF的小道具、そして士郎正宗氏ならではのミリタリー&ポリス的アクションがスゴイ

『攻殻機動隊』以前の作品『アップルシード』や『ドミニオン』など、専門的な知識に裏打ちされたリアルなポリスアクションに定評のある作者・士郎正宗さん。その漫画を初めて読む方は、そのリアリティに圧倒されるでしょう。

「電脳」が生み出す新たなSF世界観

さらに『攻殻機動隊』1巻を読んで感じるのは、圧倒的なSF世界観。既存作でもその緻密なSF表現に驚きましたが、本作はそれをさらに凝縮したような、濃密で斬新なSFが描かれます。

その中で『攻殻機動隊』が既存のSF作品と一線を画すのが「電脳」という設定・表現。脳に埋め込まれたデバイスにより直接ネットに接続、意思疎通や情報検索を可能とする、全人類渇望の便利な機能です。

しかし便利な半面、電脳のハッキング・ダビングなどの新たな犯罪形態が発生。自身の脳を乗っ取られて、知らない内に犯罪に加担していたり、ウソの記憶を埋め込まれたり、といった未知の犯罪領域が描かれるのですが、これが実に面白い!

さらには「脳以外を全て義体化して目覚めた時、本当に自分の意識は『自分』だと言えるのか?」みたいなちょっと怖い話wに繋がったりも。

『攻殻機動隊』のサブタイトル『THE GHOST IN THE SHELL』に表される、「ゴースト(≒霊体・自我)」という概念を存分に活かしたストーリー。既存のSF漫画にはない面白みがあります。

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「人形使い」事件の結末は―?

そんな電脳化された社会で展開されるSF的事件に、草薙素子率いる公安9課が関わっていく『攻殻機動隊』各話。その随所で登場するのが「人形使い」

他人のゴーストをハッキングして犯罪行為を行わせ、自身も義体を乗り換えて正体を掴ませない、という謎の犯罪者。その正体と犯罪の目的が、全編を通して徐々に明らかにされていくのですが、これまたSF的かつ意外な内容。

「電脳化された社会」ならではの犯罪とその結末、果たして少佐・草薙素子がたどり着く真実とは―?

そんな感じで読めば読むほど深みにハマっていくような面白さを持つ「攻殻機動隊」。実は単行本発売時は少し難しさも感じたのですが、ネットが普及しきった今読むと、当時よりスッと頭に入ってきます。

と同時に、士郎正宗さんの先進性に改めて驚くことしきり。もちろん今読んでも古さを感じさせないSF漫画。その色褪せない魅力を感じてみてください。

『攻殻機動隊』まとめ

以上、士郎正宗さんの漫画『攻殻機動隊』1巻の感想・レビューでした。

なんかこの感想だとスゴイ堅苦しい漫画、という印象をもたれるかもしれませんが、実際はコミカルで笑える表現が多数ある作品。特に映画やアニメから『攻殻機動隊』に入った方は、そのテンションの違いに驚かれるでしょう。

が、リアルさ・シリアスさと同時にコミカルさを成り立たせるのが、士郎正宗漫画の面白さの一つ。アニメとは異なる公安9課、そして少佐の魅力に触れてみてください。

なお続巻的な位置づけの『攻殻機動隊』1.5巻は、少佐の部下であるバトーとトグサが主体。

さらに『攻殻機動隊』2巻は、世界観を同一にする別物語となっています(ネタバレ回避のためにちょっとボカしてます)。

『攻殻機動隊』1巻の物語自体は、基本的に同巻内で完結していますので、まずはそちらから草薙素子の活躍を楽しんでみてください。

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