理不尽な麻雀勝負に巻き込まれた男子高校生たち。偶然から頼ったのは、伝説の雀士「氷のK」の妹・アミナだった…!
志名坂高次さんの『凍牌 コールドガール』。「”氷のK”の妹」アミナが新たな主人公となり裏社会の麻雀勝負に挑んでいく、バイオレンスあふれる麻雀漫画です。
連載は秋田書店ヤングチャンピオン誌。2022年3月現在、1巻が刊行中。なお本記事は『凍牌』シリーズのネタバレに触れる可能性がありますので、ご注意を。
『凍牌 コールドガール』感想・レビュー
あらすじ
「闇医者紹介しようか?」
傷だらけの高校生・ガクとジンに声をかけたのは、褐色の少女・アミナ。
「大事なデータ」の入ったスマホを人質に取られ、負ければ地下ビデオ出演の麻雀勝負をゴロツキに迫られている二人。「闇医者」というワードに「裏」の匂いを感じ、彼女に代打ちの斡旋を依頼する。
が、当日になっても代打ちが来ない!覚悟して勝負に臨むガクとジンだったが、場馴れしている相手に全く歯が立たず。ラス親を残して32000点が必要な状況に…。
そこに現れたのは…、アミナ本人!「代打ち」という雰囲気からは程遠い彼女だが、しかし彼女に賭けて交代するガク。「アミナにお任せ」と笑う彼女、果たしてその実力は…?
「コールドガール」アミナの活躍!
『凍牌(とうはい)-裏レート麻雀闘牌録-』『同・人柱篇』『同・ミナゴロシ編』と続いた、バイオレンスな麻雀漫画『凍牌』シリーズ。ラストは主人公ケイこと”氷のK”が桜輪会の最高顧問に就任する、という形で幕を閉じました。
それから数年経った『凍牌 コールドガール』では、成長した「Kの妹」アミナ(=榊原亜美奈)が物語の主人公に。彼女自身が麻雀で「悪い人」たちと勝負していきます。
見た目は普通の少女ですが、幼き頃より人身売買絡みで裏社会に身を置いていたアミナ。とある出来事をきっかけにKに引き取られ、以来ともに、文字通り「死線」を越えてきた彼女、肝の座り方がハンパ無い!
卑怯な手を使い、麻雀で一般人をハメようとするゴロツキたちを、「生きるため」に磨き上げてきた胆力とK譲りの雀力で打ち負かしてくアミナ。
「他にも悪い事して人を泣かせてきたんでしょ?自分たちの番がきたんだよ」
と冷たく言い放つその姿は、まさに「コールドガール」。スカッとする!
無邪気さとドス黒さの共存
スカッとする!…のですが、反面、ヤクザとつるんで容赦なくペナルティを課していくアミナ。決して「正義の味方」では無いダークヒーロー的な立ち居振る舞いに、魅力と空恐ろしさを感じます。
それもそのはず、アミナは「生粋の裏社会の住人」。『凍牌-裏レート麻雀闘牌録-』2巻でKと出会った彼女が置かれた環境は、非常に凄惨なもの。またそこから抜け出たあとも、数々のハードな体験をしていくことに。
振り返ると幼き頃から「生きるための選択」を迫られてきた彼女。その魂の成り立ちには、常人では計り知れない奥深さがあるのですが、一方でガク・ジンの高校に「トモダチになる」こと(?)を目的にいきなり入学してきて、妙な純粋さを見せたりも。
一般人とは、いや「ワル」とも明らかに異なる、無邪気さとドス黒さを併せ持つ『凍牌』シリーズが作り上げてきた魅力的なキャラクター・アミナ。ぬるま湯に浸かった読者の頬をひっぱたくような、その破天荒な行動から目が離せない!
まとめ
以上、志名坂高次さんの漫画『凍牌 コールドガール』の感想・レビューでした。
新世代を迎えた『凍牌』の主人公となったアミナ。その正義とも悪とも形容しがたい独特の価値観に、新たなヒーローの誕生、そして面白みを感じます。
なお彼女のバックに付いているのは「2代目 高津組」。それまでのシリーズと関連性のありそうなワードがチラつきますが、その全貌の開示はこれからのよう。続きが気になるところです。
コメント