オカルト・ホラー漫画漫画感想・レビュー

市松人形の怪!山岸凉子の純和風ホラー漫画『わたしの人形は良い人形』感想

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本来ならば火葬されるはずだった市松人形が、何の因果か代々受け継がれ、やがて恐怖を巻き起こしていく…。

わたしの人形は良い人形 (モーニングコミックス)

山岸凉子さんの『わたしの人形は良い人形』。長らく電子化されなかった山岸凉子さんのホラー作品集が、2023年7~8月に一気に電子書籍化!古典的とも言える「怖い漫画」が手軽に楽しめるようになりました。

収録の単行本は表題作のほか、短編『バンシー』『グール』を収録。本記事ではその中でも100ページ超のボリュームを持つ中編『わたしの人形は良い人形』を、極力ネタバレ無しでご紹介します。

『わたしの人形は良い人形』感想・レビュー

あらすじ

昭和21年の秋。東京近郊の田舎道で、友達と遊んでいた6歳の少女・初子が事故死。その供養にと、黒髪の日本人形(市松人形)を棺に入れることに。

しかし惜しんだ初子の祖母により、人形は火葬されず。さらに友人・千恵子の不審な死を経て、人形は初子の妹・姿子(しなこ)の手に渡る。

時は流れて昭和60年。姿子の娘・陽子は、引っ越し先での荷物整理中に、きれいな人形を見つける。それは件の市松人形だった。

「わたしの人形は良い人形♪」

昔を懐かしみ、幼い頃の歌を口ずさむ姿子。だがその日から、陽子の周辺で不可思議な出来事が起こり始める…

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火葬を免れた市松人形

本来は千恵子の母のものだった市松人形。千恵子の友人・初子の死とともに火葬されるはずでしたが、偶然から生き延びる(?)ことに。

初子の妹・姿子の手に渡ったそれは、千恵子の死を経て、さらに姿子の周辺にも不幸を…。

もともとの不幸はその市松人形が発端では無いのですが、火葬を免れたことから「運命の歯車」が狂っていく

やがて後半へと繋がっていく「怨念の蓄積」が溜まっていく様子が、何とも不穏…!恐怖への期待がジワジワと高まります。

陽子の日常を侵食する恐怖

世代は代わり、物語の中心は姿子の娘・陽子へ。キレイな市松人形を見つけて喜ぶ彼女ですが、その日から周囲に異変が

わたしの人形は良い人形 (モーニングコミックス)

家の中で子供の影を見たり、棚の上の市松人形を人間のように感じたり、帰宅すると炊飯ジャーの中の米が散らばっていたり…。

いるはずのない「何か」が、徐々に日常を侵食していく。その様子が非常に恐ろしい!

そして多くの怨嗟をその身に受けてきた人形は、やがて陽子の命を狙い始め…?

不気味さあふれる人形ホラー

その陽子に救いの手を差し伸べるのは、同級生にして霊感を持つ美少年・竹内。人知の及ばぬ何かを見、感じることのできる彼は危険を察知、解決に協力することに。

しかし事態は想定外のスピードで進行。果たして陽子は、市松人形の脅威から逃れることができるのか…?

…といったサスペンス感あふれるホラーが、漫画『わたしの人形は良い人形』で描かれていきます。

理屈では説明の付かない不気味な事象を積み重ね、読者を恐怖へと誘っていく。ショッキングな描写やビックリ箱的な仕掛けを多用しない、山岸凉子さんの巧みな物語運びが実に読み応えあり

もちろん怖いところはしっかり怖い!人間の形を模し、普段は可愛さ・美しさを感じる「人形」。ですが「人間の姿」をしているが故に持つ不気味さが、得も言われぬ恐怖を演出。「人形+ホラー」の怖さをたっぷり堪能できる「怖い漫画」です。

『わたしの人形は良い人形』まとめ

以上、山岸凉子さんの漫画『わたしの人形は良い人形』の感想・レビューでした。

1985年の発表である本作。ホラー漫画としては「古典」とも言える存在ですが、それだけに近年の同ジャンル作品では見られない、ベーシックな怖さあり。ホラー好きならば一度は読んでおきたい作品。

特に「最近のホラー漫画は少し物足りない…」という方は、逆に新鮮さを感じられるはず。電子書籍化されたことで触れやすくなった山岸凉子さんのホラー漫画を、ぜひ楽しんでみてください。

ちなみに私は久しぶりに『わたしの人形は良い人形』を読んだら、夢に市松人形が出てきてうなされました(笑)。

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