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『ミノタウロスの皿』『カンビュセスの籤』ほか『藤子・F・不二雄SF短編』おすすめエピソード

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少年・少女向け漫画を描くかたわら、社会風刺やブラック・ユーモアを絡めた「SF(SUKOSHI FUSHIGI)短編」を生み出してきた藤子・F・不二雄さん。そのSF短編漫画の中から選んだおすすめエピソードです。

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 3 カンビュセスの籤 (ビッグコミックススペシャル)

現在、藤子・F・不二雄さんのSF(SUKOSHI FUSHIGI)短編は、下記単行本に収録されています(いずれも小学館より)。

  • 藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版> 全8巻
  • 藤子・F・不二雄大全集(SF・異色短編 全4巻+少年SF短編 全3巻)
  • 藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 全10巻(※刊行中)

ビッグコミック・漫画アクション・別冊コロコロコミック・SFマガジン・少女コミック・少年サンデーなどの漫画雑誌に、1968年から1995年にかけて発表された約110編。以下その中から、読んで面白いと感じたエピソードをチョイスしました。

『藤子・F・不二雄SF短編』おすすめエピソード

ミノタウロスの皿

牛型宇宙人が人間を家畜として支配する惑星。そこに不時着した宇宙船パイロットは現地の少女と仲良くなるが、彼女は祭りの祝宴で食される運命だった…。

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 1 ミノタウロスの皿 (ビッグコミックススペシャル)

ミノタウロスの皿』。ブラックな内容ですが、一見残酷にも思えるストーリーの中に、たっぷりの風刺が込められています

後半のスピード感あふれる展開、からの最後の一コマは、一度見たら忘れられないインパクト。1969年の発表ですが今なお色褪せない、不変の名作SF短編です。

●収録単行本

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ブックライブ超☆集英社祭り

ポストの中の明日

新聞記事の中に「あす」が見える少年は、仲間とハイキングで遭難することを予知。運命に抗おうとするが…。

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 7 ポストの中の明日 (ビッグコミックススペシャル)

ポストの中の明日』。憧れの超能力のひとつ「予知能力」。しかし未来を知っても、不自然な言動から周囲の不信を集めてしまうことに。

そんな「超能力の現実」とも言うべきジレンマが、何とももどかしい!ラストで描かれる、主人公の余韻の残るモノローグが好き。

●収録単行本

コロリころげた木の根っ子

妻に当たり前のように暴力を奮う大物作家。決して良好とは言えない家庭の中に、担当編集者は「不自然な危険」が横たわっていることに気付く…。

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(2)定年退食 (ビッグコミックススペシャル)

非常に昭和臭の強い、おそらくDVという単語も無かったであろう時代の物語『コロリころげた木の根っ子』。

家庭内における偏りすぎた男尊女卑による怨讐が凝縮された、ラスト一コマの恐ろしさよ!

●収録単行本

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どことなくなんとなく

愛する妻子と暮らし、会社に通い、時折趣味に興じる、何気ない生活。しかしそのどれもに「実在感」を感じられない男性。友人にその思いを吐露するが…。

SF・異色短編(2) 藤子・F・不二雄大全集 (てんとう虫コミックススペシャル)

実は自分以外の世界は幻なのではないか?」そんな言いようの無い不安感を見事に表現した秀作短編『どことなくなんとなく』。読んだあとは足元が覚束ないような感覚に陥る、かも。

●収録単行本

ひとりぼっちの宇宙戦争

ごく普通の少年は、無作為の抽出によって地球の命運を懸けた戦いに挑むことに。時の止まった世界で戦う相手は、なんと自分自身だった…

少年SF短編(1) 藤子・F・不二雄大全集 (てんとう虫コミックススペシャル)

ひとりぼっちの宇宙戦争』。「誰も知らない戦い」というのはロマンを感じさせるものですが、実際に選ばれた人間はたまったもんじゃない。

誰の助けもなく、負ければ世界に悲惨な運命が。そんな悲壮感の漂う、静かにして孤独な戦いを描いたSF作品です。

●収録単行本

カンビュセスの籤

飢えにより、仲間に食われる人間を選ぶくじ引きを行う、古代ペルシア軍の兵士たち。そこから逃げ出した男が、深い霧を進み辿り着いたのは、また別の地獄だった…

『ミノタウロスの皿』と並ぶ、藤子・F・不二雄SF短編の大傑作カンビュセスの籤(くじ)』。男を待っていたのは希望か、はたまた絶望か?薄ら寒さを感じるラストの余韻が最高。

●収録単行本

影男

少女の家の隣に越してきた、怪しい老人。男はなぜか、あの手この手で少女を家から遠ざけようとする。その理由は…?

輪廻転生を絡めた、サスペンス風味のSFストーリー影男』。あっさりとしているのになぜか物悲しさの残るラストも秀逸。これぞ「SUKOSHI FUSHIGI」な物語です。

●収録単行本

コミックシーモア
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マンガ多すぎ!コミックシーモア

宇宙船製造法

宇宙船の故障で、無人の惑星に流れ着いた少年少女たち。帰還の見込みはなく、その星で暮らすことを決意。一致団結をしてサバイバルを試みるが、やがて不協和音が…

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 9 宇宙船製造法 (ビッグコミックススペシャル)

未開の星に流れ着いた少年少女たちの漂流記『宇宙船製造法』。一見さわやかな設定ながら、集団の中で徐々に顕になってくる狂気の暴走を絡めてくるあたりが、若年層向けの漫画とは異なる味付けで趣深い。

●収録単行本

流血鬼

爆発的に流行した謎のウィルスにより、世界中の人間が吸血鬼に変貌。わずかに生き残った少年と友人は、山の隠れ家に籠城するが…。

藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 8 流血鬼 (ビッグコミックススペシャル)

小説『地球最後の男』を原案に、「人類最後の…」的な設定を藤子・F・不二雄流に調理したSF短編『流血鬼』。

緊張感のあるストーリー展開、からの「発想の転換」とも言える結末。読み手によっていろんな見方・受け取り方ができそうなところがユニーク。

●収録単行本

絶滅の島

宇宙人の攻撃を受け、その大半が死に絶えた人類。わずかな生き残りとなった少年少女は離島で平穏に暮らすが、そこに凶悪な宇宙人が襲いかかり…。

少年SF短編(3) 藤子・F・不二雄大全集 (てんとう虫コミックススペシャル)

1995年に発表された最後のSF短編絶滅の島』。藤子・F・不二雄氏の漫画としては珍しい、ハードな残虐描写に驚き。ラストに含まれているブラック・ユーモアも、他作品には無い読後感。

なお本作は1980年発表の同名タイトル『絶滅の島』(サイレント版)のリメイクです。

●収録単行本

※「藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>」では、『 (6)パラレル同窓会』にサイレント版を収録しています。

『藤子・F・不二雄SF短編』まとめ

以上、『藤子・F・不二雄SF短編』おすすめエピソードのご紹介でした。

若干、時代を感じさせる描写もありますが(登場人物がやたらタバコをふかしていたりw)、物語の本質的な面白さは不変。令和に読んでも楽しめる作品ばかりです。

特に『ミノタウロスの皿』『カンビュセスの籤』といった作品は、一読しておいて損のないSF漫画。ぜひその面白さに触れてみてください。

なお『藤子・F・不二雄SF短編』は主に、下記の3種類の単行本に収録されています。

  • 藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版> 全8巻
  • 藤子・F・不二雄大全集(SF・異色短編 全4巻+少年SF短編 全3巻)
  • 藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 全10巻(※刊行中)

収録作は基本的に同じなのですが、

  • 『藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>』のみ『スタジオ・ボロ物語』を収録。(『藤子・F・不二雄大全集』では『オバケのQ太郎 11』に収録)
  • 『藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス』のみ『宇宙開拓史』『タイム・マシン大図解』を収録。

といった違いがあります。お好みの形式をチェックしてみてください。

藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1)ミノタウロスの皿 (ビッグコミックススペシャル)
SF・異色短編(1) 藤子・F・不二雄大全集 (てんとう虫コミックススペシャル)
少年SF短編(1) 藤子・F・不二雄大全集 (てんとう虫コミックススペシャル)
藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス 1 ミノタウロスの皿 (ビッグコミックススペシャル)

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