漫画家・panpanya(パンパンヤ)さんが発表された漫画の中で、管理人が読んだオススメ漫画です。その独特のおもしろさに、とみにハマっています。
ページをめくっていると、日常からちょっとねじれた不思議空間に足を踏み入れている。そんな奇妙な漫画体験を味あわせてくれるのが、panpanya漫画。
panpanya漫画について
panpanyaさんの漫画単行本については後述。ここではその作品について概要と、個人的な主観を。
panpanyaさんの漫画は、数ページから数十ページの短編作品。ゆるいキャラクターと、それに反比例するかのような緻密な書き込みの背景が特徴。
登場人物は基本、4種類。
- 少女の姿をした「私」
- 穴が4つ開いた変な被り物(?)をしている男(?)
- もう一人の少女(髪長め)
- 動物っぽい何か
彼女たちがスター・システム的に、各短編でそれぞれの役割をふられ、物語は展開。

[panpanya 著 白泉社「動物たち」より引用]
主体となる「私」が、時に日常の延長線上にある不思議な出来事に遭遇したり、またはそこからさらにねじれた世界のようなどこかに行ったり、といった、ゆるい冒険(のようなもの)が描かれます。
まあ、文章ではおそろしく伝わりにくいんですが(笑)。
なお弊誌HPトップの右上にございます「『楽園』ご紹介漫画」は昨日コミックス『二匹目の金魚』を発売したpanpanyaによる描きおろし7ページ(しかもオールカラー)ですhttps://t.co/oS1Xssw83u 当ツイッター開始前にUPしたものですのでご存じない方も多いかと改めてご案内致しました。 pic.twitter.com/5custTlPre
— 楽園編集部 (@rakuen_info) 2018年2月1日
上記は白泉社さんの「楽園」ツイートより。絵柄はこんな感じです。
個人的に魅力に感じるのは、どの作品を読んでも不思議な納得感があること。数ページめくると、そこはもう非日常の世界。わけがわからないのだけれど、そのわからなさに妙な説得力がある、というか。
日常と地続きになった非日常、豊かな表情を見せてくれるゆるいキャラクターたち、そして卓越したセンスで描かれる背景など、「漫画を読む楽しさ」と「絵を眺める楽しさ」を併せ持った作品群です。
上記を踏まえて以下、panpanyaさんの単行本紹介です。一番最初の「足摺り水族館」以外は、白泉社より刊行。最近電子書籍化されて読みやすくなりました。
足摺り水族館
私家版として発行された本を、一般流通向けに再編集した「足摺り水族館」。panpanyaさん1冊目の単行本ですが、残念ながら長らく絶版。
→2018年に再版されました。2019年1月現在、Amazonはじめ、各書店でも普通に購入できます。

[panpanya 著 1月と7月「足摺り水族館」より引用]
以降の単行本と比較すると荒削りな感じがしますが、逆にそれが「味」。スケールの大きな非日常が展開され、panpanyaさんの原点とも言うべき風味を堪能できます。紙質やカバーなどにこだわった、紙書籍ならではの装幀にも注目。
蟹に誘われて
白泉社「楽園コミックス」からの初単行本「蟹に誘われて」。
降りる駅を間違えた「私」が、謎の駅前商店街を彷徨う「方彷の呆(hohonoho)」は特におもしろい一作。淡々と進む物語と、ねじれた風景描写。足もとが覚束なくなる不安感があって、不思議な気分に。

[panpanya 著 白泉社「蟹に誘われて」より引用]
謎のプラモデルを組み立てたらたくあん製造機になった、という4Pの短編「TAKUAN DREAM」も適当すぎて好きw。
枕魚
「まくらうお」と読みます「枕魚」。「私」がピザまんを買うために、謎のイルカに連れられて地下街を彷徨う「地下行脚」がおもしろい。

[panpanya 著 白泉社「枕魚」より引用]
先の見えない謎のダンジョンをねり歩く不気味さ、ちょっと怖いっていうか、panpanyaさんは彷徨う漫画を描かせたら天下一品。「彷徨い系漫画」と勝手に命名。
動物たち
動物が多数登場するpanpanya漫画そのものをあらわすかのような、ど直球なタイトル「動物たち」。
野生動物を拾ったら勝手に増殖して保健所が開発した動物捨て機でも駆除できずに洗脳セットを持ち出して動物を追い払うがその結末は、という「猯(まみ)」が印象的な一作。
ちょっと何言ってるかわかんないですよね。私もわかんないです。

[panpanya 著 白泉社「動物たち」より引用]
絵柄的には過去作よりも洗練されてきているんだけど、それでいてpanpanyaさんらしい風味が損なわれていないのが魅力。
二匹目の金魚
白泉社・楽園発の4冊目の単行本「二匹目の金魚」。
高度なかくれんぼのテクニックを身に着けた「私」が安住の隠れ場所を見つけ、しかしそこで葛藤する様を描く「かくれんぼの心得」など、より日常感を増した全19編を収録。

[panpanya 著 白泉社「二匹目の金魚」より引用]
ふとしたことにいろいろな理屈を積み重ねて非日常の世界に連れていくpanpanyaさんの手口に注意しなければならない何と戦ってるんだ俺は。
グヤバノ・ホリデー
初のカタカナタイトル「グヤバノ・ホリデー」。
panpanyaさんが実在の果実「グヤバノ」を求めてフィリピンへ飛ぶ、ドキュメンタリー・テイストの連作「グヤバノ・ホリデー」ほか、多数のショート・ショートを収録。

[panpanya 著 白泉社「グヤバノ・ホリデー」より引用]
実体験の漫画化、という新しい試み。それでいてpanpanyaテイストはそのままで、新鮮な読後感。果たしてpanpanyaはグヤバノにたどりつけるのか!というゆるいドキドキも。
日常の何気ない出来事から不思議空間へ読者を誘う、その他の短編も安定のクオリティー。芋蔓をつたってひたすら地下を掘り進めていく「芋蔓ワンダーランド」が味わい深い。
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