漫画『ユトポリス』感想―超高層都市はユートピアなのか?リアルなジュブナイルSF

高さ7,000メートルを誇る超高層都市ユトポリス。豊かな生活を提供するユートピアかに思えたが、少女はその暗部を知り、外界への脱出を試みる―。

影革(かげかく)さんの漫画『ユトポリス』。リアルな世界観を背景に少女の冒険を紡ぎ出す、ジュブナイルSFファンタジーです。

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連載はGOT(ジーオーティー)のWeb漫画メディア「COMIC MeDu(めづ)」。2022年12月現在、単行本1巻が刊行中。

『ユトポリス』感想・レビュー

あらすじ

7,000メートルの高さを誇る、世界一の高層都市「ユトポリス」。完成から20年を迎え、多くの人々が巨大空間の中で「理想の生活」を送っていた。

その移住第一世代である両親から生まれ、「第二世代」として中学校に通う少女・ゾーイ。「外の世界」へ強い憧れを持つが、「第二世代は外の環境に耐えられない」ため、諦めの日々を送る。

しかしある日、懇意にしている雑貨屋の女性店主・テクラが、不穏分子としてユトポリス管理局の詰問を受け、「事故死」する瞬間を目撃してしまう。

果たして彼女が残した言葉、「塔の奴隷になるな」の意味は何なのか?理想郷に疑問を抱き始めたゾーイは、外の世界を目指し行動を開始していく―。

外界を目指す少女の冒険

閉鎖された空間で育った子どもたち。その多くは自らの境遇に疑問を持たず、最新の科学によってもたらされた「幸福」を享受して生きている。

しかしそれは「本当の幸福」なのか?テクラの死、そして彼女の遺した言葉をきっかけに、ゾーイは「外の世界」へ行くことを決意。空や海や太陽を、自らの目で見るために。

その過程で描かれる、友人たちとの交流が何とも爽やか。そしてちょっと懐かしい、少年少女向けの冒険小説を想起させる展開に、静かなドキドキを感じます。

不穏な空気がうずまく未来都市の裏側

しかし恵まれた生活環境を提供される代わりに、生涯をその中で暮らすことを義務付けられたユトポリス。徹底された監視社会が築かれ、外界への脱出は容易ではない…。

しかもゾーイの障害となるのはテクラを死に追いやり、それを「不幸な出来事」として処理した女性管理局長・フォンその人。彼女が強固に街を管理する理由とは、果たして何なのか?

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一見平和な未来都市、その裏側でうごめく不穏な空気に、何とも言えないゾワゾワした感覚が。いまだ描かれぬ「外界」の様子、ユトポリスの成り立ちも、気になるところ。

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緻密なSF世界観がスゴイ

そんな未来都市の冒険を描く『ユトポリス』。ディストピア的なその世界観を形作る、作者・影革さんのSF表現がスゴイ!

魔典来りて六畳魔 - 影革 / 魔天来りて六畳間 | くらげバンチ
なんでも子供扱いするお母さんに不満を抱える小学3年生の少年が自宅の物置で見つけたのは、魂を得た魔導書「マテン」だった。 皮肉屋だけど憎めないマテンに導かれ、少年は六畳の子供部屋から小さな冒険の旅に出発する!

上記は2019年に「くらげバンチ」にて発表された、影革さんの読み切り漫画『魔典来りて六畳魔』。緻密な描き込みと迫力ある構図で構成される、ファンタジックな世界観が魅力の作品。

その表現力が、本作『ユトポリス』でも遺憾なく発揮。リアリティあふれる高層都市内部の描写が、読者を一気にSF世界へと引き込んでくれます。SFファン・漫画ファンに、ぜひこの世界観を味わっていただきたい。

『ユトポリス』まとめ

以上、影革さんの漫画『ユトポリス』の感想・レビューでした。

未来都市のリアルな描写を背景に、外の世界を目指す少女の冒険を綴るジュブナイルSFファンタジー。ストーリーとSF世界観、両面からガッツリ楽しめるSF漫画です。

もうちょっと影革さんの作風を知りたいな…という方は、ぜひ上記でご紹介した『魔典来りて六畳魔』を読んでみてください。楽しい漫画体験ができるでしょう。

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