さいとう・たかをさんの『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』。読者投票で選ばれた13作品を、約1,500ページのボリュームで収録したベスト本です。
『ゴルゴ13』は200巻を超えるSPコミックス版以外にも多数の単行本が出ていますが、その中でも圧倒的なページ数を誇る一冊。以下、『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』の概要と、エピソードの感想・レビューです。
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』概要
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』(紙書籍:税込2,200円、電子書籍:税込1,320円)は、2001年刊行の『「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』を大幅にアップデート、2018年に刊行された『ゴルゴ13』のまとめ本です。
小学館の漫画雑誌「ビッグコミック」にて発表された600話(※当時)の中から、読者アンケートをもとに選ばれた13エピソードを掲載。合計1,487ページのビッグ・ボリュームとなっています。
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』の収録エピソードは下記の通り(※は『「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』と重複)。
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』感想・レビュー
『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』収録の13エピソードの中から、個人的に特にオススメのエピソードをご紹介。
スワップ 捕虜交換
シリア・ダマスカスで、ゴルゴを逮捕したパレスチナ解放武力同盟。捕らえたモサドの女性エージェントと、相手の捕虜となった同士女性との交換で、エージェントのみを狙撃するようゴルゴに命令するが…?
別冊版には掲載済みですが、単行本としては本作が初収録となるエピソード。「諜報部間での捕虜交換」という舞台設定がユニーク。しかしゴルゴが簡単に捕まる時は「ねらい」があるのですが、さてその真の目的とは…。
AT PIN-HOLE!
ダイナマイトを持ちキューバ行きを要求する男に、旅客機がハイジャックされた!給油で着陸した空港で犯人を射殺せねばならないが、見通しが良すぎるため遠距離からの狙撃が必須。そこで別件で勾留されていたゴルゴに白羽の矢が立つ…!
約1km先から一発必中でターゲットを撃たねばならない、という過酷な条件をいかにクリアするか?という、ゴルゴのプロフェッショナル性を堪能できるエピソード。「とても自信がありません」と根を上げる、FBI狙撃手との対比も面白い。
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病原体・レベル4
アフリカの森林地帯から豪華客船で密輸されたミドリ猿は、死亡率90%以上・治療薬の存在しないエボラウィルスに感染していた!偶然乗り合わせエボラに感染したゴルゴは、上陸を阻止せんとする米軍から逃げ出し、生き延びることができるのか…?
超人・ゴルゴが絶体絶命に陥る、数少ないエピソードの一つ。もちろん彼は生き延びるわけですが、その奇想天外な方法に感嘆。とともに、自然に対し傍若無人な態度を取る人類へのメッセージも込められ、読み応えのある一作。
すべて人民のもの
アメリカの国家予算に匹敵する「ロマノフ家の財産」。それを預かるスイスのヒューラ―商会に、正当な継承権を持つ「ニコライ二世の孫」が現れた!その返還で起こる東西のバランス逆転を防ぐため、調査屋フェイスは「もう一人の相続人」捜索を依頼される。
通常話の2倍以上のボリューム、史実も絡めて描かれる、歴史サスペンス的な要素を持つエピソード。「ロマノフ王朝の最後」から「ゴルゴ13のルーツ」へと繋がっていく物語運びもユニークで、非常に満足感が高いストーリーです。
2万5千年の荒野
ロスで新規稼働を迎えた原子力発電所。そのテスト運転で原子炉が制御不能に!爆発すれば「死の灰」が拡散、ロスは「2万5千年の荒野」と化す…。技術者バリーは事態収拾のため、「神業的な射撃の腕」が必要となる冷却パイプの破壊を決断。偶然「仕事」を目撃したゴルゴに依頼をするが…?
「原発の暴走」を描く緊迫感あふれるストーリー。「原発=危険」ではなく、ヒューマン・エラーと政治的・商業的要因で事態が勃発した、という内容も非常に示唆的。危機的状況の中で「本分」を果たすゴルゴの活躍と相まって、一度読むと忘れられないインパクトがあります。名作。
感想・レビューまとめ
以上、さいとう・たかをさんの漫画『改訂版「ゴルゴ13」リーダーズ・チョイス』の感想・レビューでした。
読者選出のエピソード、かつ単行本初収録2作を含む構成は、どちらかと言えば玄人向けという印象。シンプルに「スナイパーとしてのゴルゴ13」を楽しむには、もっと面白い話もあるでしょう。
ですが通常の単行本5冊分以上に相当する「約1,500ページのボリューム」は、やはり圧倒的。各エピソードの濃厚さと相まって、非常に読み応えがあります。特に電子版は税込1,320円でコスパが高い!『ゴルゴ13』の世界観を堪能してみてください。
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