漫画「ムサシノ輪舞曲」―年の差男女の恋の行方は?大人の恋愛群像劇

幼い頃から“お隣のお姉さん”を慕い続けてきた青年。しかし彼女は自分を恋愛対象としては見てくれなくてー。

河内遙さんの「ムサシノ輪舞曲(ロンド)」。お隣さん同士の年の差男女を中心に、その周辺に集う人々の恋模様を描く恋愛群像劇。連載は祥伝社FELL YOUNG誌で、2021年9月現在1巻が刊行中です。

「ムサシノ輪舞曲」感想

あらすじ・概要

蕎麦屋の息子・龍平(25)は、お隣のバレエ講師・環(たまき)に幼少の頃から恋心を抱く。しかし10も歳の離れた彼女は彼を恋愛対象としては見てくれず、成長の節目節目で告白するも玉砕。現在は良い関係を壊したくない、と適度なご近所付き合い。

そこに家を出ていた環の弟・文太が、同僚の衣笠を伴って帰還。それを見た龍平、衣笠が惚れっぽい環の”どストライク”であることを瞬時に悟り、胸のモヤモヤを掻き立てられる…。

…以上が漫画「ムサシノ輪舞曲」の導入部。以降、龍平・環・文太・衣笠や環の友人でバツイチ子持ちの毬奈も交えた恋愛模様が、群像劇風に展開されていきます。

せつない恋心がざわつく時

両親に不幸のあった環と、深い家族関係を築いてきた龍平の家。が、その「家族同然」という縛り、そして10歳の差がマイナスに作用。恋愛対象として認められないがために、「安穏ご近所生活」に甘んじてきた龍平。

そして彼女が自分より年上の男性たちと恋仲に落ちていくのを、間近で見てきた彼。その「どうしようもなく埋められない溝」ゆえに漂わせる憂いの表情。うん、報われない恋ってあるよね。せつないわ…。

しかしその諦めも含んだ平穏な心が、衣笠の出現により一気にざわつく!しかもなまじ近くに居すぎたために、環が相手に惚れそうなのが手に取るようにわかる!さてどうする龍平!

年の差男女の距離感が変化?

一方の環。「バレエのせんせい」として幼い頃から龍平と関わり、そして彼をずっと袖にしてきたわけですが、決して嫌な女性ではない。むしろ逆。ちょっといたずらっぽい表情とフワッとした雰囲気を併せ持つ、とても魅力的な人物。

その彼女が好みの男性・衣笠に出会い、心を揺り動かされていくのですが、この衣笠もちょっと特殊な背景を持つ人物。ですがそれをサラッと包み込んで描かれる恋愛模様に物凄く「大人の雰囲気」があって、とても良い。河内遙さんの真骨頂です。

しかし新しい出会いと同時に、衣笠の存在に焦りを感じる龍平にもモーションをかけられ、さてどうする環!この環と龍平、二人の絶妙な関係と距離感がどのように変化していのか?が物語の大きな見どころ。

「大人の恋愛空間」が心地よい

そんな龍平と環の関係を中心に、文太、毬奈、衣笠ら周辺の人物の心情も交えて、文字通り「輪舞曲」のように紡がれていく「ムサシノ輪舞曲」の世界。そこで形成される「大人の恋愛空間」が、実に魅力的

ちょっとアダルティックな空気を匂わせながらも、ドロドロし過ぎない独特の空気は、多くの恋愛作品を手がけてきた作者・河内遙さんならでは。ページをめくるたびに物語に引き込まれ、各人物の心情を知るたびにその胸の内に同調してしまいます。

またシンプルな線で描かれているのに、不思議と感じるキャラクターたちの色香も、大人恋愛を演出。今作は作者の漫画の中でも登場人物たちの年齢層高めなのですが、そこに感じる「大人の落ち着き」が心地よい。ドップリ浸かれる恋愛漫画です。

まとめ

以上、河内遙さんの漫画「ムサシノ輪舞曲」感想でした。本作は作者のデビュー20年目の作品。あとがきによると「フィール・ヤング誌の中でも一番地味な連載」とのこと。

ですが読んでいて感じるのは、むしろ20年という年月を経たからこそ生み出される、落ち着いたドラマ感。大人の恋愛模様に、グイグイ引き込まれること必至。2021年期待の恋愛漫画です。

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