漫画『涙雨とセレナーデ』―明治時代にタイムスリップした女子高生のラブロマンス

突然、明治40年にタイムスリップした女子高生。そこで出会ったのは自分そっくりな女性と、憂いの表情を浮かべる青年―。

河内遙さんの漫画『涙雨とセレナーデ』。しっとり恋愛にSF要素をミックスしたタイムスリップ・ロマンス。連載は講談社Kiss、単行本は2022年3月現在、9巻まで刊行中です。

『涙雨とセレナーデ』感想・レビュー

あらすじ

ごく普通の高校生・陽菜(ひな)は音楽の授業中、不思議な感覚に襲われて気を失ってしまう。

目覚めるとそこは古めかしい屋敷の庭。傍らには彼女を「雛子様」と呼ぶ青年・本郷孝章(ほんごう・たかあき)が。

成り行きで馬車に乗せられた陽菜が目にする町並みは、現代とは違う古めかしいもの。着いた屋敷では自分そっくりな女性・雛子に出会い、その会話の中から現在が明治40年であることを知る

どうやら過去にタイムスリップしてしまった陽菜。現代に帰りたくても方法がわからない…が、とりあえず匿ってくれた雛子との入れ替わりを楽しんだり。

しかしそのうち、ひいおばあちゃんの形見のネックレスを失くしたことに気付いた陽菜。雛子の協力を得て本郷邸にネックレスを探しに行くことに。だが孝明が雛子の婚約者であったことから、話がややこしい方向へ…?

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タイムスリップが絡んだ複雑な人間関係

『関根くんの恋』や『夏雪ランデブー』で、ユーモアを交えながらも切々とした恋愛を描いてきた作者・河内遙さん。本作では明治時代を舞台にSF要素も取り入れて、複雑な恋愛模様を絡めたタイムスリップ・ロマンスを綴っていきます。

明治40年、つまり今から「約100年とちょっと前」に来てしまった陽菜。その鍵となるのは、ひいおばあちゃんのネックレス。諸々の条件が重なると不思議な力が発動するようですが、陽菜はそれには気づいていない、という状況。

その陽菜が偶然からたどりついた先にいた、そっくりな容姿を持つ雛子。彼女は陽菜のひいおばあちゃん?かどうかは不明なのですが、そこにはなかなか複雑な人間関係が

許嫁同士の孝章と雛子。だが雛子はもともとは、孝章の亡き義兄の許嫁。そして孝章は雛子の事を慕っているのに、彼女が好きなのは知人の書生・武虎。

そこに現れたのが、雛子と瓜二つの陽菜。陽菜は「雛子として」孝章と接しますが、陽菜を雛子と信じる孝章に想いを告げられたり、また陽菜自身も孝章に惹かれていったり。さらに陽菜にはなぜか、幼い頃に孝章と会った記憶が…?

行き違いが産み出す恋模様

陽菜がタイムスリップしたことにより人間関係が複雑になり、そこから生じるコミュニケーションの行き違いが、『涙雨とセレナーデ』の面白み。

陽菜を雛子として見る孝章と、彼の事が気になるけど、本当はこの時代の人間ではない陽菜。しかし自分に向けられる孝章の眼差しに、次第に募る陽菜の気持ち。読んでいてやきもきします(笑)。

そして複雑な人間関係の中で顕になっていく、それぞれがアイデンティティーの確立に悩む様

雛子のふりをするが、現代における陽菜としての人間関係を忘れたくない陽菜。心に想う人がいながらもそれを押し殺す雛子。自分が死んだ義兄のスペアなのではないかと悩む孝章。

河内遙さんの作品ではキャラクターが内省する様子がよく見られますが、『涙雨とセレナーデ』でもしっかりと描かれる心情。そこから生まれる深みが、物語の大きな魅力となっています。

3巻以降、急展開が…?

そんなタイムスリップ要素を絡めたラブ・ロマンス。しっとりと物語が展開…すると思いきや、巻が進むにつれネックレスを巡るめまぐるしい動きが発生。

失われたネックレスを探す陽菜と、それに協力する孝章。しかしそれは人から人へと渡り歩き、彼女たちから離れてゆく。

そして2巻では陽菜と孝章に絡んでくる、怪しげな曲芸一座が登場。あわや生命の危機が…!さらに3巻では「ネックレスの秘密を知る人物」が登場。それはタイムスリップにも関係が…?

…というサスペンス感あふれるビックリ展開へ。ネタバレは避けますが、まさか!の連続で、俄然おもしろくなってきます。もちろん恋愛要素はそのままに、しかし多方面でドキドキする物語。さて、陽菜と孝章の運命やいかに…?

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まとめ

以上、河内遙さんの漫画『涙雨とセレナーデ』感想・レビューでした。

タイムスリップを絡めた、しっとりとした切ない恋愛ストーリー…からの!スリリングな展開は、予想外の面白さを味あわせてくれます。

9巻末のあとがきによると、実は3~4巻頃で打ち切りの危機があったそう。しかしそれを乗り越えて、作者最長となる巻数を更新中。明治と現代をつなぐラブロマンスの結末が気になる!作品です。

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