「涙雨とセレナーデ」―明治時代にタイムスリップした女子高生の運命は?

突然、明治40年にタイムスリップした女子高生。そこで出会ったのは憂いのある青年、そして自分そっくりな女性。

河内遙さんの漫画「涙雨とセレナーデ」を読みました。しっとりした恋愛にSF要素をミックスしたタイムスリップ・ロマンス。連載は講談社Kiss、単行本はKCデラックスKissより1~3巻が発売中です。

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「涙雨とセレナーデ」レビュー

舞台は明治時代

ごく普通の高校生・陽菜(ひな)は、音楽の授業中に突然不思議な感覚に襲われ、気を失う。目覚めるとそこは古めかしい屋敷の庭。傍らには彼女を「雛子様」と呼ぶ青年・本郷孝章(ほんごう・たかあき)が。


[河内遙 著 講談社「涙雨とセレナーデ」1巻より引用]

成り行きで馬車に乗せられた陽菜が目にする町並みは、現代とは違う古めかしいもの。着いた屋敷では、自分にそっくりな女性・雛子に出会い、その会話の中から現在が明治40年であることを知る

過去にタイムスリップしてしまい、また現代に帰りたくてもその方法がわからない陽菜。ひいおばあちゃんの形見のネックレスを失くしたことに気付いた彼女は雛子の協力を得て、本郷邸にネックレスを探しに行くが…。

以上が「涙雨とセレナーデ」の導入部。以降、明治時代で現代に帰る方法を探る陽菜の様子が、孝章とのラブ・ロマンスを絡めて描かれます。

恋愛+タイムスリップ

「関根くんの恋」や「夏雪ランデブー」で切々とした恋愛を描いてきた河内さん。本作ではSF要素も取り入れ、複雑な恋愛模様を絡めたタイムスリップ・ロマンスを描きます。

明治40年、つまり今から約100年とちょっと前にタイムスリップした陽菜。実は孝章とは幼い頃に会ったことがあるよう?その鍵となるのは、件のネックレス。

諸々の条件が重なると、何やら不思議な力が発動するようですが、陽菜はそれには気づいていない、という状況。

複雑な人間関係

陽菜のたどりついた先にいた雛子は、陽菜のひいおばあちゃん?真偽は不明ですが、雛子の周りもなかなか複雑な人間関係が


[河内遙 著 講談社「涙雨とセレナーデ」1巻より引用]

孝章と雛子は許嫁同士ですが、雛子はもともとは孝章の亡き義兄の許嫁。孝章は雛子の事を慕っていますが、雛子が好きなのは知人の書生・武虎。

そこに現れたのが陽菜。陽菜は雛子のふりをして孝章と接しますが、陽菜を雛子と信じる孝章に想いを告げられたり、また陽菜自身も孝章に惹かれて行ったり

過去の記憶も交え、複雑な三角関係?が形成されます。

ズレが産み出す恋模様の妙

この人間関係の「ズレ」がおもしろい。陽菜を雛子として見る孝章と、彼の事が気になるけど、本当はこの時代の人間ではない陽菜。

雛子では無いのに、雛子として向けられる孝章の眼差しに、次第に募る陽菜の気持ち。読んでいてやきもきします(笑)。

と同時に、恋愛に関して奥ゆかしい時代の人々と、現代の女子高生である陽菜のやり取りもユーモラス。陽菜の行動力に皆が驚いたり、今風の言葉遣いに戸惑ったり。「過去世界に紛れ込んだ現代人」から目が離せません。

丁寧に描かれる心情

そんな複雑な人間関係の中で描かれる、「自分とは何か?」に悩む雛子たちの心

雛子のふりをするが、現代における陽菜としての人間関係を忘れたくない陽菜。

心に想う人がいながらもそれを押し殺す雛子。

自分が死んだ義兄のスペアなのではないかと悩む孝章。

登場人物各人が、自分のアイデンティティーの確立に悩む様。

河内遙さんの作品ではキャラクターが内省する様子がよく見られますが、SF要素も持つ「涙雨とセレナーデ」でもしっかりと心情が描かれ、物語に深みを与えています。

急展開を迎える3巻

本作はタイムスリップ要素を絡めた恋愛もの・ロマンスではあるのですが、2巻以降、ネックレスを巡るめまぐるしい動きが起こります。

失われたネックレスを探す陽菜と、それに協力する孝章。しかしネックレスは人から人へと渡り歩き、彼女たちから離れてゆく。


[河内遙 著 講談社「涙雨とセレナーデ」2巻より引用]

そして2巻では陽菜と孝章に絡んでくる、怪しげな曲芸一座が登場。さらに3巻では、何やらネックレスの秘密を知る人物があらわれて…?

ネタバレは避けますが、読んでいてビックリする展開。まさか!の連続で俄然物語がおもしろくなってきました。

ますます盛り上がる物語

以上、河内遙さんの漫画「涙雨とセレナーデ」、1~3巻までのレビューでした。タイムスリップを絡めたしっとりとした切ない恋愛ストーリー。

か~ら~の~!冒険活劇風味も加わってきた物語。3巻に至りいよいよ盛り上がって参りました。

続きが楽しみ!なのですが次巻は約1年後とのこと…。少し先ではありますが、首を長くして待ちたいと思います。未読の方はまずは1~3巻をじっくり読み込んでおきましょう。

漫画データ
涙雨とセレナーデ(1) (Kissコミックス)著者:河内遙出版社:講談社発行日:2015-10-13

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