2019年7月に第一話が公開されるやいなや、爆速で話題になった平庫ワカさんの漫画『マイ・ブロークン・マリコ』。破天荒すぎる女性主人公に釘付け!な全1巻です。
『マイ・ブロークン・マリコ』全4話ほか、読切『YISKA-イーサカ-』が収録されています。以下『マイ・ブロークン・マリコ』が気になる方向けに、主なあらすじや見どころなどを基本ネタバレなしでご紹介します。
『マイ・ブロークン・マリコ』あらすじ
OL・シイノトモヨ(26)は、テレビのニュースで親友・マリコの自殺を知る。
学生時代から、父親に虐待を受けていたマリコ。彼女のために、今からでも何かできることはないか…?
その魂を「救う」ため、シイノは遺骨の奪取を決意。
「刺し違えたってダチの遺骨を救い出してやる」と包丁を胸に懐き、DV親父から遺骨を強奪、逃走!
そして海に行きたがっていたマリコのために、彼女の名前が入る「まりがおか岬」へ。
マリコからもらい続けた手紙とともに―。
『マイ・ブロークン・マリコ』レビュー
魂の「逃避行」
シイノと、骨になってしまった親友・マリコ。
『マイ・ブロークン・マリコ』ではそんな二人の海への「逃避行」の中で、かつて居たマリコという人間と、彼女を想うシイノの心の叫びが描かれます。
黒のスーツに身を包み、くわえタバコで紫煙をたゆたわせる、ハードボイルド感あふれる主人公・シイノ。
目を血走らせながら包丁を握りしめ、マリコの父親に啖呵を切る。
「弔われたって!!白々しくてヘドが出ンだよォ!!!」
すったもんだの末に、遺骨を抱いて裸足で駆け出すその行き先は、もちろん決まっているはずもなく。
涙と、鼻水と、よだれで顔をベトベトにしながら、しかしなぜかカッコよさを感じてしまう、不思議な女性。
シイノのやるせない気持ち…!
そのシイノの記憶から断片的に描かれていくのが、亡き親友・マリコ。
幼い頃から暴力を受け、傷の耐えないその姿は、シイノと読者に怒りを呼び起こす。
彼女はどうして死んだのか?なぜシイノに何も告げなかったのか?果たしてシイノに遺したものはなかったのか…?
シイノの脳裏に、時に殴られ腫れた顔で、時に最高の笑顔で蘇る、マリコの姿。
果たしてマリコはどのような人間だったのか。それを確かめたところで、気持ちを伝える相手をもういない。
この気持ちをどこにぶつければいいんだ…!
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浮かび上がる生と死のコントラスト
そんなシイノのやるせない、と言うには言葉が足りないほどの、怒り・悲しみ・愛が、ノンストップで展開される『マイ・ブロークン・マリコ』全4話。
短いながらも閃光のように描かれる、二人の壮絶な友情が脳裏に焼き付いてはなれません。
しかしとにかく印象的なのは、主人公・シイノの躍動感。
泣いて、叫んで、飛んで!身も心もボロボロになりながら、強烈な「生」の輝きを放つ彼女。
そしてその生が輝けば輝くほど、よりくっきりと浮かび上がるマリコの「死」。
二人のコントラストが、強烈なイメージを残す漫画です。
レビューまとめ
以上、『マイ・ブロークン・マリコ』のネタバレなしレビューでした。
荒々しくも洗練された作画と、強烈なストーリーが、非常にインパクトのある漫画。駆け抜けるような全4話が心に焼き付きます。
ハードボイルド全開!な併録作『YISKA-イーサカ-』も、読み応えのある一作。独特な魅力のある「平庫ワカの世界」に触れてみてください。
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