SF漫画「深海蒐集人」全1巻―”過去”を引き揚げるダイバーを描く海洋ロマン

「海洋SF」と言えば「海洋戦闘ダイバード」ですね!(古い)しかし本ブログは漫画専門なので漫画の話を。今回読んだ作品は近未来の海に潜る華麗なダイバーを描いたSF漫画「深海蒐集人」です。「蒐集」は「しゅうしゅう」と読みます。難しい字ですが「収集」と同義です。

作者は「かまたきみこ」さん。かまたさんの漫画に触れるのは本作が初めて。朝日新聞出版より電子版全1巻として刊行されています。

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概要

急激な温暖化により世界は水没し、限られた土地に限られた人々や動物が住むようになった近未来。沈んだ街は海水の侵食を防ぐ処理をされ、海の底で眠る。

そこで活躍するのが海に適合した体を持ち、ボンベなしで30分以上の潜水を可能とする「海の人間」・ダイバーたち。

主人公であるミミはそんなダイバーの1人。「図書館」の依頼により沈んだ文化財の調査・サルベージをするために今日も海の底を目指す―というお話。

掲載雑誌は2000年~2003年の「ネムキ」で、本書には全9編が収録されています。

「深海蒐集人」感想

予備知識無しでこの「深海蒐集人」を読みましたが、期待以上におもしろい漫画でした。「深海蒐集人」というやや堅苦しさも感じるタイトルとは一転、実にさわやかな内容。

「海に沈んだ世界」や「ダイバー」といったSF要素は、どちらかと言えばあくまでも主人公たちが活躍するための「舞台」といった役割。その世界で活躍するミミや仲間たち、ゲストキャラクターとの人間ドラマが本作の魅力でしょうか。

躍動感・しなやかさあふれるミミのキャラクターがいいですね!真っ直ぐでカラッとした元気な性格、そして長い黒髪をなびかせながら水中の奥へ深く深く潜っていく姿。そして水の底で待ち受けるものに出会えた時に輝く大きな瞳。ハッとする魅力があります。

そしてダイバー仲間のシバがおもしろい。ロン毛でヒゲ、ミミのことが大好きでちょっとウザい(笑)三枚目なんですが、これが意外といいヤツで。陰に日向にミミをサポートするナイスガイ。本作になくてはならないユニークなキャラクターです。

そんなミミらダイバーや依頼者である図書館の人間・ゲストたちによって繰り広げられる海の冒険。舞台もキャラクターも瑞々しく、さわやかな読後感があります。全1巻ですが物語的には特に終わったという感じではないので、また機会があればミミが水中を躍動する姿に触れてみたいものです。内容もキツイ描写は一切ないので、幅広い層にオススメできる漫画です。

ちなみにこの「深海蒐集人」、電子版は540円という価格にして400ページ超の大ボリューム(※価格・ページ数とも記事作成現在のもの)。決して価格でその漫画の価値をはかるものではありませんが、確かな読み応えがありますよ。

漫画データ
タイトル:深海蒐集人著者:かまたきみこ出版社:朝日新聞出版発行日: